王太子殿下がやってきました
あっっっっぶな!
流石にあれは今までの中で1番焦りましたね。ルワンダ侯爵にはバレていないはずです。おそらく、多分。きっと。
危機一髪で窓から出てきた(もちろん閉めましたよ)私は、証拠を見つけ、少し浮かれていた。
窓から飛び降り、庭に綺麗に着地した私は、目の前にいる人を見て絶句した。
「..........アレンスティード様」
そう、そこには殿下がいたのだ。(なぜ庭にいるの?!てか、私お転婆みたいじゃん!)と、的外れなことを考え、現実逃避した。
「っぷは!あははははは!」
なぜか大爆笑された。
なぜだ。腑に落ちない。
「.....殿下。大変失礼いたしました。お見苦しいところを。」
私は、今は殿下と関係のないただの侍女ということになるので、深く礼をする。
「ここは人払いをしている。堅苦しい挨拶はよせ。」
殿下に嫌そうに言われてしまったので、遠慮なく、
「分かりました。では、殿下はなぜこちらに?」
早速核心をついた質問をする。
「.....お前が心配だったからだ。」
「っえ?もう一度お願いします。」
小さい声で言われたので聞こえなかった。
「っだから!お前が期限に帰ってこなかったからだ!」
なぜか、さっきのとは違う気がしたが、スルーすることにした。
「報告書に調査が滞ってると書いたはずですが?届きませんでしたか?」
報告したんだけどな、と思いながら尋ねる。
「.....見ていない。」
そう言って殿下は目をそらした。
嘘だな。私はそう思った。でも、それ以上聞いても何も収穫はなさそうなので、そこは気にしないことにした。
「殿下!報告があります!先程、、、」
と言いかけて、ここは敵陣だということを思い出した。
殿下は私が何か大事なことを言おうとしているのを察したのか、
「わかった。なら私の部屋へ来い。」
そう言って、私の腕を掴んで、屋敷の入り口へとずんずん進んでいった。
「王太子殿下。今までどちらへ?」
侯爵邸に戻ると、少し探るようにルワンダ侯爵が殿下に尋ねた。
「庭の方へ。この侍女を借りるぞ。」
えっ?どういうこと?!何もないってわかってるけど、顔が赤くなるのを止められない。
するとルワンダ侯爵は、下卑た笑みを浮かべて、
「どうぞどうぞ。王太子殿下の客室はあちらにございます。」
こいつ、へんなこと考えてるな。と、誰もが思う顔をして案内して、部屋の前までくると、私をチラッと見てニヤリと笑い、去っていった。
(きっも!無理無理!ルワンダ侯爵マジ無理!)
語彙力が崩壊した私は、脳内でパニックを起こしながらも、殿下の後について部屋に入った。沈黙が場を支配する。(あれ?本当に何かあるの?)なんだか殿下を意識してしまう。
「....それで?私に言いたいことがあるんだろ。」
......だよね。なんだか意識した私が馬鹿みたい。でも、なんだか殿下のこと......いやいや、ないない。殿下は私にとって護衛対象、(前世では)可愛い弟みたいな感じ。そうそう。っと、話を戻しましょう。
「殿下、証拠を掴んで参りました。不正と、殿下暗殺未遂の証拠両方です。」
そういって私は証拠を差し出す。
「言い逃れができないほどの証拠だ。アリティア、よくやった。」
よしっ!アレンスティード様に褒めてもらえた!
やっと昨日からのネガティブな気持ちが吹き飛んだ。
「ありがとうございます!では、私は戻りますね。」
「なぜだ。もう私とともに帰ればいいだろう。」
「だって殿下、あと数日滞在するのでしょう?私は使用人として仕事をしないと。」
「.....わかった。ならお前は私が引き抜くことにして、連れて帰る。もちろんお前とともにきたカイと言うものも。」
アレンスティード様はそう言い、すぐにルワンダ侯爵に交渉しにいった。
すぐにアレンスティード様は帰ってきて、
「お前とカイは私の滞在中私の側付きになる。そして王宮に帰るとき、お前達は私とともに行くことになった。」と言った。
殿下の交渉能力には感服します。
短時間でそこまで決定するなんて普通じゃありえません。
そして、そのあとすぐにカイがやってきました。
「王太子殿下。カイルと申します。第四部隊の副隊長を務めております。」
そう言い、騎士の礼をした。
「ああ」
言葉少なに返答した殿下は、私といつも話す殿下とは違う気がした。
(なんだか、、、、無表情?)
そういえば私、《今》の殿下のことを知らないことに気がついた。
私は自分が昔のアレン様を追い求めていたことに気づく。
しかし、今は気づいたことに蓋をし、落ち着いてから熟考することに決めた。




