2,怖い
「ジェットコースターって・・・私が乗れないの知ってるでしょ?」
明るく言ってみた。
「バレたか。けど、たまには乗ろうぜ。」
「でも・・・。」
「光奈さぁ、いつまでも殻に閉じこもってんなよ!」
「・・・・・・分かった。良いよ。」
私はこれから、ジェットコースターなんかには乗らない。絶対に。
・・・って決めてたのにな。
3歳からずっと守ってきた自分との約束。
何でだろ、翔也と居ると崩れちゃう。
11年前。
初めて乗ったジェットコースターで事故が起きた。
機械の故障で、私の後ろに乗ってた人が大怪我をしたの。
それからトラウマで、ずっと、乗れないでいた。
こんな思い出が一瞬で消えたみたい。
「よし、あれ乗るか。」
「え・・・。」
翔也が指したのは、その、トラウマのジェットコースター。
翔也だって分かってるはず。
これが、私のこの世で1番怖いものだって。
もし、あれが自分に起こってたら。
もし、あの時一個後ろの席だったら。
今私はどうなってただろう。
いつも考えてる。
大怪我と言っても、10箇所の骨折。
だから、小学校に入る前にはとっくに治ってると思う。
なのに怖い。
あの時見た衝撃的な出来事は、今もまだ頭に残ってる。
小さな私には、あまりにもショックな事だった。
「おい、乗るぞ。」
翔也は前を勝手に歩くけど、私は付いていけない。
「ったく。」
何?
怒りたいなら怒ればいいじゃん。
私がヘタレだって、弱虫だって。
「ほら、行くぞ。」
「へっ!?」
何か言われると思ってた。
だけど翔也は、優しくこう言って私の手を引いた。
もしかしたら・・・もしかしたらだけど、私の鍵を、入廻らされた鎖の鍵を開こうとしてくれてるのかもしれない。
ねぇ、昔の私。
私はこれから変わるよ。
ちゃんと、踏み出すんだ。
「うん。」
ゆっくり、歩き出した。
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