1,幸せ
「達広ってカッコ良くない?」
「えぇ、そうかぁ?」
「カッコ良いじゃぁん!!」
・・・良いなぁ。
私もあんな風に喋りたい。
でも・・・私は話せない。
恋バナなんて。
「おう、光奈おはよ!・・・何だ、つまんなそうな顔して。」
「べっつに。」
「そうか。よし、じゃ行くか!」
この男の名前は、阪野翔也。
あ、私は河原光奈。
翔也は、幼稚園からずっと一緒の幼馴染。
今は中2だから、10年の付き合い。
気の置けない、唯一の心友。
2人だけで、カラオケとか買い物とか、普通に行けちゃう関係。
珍しいでしょ?
さっき、恋バナなんて喋れないって言ったけど、それは、弱みを握られたくないから。
だって、そんなこと軽々しく言ったら、学校に通ってらんないじゃん。
色々バラされちゃって。
でもね、翔也には言えるの。
勿論、恋バナは言えないよ?
だけど、面白かった事、嫌だった事・・・沢山話せる。
「よし、着いたぁ!」
「だね。」
着いたのは、近所の映画館。
今日見るのは、人気の恋モノ。
「『振っちゃいます』だってよ。」
「小説も出てたっけ?なんか友達が読んでたかも。」
暗い映画館の中に入っていく。
・・・そして、2時間後。
「結構面白かったな!」
「そうだね♪花美が悠斗を振るとこがカッコ良くてさ!」
「分かる分かる!でもさすがにあんな風に振られたら凹むわぁ。」
「私はああいう風に振ってみたいけどな!」
「うわ、怖。」
翔也とは気が合う。
こうやって話してる時、凄い幸せ。
クラスの女子と話してる時の何兆倍も楽しい。
「そうだ、ジェットコースターでも乗るか?」
え・・・。




