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夢現の箱庭  作者: 星咲 美夜
ひとりかくれんぼ
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更正する為のきっかけ

護と麻白が校庭へ行った時には、既にぬいぐるみは跡形もなく燃え尽きていた。ただそこにあったのは、黒く焼き焦げた地面と、ぬいぐるみの持っていた焼け残った包丁。


「もう終わったのか?」

「えぇ、終わりましたよ」

「お疲れ様、しぃ」

「麻白達もね」


護と麻白に気付いた《窓口》が、二人の方へ歩いてきた。そして二人の後ろの方を確認するように覗く。


「それで、あの二人は?」

「一応、寮に戻るようには言ったけどな」

「素直にキミの言うことを聞くとは思いませんけどね、特に結城さんの方は」


《窓口》と麻白は、護と別れて一度、寮に戻ることにした。



  ✡



《窓口》の家の応接室。護と《窓口》とネロは向かい合うようにソファーに座る。護は学校側に事件についての説明と、解決したという報告をしたと《窓口》にも伝えた。


「それから、どうなりました?」

「あれからオカルト研究会のメンバーは活動の自粛、あの結城 友香って子も謹慎をくらったらしいな」

「そうですか」


──《窓口》と麻白が学校を去る前。


「えっと・・・あの時は助けてくれて、ありがとうございました」


結愛が友香と共に、校門の前で《窓口》と麻白に頭を下げた。


「今回は、この事件を解決するのが、私達の仕事でしたからね」


相変わらず、麻白は女装をしていた。本当にどこからどう見ても少女なのだ。この時の見た目と声は。


「これに懲りたら、もう厄介事には首を突っ込まないことです、特に結城さん」

「へ?・・・あぁ、そうですね」

「色々と知りたい事はあるでしょうけど、いくらなんでも寮の部屋に、盗聴器をいくつも仕掛けるのはいかがなものかと」


《窓口》の言葉に、結愛と友香は驚きの表情を隠せなかった。


「しぃ、もしかして私達が寮に来たときに、しぃが見つけた部屋の盗聴器って・・・?」

「結城さん、貴女が仕掛けたモノですよね?」

「なんで・・・そんな事、わかったの?」

「ちょっと友香、友香はそんな事もやってたの?!」


《窓口》が見つけた盗聴器は友香が仕掛けたモノだった。ただし、それは何も《窓口》達の部屋だけではなかったが。一人で《窓口》が校舎を調べているときに、仕事の話をするのに出入りするだろうと思った教室の盗聴器を見付けては、こっそり壊してはいたものの、その量の多さにちょっとだけうんざりていた。


「これに関しても、学校側に報告をさせていただきますね」

「これにも懲りたら『情報屋ごっこ』も止めることですね、命の方が大事なんですから」


にっこり笑う《窓口》と麻白に、友香は何も言わなかった。



そんな事をぼんやりと思い出していると、護は若干、いや、かなり引いたらしい。


「それにしても、寮の部屋を盗聴してまで『情報屋ごっこ』をしてるとか・・・今時の女子高生ってのは怖いな」

「あの子はまた、特殊なんですよ」


《窓口》はため息を一つついて、ネロが出した飲み物を一口飲む。まぁ、彼女達と直接関わることはもうないだろうと思案しているが。


「あれで彼女は止めるのかね?」

「さぁね?本当に大怪我でもしないと、ああいうのはダメかもしれませんけど・・・これからは、そうそう『情報屋ごっこ』はできないでしょうしね」


護達が調べたところ、寮のあらゆる所に盗聴器が仕掛けられていたのだ。それも全て、友香によるモノだった。


「それにしてもまぁ、あれだけの盗聴器を用意したもんだよ」

「そんなに大量に盗聴器が仕掛けられていたんですか?主」

「ストーカーも真っ青ですよね」


《窓口》の言葉に護は苦笑する。


「それと、今回の事件は、学校側にも色々と問題があると思うんですけど?」

「大丈夫だ、それもこっちが指摘したよ」


夜中に生徒が簡単に忍び込めるっていうのは、確かに問題だろう。いくら警備員が見回りをしているといっても。


「それとお前、あの寮と校舎の間にある桜の木に、何をした?」

「あぁ、七不思議の一つの『人喰い桜』のことですか?」

「そういう桜だったのか、アレ」

「その桜には『人の(すがた)』と『(ことば)』を与えましたけど」

「はぁ?!」


護の反応は、何を考えているんだと言わんばかりだ。当の《窓口》は、その護を不思議そうに見ている。それも、何か悪い事をしたかな?とでも言いたげに。


「それがどうしたんですか?」

「いや、あの二人と別れた時に、桜の木に『何か』がいた気がしたからさ」

「やっぱりキミは勘が鋭いというか・・・本当に厄介」


それに対して《窓口》は護を厄介だと言いつつも、どこか嬉しそうだった。


「なんでまた、そういうことを」

「いいじゃないですか、そういう夜中に出歩く悪い子には、少し怖い思いをしていただかないとね?」

「事件は解決したのに、相手が女子高生でも容赦はないんだな、お前は」

「これから先は、何をするにしても本当に彼女達の自己責任ですよ、それに、あの桜が更正するきっかけになれば、さらに良しです」


満足気に《窓口》は笑っている。やはり、護には《窓口》の考えは、理解が出来ないようだ。


「まぁ、今回の事件は終わったんですから、いいじゃないですか、気にしないの」

「何か少しモヤモヤするけどな」

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