第31話「腕のありがたみ」
赤い朝日の光を浴びて目を覚ましたリアナさんは、なぜか朝日よりも頬を真っ赤に染めていた。
「お、おはよう」
朝の挨拶を返してくれた。
「やっぱり人型幽霊と印象が違うわ…とりあえず、すぐに出発の準備をするから、待っててね!」
俺の方に笑顔を向けて、リアナさんは立って軽いストレッチ体操を始めた。
彼女は言葉通り、燃え尽きた焚き火の跡を片づけ、誰かがキャンプした形跡を一つも残さずに綺麗にしてた。二人で道路の方へ戻って、旅を続けていた。
「ごめんね、寒かった?リアナさんが寝た後、俺は焚火のお世話はなにも出来ないと気付いた。」
「ううん、大丈夫だった。一晩見守ってくれてありがとう! 一人の時、寒かったら、起きて自分でまた火を起こす事なんて何回もありましたし」
「リアナさんはすごいな、一人でも貴族の店にも堂々と入れるのに、こんな本格的な旅にも慣れているから。どんな人生を送ってきたのか気になります」
俺の言葉で彼女は少し戸惑ったような表情を浮かべ、照れくさそうに視線を逸らした。
「ま、まあね。」
それ以上その話に触れてなかったからやっぱり俺がそれ以上聞くのが不味いと感じていた。リアナさんも朝食として携帯食のパンを食べるのに夢中みたいで黙っていた。そんな感じに旅が続いてたがやがて神殿への道に入った。
「悠真さんがこの世界で現れた場所は神殿からどのぐらいの距離だった?」
「それほど遠くなかったが、川の近くだった」
「とりあえず、そこに行ってみよう!」
もう数日前のことだったから、記憶が曖昧になっていて、上手く案内できるか不安だったが転生した時のショックが大きかったからか、思ったより覚えていて、すんなり行けた。
(いや、脳もないのに、俺の記憶ってどうなってるんだ?)
リアナさんに聞いてみたが返ってきた言葉は「知らないわよ。意識を保ったままの幽霊は悠真さんだけですし」
(そうだったね…俺がこんな風に存在しているのが奇跡みたいなもん。リアナさんが普段相手にしているであろう幽霊だったらもうとっくにリアナさんと出会わずに消えてしまったでしょう…)
怖いことを考えたが、身体がないから冷えた恐怖感はなかった。
「ここ、神聖な場所ですね」
俺が現れた場所で、リアナさんが呟いてた。
「神殿とはまた違う雰囲気の場所ですわ。だから直接関わりがある神聖な気配でもなさそうだけど…ここの空でドラゴンが見えたよね?」
「そうよ、現れた時俺が最初に覗き込んだ川はここだから…ドラゴンが飛んでいく方向はあっちだ!」
指先で方向を示した。
(いや、本当に幽体でも腕のありがたみを感じるな。コンパスもないし、もしまだウィスプだったら方向を伝えるのも一苦労だな!)
「とりあえず、その方向に進んで、何か手掛かりを探しましょう。ワームのことは分からないことがあり過ぎるから…人に聞けるわけでもないね…」
「そうだね…あ、ちょっと待って…俺ならもうちょっと調べられる」
そう言って、俺は真っ直ぐ空へ飛んでみた。最初に来た時と違って、今が昼。もう異世界に慣れてきた。それでもやっぱり神秘的な森が下に広がっているのが見えた。
「ドラゴンね…こっちの世界は俺が知ってるギリシャ神話等と似ている感じなら…ドラゴンって山の洞窟に住んでいるイメージがあるよな。あと、神聖な場所を守っていたり…」
ドラゴンが行った方向を見てた。
「おお!山がある!ビンゴ!」
そう喜んでいるところで鳥が俺の身体を貫いていた。
「動物でも俺が見えないな…なんか寂しい!動物は幽霊に敏感じゃなかったの?!」
俺の常識は本当にこの世界で通じるかまた不安になってた。
状況をリアナさんに伝えてみたところ、彼女はこう言った…
「私だってドラゴンのこと知らないから…悠真さんの勘を信じてみよう!」
リアナさんが俺を信じてくれたことでちょっと嬉しくなった。
自信がなかったが、リアナさんと一緒に山の方に向かいました。
(でも、よく考えると、ドラゴンに会いに行くのが安全なの?)
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