第30話「見張り番だけど、そばにいるだけ」
ちょっと遅くなったから、急いで編集した分、間違いが残っているかも。数日後でまた編集するかも。
リアナさんの予想どおり、その夜は道中で野営することになった。日が暮れそうな時、道路から離れたところでキャンプした。俺は寝るわけでもないから、一晩見張り番を引き受けた。彼女は焚き火の前で軽い夕食としてパンをかじっていた。
「朝食の豪華さとは大違いだな」
「ふふ、それはそうね。でも、大丈夫です。いっぱい食べたし、買い物中も屋台から色々な美味しいものも食べられたし!」
食べている途中のパンを見つめながら元気な声で答えた。
「それに、私はこんなことに慣れているわ。よく小さい頃からお母さまと修行の旅に出たりしました...」
それを言うとリアナさんはまたピアスをいじった。何かを悩んでいるのが明らかに顔に出ていた。
「ねえ、悠真さん…実は…」
それを言いかけると彼女はまた黙り込んで、炎の方を見つめた。俺はどう反応するべきか悩んだ末に、リアナさんの隣に座ってみてた。俺も焚き火の炎の方に視線を移した。リアナさんは俺の顔に目を向けたかと思ったら、今度は突然足の方に目が落ちた。
「ごめんね…」
その一言だけだった。何に対して謝ったのか、俺には分からなかった。考えてみても、理由は思い浮かばなくて、戸惑っていた。俺はやっぱりそんなリアナさんを見守るしかできなかった。肩に手を置こうかとも思ったが、そんなことをしていい関係でもない。それに透明だけの幽霊の腕なら安心感を感じられるわけもないでしょう、て言うか、腕の存在そのものも感じないでしょうと思った。
黙り込んでたリアナさんは炎へ視線を戻したかと思うと、不意に俺へ目を向けた。
「一晩見張りなんて大変でしょうけど、本当に見守ってくれてありがとう!悠真さんが傍で見張りしてくれるから、絶対安心して寝られるはず!」
そう言った彼女は残っているパンを丸ごと口の中に放り込んで、ほっぺを膨らませながらもぐもぐと咀嚼していた。もう話はそれで終わったって感じてた。リアナさんが荷物からブランケットを取って横になってたところで俺はまだ立ち上がって周りを見渡すように戻った。
リアナさんによると、この辺りはわりと治安がいいらしく、特に警戒すべきこともないそうだ。俺の見張りが本当に必要かどうか分からないところだったが、寝ることもないなら見張り以外出来ることが少ないから、そこは気にしないようにしてた。彼女は本当に俺を頼りにしていたのか、それともここを安全な場所だと感じていたのか、横になると、すぐにすーすーと寝息が聞こえてきた。
(幽霊の耳はいいかもな)
俺は幸せそうに寝ているリアナさんを眺めた。
(先の不安まで夢の中へ持ち込まなくてよかった。)
俺の幽体の顔がちょっとニヤッとしたが、ちょっと恥ずかしくなって、目は自然と彼女から空へと移った。
もう暗くなった夜空には星がいっぱいになってた。今夜は月が一つしか出ていなかったから、星の海にでも入ったような感覚。日本では、こんなに星がいっぱい見える場所へ行ったことはなかった。ギリシャ神話の神々が実在するらしい世界なら、ギリシャ神話の星座も空に見えるのか興味深いところだったが、俺は星座に詳しいわけじゃないから必死に空を見渡しても知っている星座は見つからなかった。東京の夜空をもう見ることはないと思うと、少し寂しくなった。出来ることならこの夜空と俺の世界の夜空を見比べたいと思ってたが、その夢は叶わないと思うとさらに気分が落ちた。
その切ない気分を噛みしめていたところ、見張りの役のことを思い出して、また目を周りの風景に戻った。
星を眺めているうちに、無意識のまま身体まで空へ浮かんでいたらしい。下を見るとリアナさんが一人で寝ている姿が見えた。俺の気持ちが移ったか、上から見ると彼女もまた何故か寂しそうな顔で寝ていた。焚き火も燃え尽きそうに見えた。見張り番なら木材を焚き火に入れるべきなのか悩んでたが、幽霊の俺にできる仕事でもないと諦めてリアナさんのそばに戻ることにした。
(寒くなったらリアナさんを起こすしかない…見張り番だけど、俺には危険になったらできることが少なすぎる)
そう考えながらリアナさんの顔をまた見つめた。
(「見張ってくれてありがとう」って言われたが、大したことしてないな。本当にそれだけを伝えたかったのかな?)
俺はそんな感じで一晩を過ごした。長かったか短かった夜だったか分からずに日の出を待ってた。空が明るくなったらリアナさんに声をかけた。
「おはよう!もう朝だよ!」
その声に目を開いたリアナさんは少し恥ずかしそうに挨拶を返した。
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