2話 家の中
2 家の中
あの後すぐに退院し、私は家に向かった。
着いてみると、レンガの一軒家に着いた。かなり頑丈な作りをした建物だ。
「ペー太郎!!ここが我が家だ。」
家の前で叫んでるのが、私の父、古吟雄治。大手オモチャ会社の社長さん。かなりのやり手で、”いぶし吟”と言われてるらしい。恥ずかしいのは私だけだろうか。私の顔は真っ赤になった。それに気付いたのか、後ろから母が背を押して、
「さぁ、入った、入った。」
流されるままに、家に入った。背を押したのが私の母、古吟聡美。料理が得意。それを活かして、料理教室を開いている。近所で美味しいと有名らしい。後、可愛い物好きとの事。
父と母と兄と私の4人家族。家に着くまで、兄に教えてもらった。
家に入って、違和感を感じた。まず目に入った物は、ペンギンの絵であった。その他にも、ぺんぎんのスリッパ、ペンギンのマット、時計、置物、ペンギングッズがいっぱいあった。可愛い物好きの母の好みだろうと、納得した。
二階に上がり、私の部屋に案内された。ドアにしっかりと【ペー太郎】と書いてある。名札の周りには、派手にペンギンが描かれていた。後ろにいる母にぐるんと向きかえり、手をプルプルとさせ、名札を指した。
「この名札、私が飾ったの?」
「あら、それはお父さんがどうしても飾るんだって言うものだから、新しく作ったのよ。」
私の中で、父は恥ずかしい人だと認識した。
そして少しドアを開けると、部屋の中には、たくさんのペンギンのぬいぐるみがいた。沈黙が続き、母に尋ねた。
「私の部屋って、何故こんなにペンギンのぬいぐるみがあるんですか?ペンギンが好きだったとか。」
と聞くと、母はくすりと笑い、
「それは、ペー太郎の友達が“お誕生日に”って、いつもペンギンのぬいぐるみを贈っていたみたいよ。うちでも、行事みたいなっているけどね。」
その後、鼻歌を歌いながら母は階段を下りて行った。
という事は、家中にあったペンギングッズは母のコーディネートでなく、私の趣味と友達のプレゼントによって、集められたということらしい。未だに、自分がペンギン好きというキーワードを聞いても、シックリこない。
私は、自分が使っていたらしい部屋に一歩一歩、中に入っていった。とりあえず、前に使っていた物で思い出す物はないか探してみた。ガサゴソと探してみたが、ペンギングッズをたくさん見つけただけだった。
「そう簡単にわかる訳ないかぁ」
スカートのポケットに手を突っ込んだ。入れた時、“カサッ”と紙の様な音がした。
(きっと、何かの手がかりになるかも)
ポケットから紙を出し、カサカサと音をたてて開けると、小さな紙が一枚入っていた。その紙を開くとまた紙が出てきた。イライラさせながら、その紙を開くと、鉛筆で小さな文字が書いてあった。
「クリームチーズ250g、生クリーム200ml、卵2個………」
意味不明な文章であった。
「これは、何かの材料かなぁ??」
材料だけで、料理方法が書いてない。何で、ポケットの中に入っていたのかもわからない。謎が深まった。考えていると、兄が部屋に入って来た。
「ペー太郎!今日は、お前の好きな肉じゃがだぞ。兄ちゃんと一緒に食べような。」
鼻歌を唄いながら、私の手を握り1階に下りて行った。
材料の書かれた小さな紙とペンギンって、その前にこの手!!恥ずかしくて、顔が真っ赤になって何も考えられなくなった。
この生活に慣れることが、第一の関門かもしれないと悟った。




