レオナードとの面談
聖女イレーナから面談の要請が来た。
何の用だろう。
もしかしてうっかりもののチェルシーから、私が生まれ変わりだとバレた?
でもあのおバカチェルシーだもの、私の正体には気づいていないはず。
以前に相談したときは、友人の話と言って誤魔化したし、彼女もそれを信じていた。
とにかく聖女に会って、様子を探ろう。
面談の当日、聖女イレーナは、チェルシーを伴ってやってきた。
少し世間話をした後、本題に入る。
「今日は、一体どういったご用件でいらしたのですか?」
聖女は、
「私は、ずっと魔王討伐にふさわしい勇者を探しています。
あなたは、鍛錬を怠らず、綺麗なご婦人にも目もくれず、日々励んでいらっしゃる。
そうした人柄を見込んで、魔王討伐のパーティを結成できないかと考えております。
前回の魔王討伐は、これは内密に願いますが、勇者が不適格で失敗しました。
今回は、この聖女チェルシー、魔女ウルスラ、弓士エリス、それにあなたの四人でパーティを組み、魔王討伐の旅に向かってほしいのです。
いかがでしょうか?」
ふーん、魔王討伐の旅ね。
きっと何か月もかかるんじゃないかしら。
魔獣も出るだろうし、魔王も強いかもしれない。
でもあの脳筋チェルシーもいるし、噂では、魔女ウルスラや弓士エリスは何百年も生きていて、化け物のような強さとも聞くわ。
私が多少頼りなくても大丈夫よね?
それに危なくなったら、チェルシーを盾にして逃げちゃいましょう。
チェルシーは前の人生では、剣士レオナードだったんだから、強いはず。
旅に出れば、あのきつい鍛錬ともおさらばできるし、いい話じゃない?
よし、この話に乗った!
「いいでしょう。魔王討伐の使命をお受けします。」
「一緒に、力を尽くしましょう!」
チェルシーは、やる気満々である。
レオナードもやる気のあるふりをして、面談は終わった。
「お師匠様、良かったですね。
勇者が真面目そうな方で。
今度こそ、魔王討伐の悲願がかないますね。」
「そうね。今度はきっと大丈夫。
聖女としてのすべてを伝えたあなたもいるしね。
腰痛さえなければ、私も参加できたのに、残念で仕方ないわ。」
「お師匠様の分まで、力を尽くします。」
「お師匠様じゃなくて、聖女イレーナ様と呼びなさい。
何度言ったらわかるの?
剣術の師匠じゃないんだから。」
聖女師弟は、そんな会話をしながら神殿に戻っていった。
今回も人選を誤ったとも知らずに。




