第二十七話 王太子の悔悟
法廷には静かな空気が流れていた。
裁判長は厳かな口調で告げる。
「続いて、本件に関する裁定を申し渡す。」
「アンナ夫人については、本件の首謀者として、その罪は極めて重大である。」
「よって、王国法に基づく裁きを受けるものとする。」
「また、セシリア嬢についても、本件への加担は明白である。」
「よって、その罪に応じた裁きを受けるものとする。」
「なお、両名に対する詳細な裁きについては、王国法に則り、追って裁定する。」
アンナとセシリアは衛兵に連れられ、法廷を後にした。
重苦しい静寂が法廷を包む。
アレクシスは静かに目を閉じた。
エレノアは何一つ悪くなかった。
すべて、誰かによって奪われていただけだった。
私は、何度も手を差し伸べた。
だが、そのすべてが届いていなかった。
届かぬ想いを拒絶されたものと思い込み、私はエレノアを信じ切ることができなかった。
あの日、自らが告げた婚約破棄の言葉が脳裏によみがえる。
『長年、君には王太子妃として相応しい女性になってもらいたいと願ってきた。しかし君は努力を怠り、礼儀も教養も社交性も身につけようとはしなかった。』
その言葉こそが、最もエレノアを傷つけた。
真実を知った今、その重みだけが胸に残っていた。
静寂を破るように、国王が口を開く。
「アルディス公爵。」
「エレノア嬢の潔白は証明され、婚約破棄の前提もまた覆された。」
「そなたは、婚約を元に戻すことを望むか。」
法廷中の視線がアルディス公爵へと集まる。
アルディス公爵は静かに一礼した。
「恐れながら陛下。」
「エレノアは長きにわたり、自らの意思とは関わりなく人生を歩んでまいりました。」
「一人の父として、娘自身の望みを何より尊重したいと考えております。」
「どうか今しばらく、娘と向き合う時間を頂戴できればと存じます。」
国王は小さく頷いた。
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