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黒の零号〜最強の装殻者〜  作者: 凡仙狼のpeco
第5話:連続励起!? 暴走する零号!

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第19節:真実の欠片

「ヒルメ」


 パイルは、ミツキを追う前にミカミの方を振り向いた。


「何ですかぁ~?」


 険のある声に苦笑しつつ、パイルはマテリアル化を解除した青い球体をミカミに投げる。

 受け取ったミカミは、息を詰めた。


「……これって」

「フリード・コントローラーだ。……お前用の、な」

「何で……」

「何で?」


 パイルは、自分に良く似た装殻を纏う彼女を見て、少し苦い気持ちが胸の内に広がるのを感じながら、レールガン・システムを展開する。


「それが、俺が元の世界に戻ろうとした目的の一つだからだ」


 パイルとミカミ……ケイタとヒルメは、恋人同士だ。

 今となっては、かつて恋人同士だった……と言った方が正確かも知れないが。


 共に、ニヒルに従って世界を救おうと装殻者になり、先にミカミが改造手術を受けた。

 その結果、フリード・ハイクラスの制御に関する問題が発覚し、パイルの装殻にはフリード・コントローラーが組み込まれたのだ。

 だが、ミカミのコントローラー開発は、決戦に間に合わなかった。


「何故、と訊くなら。俺も聞きたい。何故お前は、俺たちが裏切った、と、そう思った?」


 あの決戦に、ミカミは参加していなかった。

 襲来対母体を撃破する直前、時空震に巻き込まれたとは、パイルは思ってもいなかったのだ。


 コントローラーの開発は、ルナがいなければ望めない。

 だからこそ、パイルはルナにこちらでフリード・コントローラーの開発を願い、元の世界へと戻る方法を、強硬な策を打ってまで探っていたのだから。


 第一の目的は、自らの世界を救う事だったとしても。

 パイル個人の願い……大切なヒルメの命を繋ぎたいと望んだ事が、嘘だった訳ではないのだ。


「……私も、決戦の場に居たのよ」

「何!?」


 ミカミが、いつもの間延びした口調ではなく真剣な声で言うのに、パイルは驚いた。


「ニヒルからの通信で。貴方がやられたと。私は……待っていられなかった」

「ニヒルが……? それはあり得ない」

「え?」

「あの時、俺が撃墜されたのは本当だ。だが、ニヒルはあの場にいなかった。あいつが来たのは、時空震の直前……それまでその場に居たのは、母体複製体(コア・コピー)に自らを偽装していたマザーだけだ」

「まさか……ならマザーが? でも、なら何で、こっちで私が貴方たちに接触しようとした時、貴方たちは私を攻撃したの!?」

「……そんな話は知らない。お前は、一体誰と接触した?」


 ミカミは、少し躊躇ってから答えを口にする。


「……エータよ」

「エータ? あいつが、お前を……?」


 パイルの胸に、疑問が過る。

 彼はあの時の事を思い返した。


 時空震が走る直前、襲来体母体(マザー)は死んでいなかった。

 パイルの窮状に気付いたニヒルとエータが、彼の元へ駆けつけて、追い詰めてはいたが……。


 と。

 そこでパイルの頭に、衝撃にも似た閃きが走る。 

 あの時、母体は追い詰められていた。

 あと一撃で存在が消滅する、というくらいまで。

 もし、仮に。




 マザーもパイルたち諸共、転移していたとしたら?




 そして、さらに思い出す。

 ミツキの父、井塚カズキの死に際。


 パイルはあの光景を、隠れて見ていた。

 奴は言った。

 自分は、マザーに寄生されていた、と。


 同じ事が、エータにも起こっていたとしたら。

 思い出せ。


 誰だ、最初に黒の一号が原因だと言ったのは。

 誰だ、最初にマザーが生きている可能性を示唆したのは。

 誰だ、黒の一号を殺せば元の世界に還れると言ったのは。


 誰だーーー《白の装殻(じぶんたち)》と《黒の装殻(あいつら)》が争うように、仕向けたのは。


「あの、野郎……!」


 パイルは、知らず知らず拳を握って肩を震わせていた。

 そして黙っているリリスに目を向ける。

 彼女は、いつも通りの静かな佇まいで、パイルを見ていた。


「お前は……気付いていたのか? リリス」

「言ったはず。……私は、今のあなた達は嫌いだと」


 そう、彼女は確かに言っていた。

 自分たちに、再三、リリスは言っていたのではなかったか。


 ―――『黒の一号が原因だと、なぜ思うの?』と。


「はは……」


 パイルの口から、乾いた笑いが漏れる。


「俺たちも、洗脳されてたのか……」


 疑問にすら思わなかった。

 リリスの言葉を、考えもせずに一笑に付した。


「俺たちを、よくも……」


 パイルの空虚だった心に、ぽつりと火種が灯り。

 瞬く間に、激怒の色に燃え上がる。


「よくもコケにしてくれやがったな! マザああああ……ッ!」

「ケイタ!」


 ミカミの呼びかけに、パイルは答えなかった。


出力解放(アビリティオーダー)! ―――〈対潜迫撃殻弾杭(ガンピアシングダイヴ)〉!」


 レールガンシステムにより加速して撃ち出されたパイルは、ミツキを追う軌道で、エータの元へと一直線に向かった。



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