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学生魔術師物語  作者: マンボウ
魔神復活編
27/32

笑え…

二十七話更新しました!!

たの、じゃなくて悲しんでいってください?

 沙也香を家に送った後、淳也は居間で布団を敷いて寝る所だった。

 「人殺しが嫌い…か…」

 淳也は天井を見ながら独り言を呟いていた。

 「くそっ、今日の夢見は最悪になりそうだな…明日は調査の日だってのに…」

 そう呟くと淳也は眠りに落ちていった。 

        ☆☆☆

 淳也が魔術を教わって三ヶ月が経った満月の夜、淳也とその師は王から追われていた。

 「苅谷師匠、何で追われてるの?」

 その時の彼はまだ幼かった。

 「いや~、お前が『あの神器』の所有者になっちまったかららしい…」

 苅谷と呼ばれた淳也の師匠は笑いながら言った。

 「神器ってどれのこと?」

 淳也は最初から神器を複数持っていたため、どの神器かわからなかった。

 「漆黒と黄金で出来た槍って聞いてないか…それに」

 「いたぞ!!」

 苅谷と淳也の周りには七人の男と女が囲んでいた。全員王である証であるローブを羽織っている。

 「苅谷そいつを渡せ…そうすればお前は助けてやる…」

 一番長身の男が言った。しかし、

 「コイツに王はまだ早い…何でわかんねえ!!」

 「わからないのはアナタよ…何故その子を渡さないの?『あの神器』に選ばれたのだから王になるのは必然…」

 「この年で事象顕現なんてしたら、コイツの心が壊れちまう!!」

 冷徹に言う女に苅谷は怒鳴り返した。

 「渡さないのなら神器を引き抜かせて貰うが…『あの神器』は放置しておくことは出来ない…」 

 「正気か!!それだとコイツはどうなる!!その時の反動で最悪の場合死んじまう!!」

 苅谷の必死の言葉は王達には届かなかった。

 「せめてコイツが高校生になってからでも…」

 「それでは遅いのだ!!…これ以上は平行線だな…」

 そう言うと七人の王は全員神器を構えた。それを見て苅谷も神器を構える。一人だけ今の状況で解らない者がいた。

 「何で皆神器を構えてるの?」

 「悪いな淳也…」

 苅谷がそれだけ言うと二人に神器が殺到した。神器は様々な物があった。斧や槍、日本刀から薙刀まで、そのすべてが二人に殺到したはずだった。しかし淳也には傷一つない。

 「師匠…?」

 なぜなら苅谷の神器の能力、空間歪曲が主である苅谷ではなく、淳也に働いていたから。淳也に向けられた神器は全て苅谷に刺さっていた。いくら苅谷の神器でも複数の神器の攻撃を他の所に向けるのは不可能だった。

 「悪い…なぁ…まだ…教えたい…事が…あったのに…」

 淳也から見た苅谷の身体はあらゆる所が神器に貫かれ、断ち切られていた。そして、

 「…師匠?」

 淳也が何を言っても苅谷は答えない。いつも面白かった変な顔もしてくれない。ふらつきながら歩み寄り肩を揺すっても何も言わない。彼が使っていた神器も大量の神器を受けて粉々に砕けている。彼はいつも笑っていた、いつも楽しそうだった。

 「馬鹿な奴だ…こんな奴の為に命を落とすとは…」

 他の王達の嘲笑を見て、


 淳也の中で何かが切れた。


 ふらふらと七人の王がいる所に歩み寄り、感情のない瞳で苅谷が使わせまいとした神器の祝詞、いや呪詞を淳也は詠った。

 

 『この世に終末は訪れる。唐突に必然に偶然に。それは神殺しの呪いを受けた槍。我は神殺し。故にこの世の終末を呼び込む者。』


 本来輝いている神力が黒く変色していく。あたかも所有者の心境に感化されているかのごとく。


 『我は終末を求める。何人たりとも回避は出来ぬ。望まぬ神々の闘争が始まる。我を怖れよ、我を恐れよ、我を畏れよ。』


 強大すぎる力を有している故にその神器には事象形成と事象解放は存在しない。


 「事象顕現、『------』」


 その時、七人の王には何が起こったのか解らなかった。解らないままに己の神器が破砕し、己の肉体も闇に呑まれて消えた。後に残るのは淳也と苅谷の躯だけ。淳也は苅谷の躯に駆け寄った。

 「ねぇ、倒したよ!!苅谷をやった奴らを一人残らず倒したよ!!」

 しかし、どれだけ言っても死体は何も言わない、笑わない、頭を撫でてくれない。

 「だから…」

 淳也の目には涙が溜まっていた。

 「笑ってよ!!凄いねって褒めてよ!!いつもみたいになでなでしてよ!!」

 苅谷は死んでいた。仮に生きていたとしても助からない程にボロボロである。それでも淳也は叫び続けた。

 「起きてよっ!!死んじゃやだよ!!目を覚ましてよ!!」

 「阿呆…が…」

 苅谷は死んでいた。だが返事をした。この時まだ淳也は知らなかった。己の神器の本当の使い方を。

 「そんなに泣き愚図ってたら…死ねるもんも…死ねん…笑え…いつも俺…笑ってるだろ…」

 「師匠死なない?」

 「いや…死ぬ…てか…もう死んでる…」

 「じゃあ笑える訳ないじゃん!!」

 淳也は首をブンブン振った。しかし苅谷は笑っていた。

 「ほら…笑え…俺の死に際が…お前の…泣き顔って…洒落にならん…」

 「でも…」

 「いいから…」

 淳也は目をゴシゴシと擦って満面の笑みを見せた。

 「えへへ…」

 「ああ…そうだ…笑顔を忘れるな…お前のそれは…感情によって力を変える…でも…弟子に看取られて…逝くってのも…悪く…ない…か…」

 苅谷は今度こそ息を引き取った。淳也は泣きながら笑っていた。目を擦っても擦っても視界がぼやける。

 「師匠?」

 返事が返ってこなくなると途端に涙が溢れた。苅谷の顔は笑っている。

 「笑えるわけ、ないじゃん…」

 顔は笑っている、しかし涙は止まらない。その日淳也は涙が枯れるまで泣き続けた。

 


さて今回は感動回にしたんですが、どうでしたでしょうか?

アドバイスや意見、感想などがありましたら、ぜひお願いします!!

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