心の傷
二十六話更新しました!!
楽しんでいってください!!
淳也が腕を振り下ろす瞬間、有紗と沙也香が淳也の腕に抱き付いた。
「離せ…」
淳也に睨まれ二人は怯えた様にビクリ、としたが男が逃げると淳也は睨むのを止めた。
「何で止めた?」
それに答えたのは有紗だった。
「あんた何人殺すつもりよ…」
有紗の言った通り周りには三十人の死体が転がっていた。淳也は無表情で辺りを見回した。そして沙也香と目が合うと、彼女は怯えた様に淳也を見た。
「俺が怖いか?」
淳也がそう聞くと沙也香は首を横に振った。その時には、もう彼女の目には恐怖は存在していなかった。
「怖いかって聞かれると怖いです。でも…」
そこで沙也香は優しげな顔で言った。
「一年前も助けてくれましたから…」
その言葉は淳也には聞こえなかったが有紗には聞こえたらしく、彼女はとても驚いていた。たが有紗はそれを飲み込んで周りの惨状に溜め息を吐きながら言った。
「周りの人達どうするの?それにあんただって人を…」
「殺したのは認めるが、非難を浴びるつもりはないよ…それにこの場は礼司に任せよう…」
すると淳也の後ろから礼司と優樹菜が現れた。優樹菜は礼司にこっぴどく怒られたらしく萎んでいる。
「優樹菜は後藤を自宅まで連れて行け…」
「…はい。」
礼司がそう言うと優樹菜は有紗を連れて行った。有紗は淳也にまだ何か言いたそうだったが、礼司の機嫌がとてつもなく悪いので開いた口を閉じて優樹菜と共に帰宅した。
「よぉ、後始末頼めるか?」
「無論だ…だが」
礼司は淳也の横を通り過ぎ沙也香の目の前に立つと、彼女を思いっきり叩いた。
「お前は何をしたのか解っているのか?魔導騎士にもなってさらわれるとは…」
沙也香が半泣きだったため淳也は見るに耐えず礼司に提案した。
「罰を与えるんだったら俺に任せてくれない?」
「構わんが…くれぐれも軽すぎるのはやめろよ…ただでさえお前の嫌いな殺しをコイツらはやらせたんだからな…」
そう言うと礼司は死体の所まで行った。
「さて、帰るかね…」
淳也がそう言うと沙也香はコクリと頷き、帰る淳也の後をついて行った。
☆☆☆
淳也と沙也香の帰り道はとても静かだったが、淳也が我慢できず沙也香にいろいろな質問を投げかけた。
「罰は何がいいと思う?」
「私に聞かないでください…」
「じゃあ、学校の朝礼で好きな人に告白するとか?」
するとその質問には顔を真っ赤にして憤慨した。
「真面目に考えてください!!そんなことより…」
怒鳴った後、沙也香は俯きながら聞いた。
「殺し、嫌いなんですか?」
「まぁ、好きな奴はいないだろ…」
「私を恨まないんですか?」
「恨んでもしょうがないだろ…」
沙也香の真剣な問いに能天気に答える淳也に腹が立ったのか、沙也香は怒鳴った。
「真面目に答えてください!!」
「至って真面目に答えてるんだが…」
肩を落としながら淳也は沙也香の頭に手を置いて言った。
「そう気にするな、そんな事じゃ俺は人を嫌ったりしない…」
「でも…!!」
淳也はまだ言い返そうとする沙也香の頭をくしゃくしゃと掻き乱した。
「や、止めてください…」
「え~、これが罰だから止めない。これ以上まだ何か言うんだったら、もっとくしゃくしゃにするぞ~?」
すると沙也香は顔を真っ赤にして淳也を睨んだ。しかし淳也の顔は笑ってはいるがとても空虚な物で、沙也香は睨むのを止めて淳也に抱き付いた。
「淳也先輩が殺しが嫌いなのは、やはり先代王全員を殺したのが原因なんですか?」
淳也はそれを聞いて固まった。
「聞いてたのか…」
「はい、すみません…聞く気はなかったのですが…」
「構わないさ…確かにそれが原因なんだから…」
そう言うと淳也は沙也香を離して歩いて行った。沙也香は淳也について行ったが今の彼の顔を見ようとはしなかった。
先代王ってどんな人達だったのでしょうか。
そのうち出したいと思います。
三人組の女の名前もまだ出ていませんが…




