矛盾
十九話です!!
楽しんでいってください!!
淳也は怪物の放って来る消滅魔力の塊を避けながら黙考していた。
よく見ると完全には再現出来ていない様だな…
怪物の放つ消滅魔力は濁った黒色していた。対して淳也が使うのは純粋ゆえに透明な黒色である。
くそっ、ここでもう一つ固有魔術を使う訳にはいかない。絶対にこの空間を構築している神器持ちが見ている筈だ。
怪物は淳也に攻撃が当たらない事に対して不満を持ったのか、狙いを有紗に変えた。しかし有紗の周りには淳也が消滅魔力の防壁を創ってあったので、怪物の攻撃は通らない。しかし有紗は防壁がいつ壊れるかと気が気でない。
「ちょっとあんた王でしょ!?何とかしなさいよ!!」
「んな無責任な…」
怪物は未だに有紗への攻撃を続けている。
敵が知ってるのは俺の神器一つと固有魔術ね…じゃあオリジナルの魔術でも使ってみるか…
「おい怪物!!」
淳也は怪物の動きが止まった瞬間に、その魔術を発動した。
「闇夜の葬送曲。」
淳也は地面に手を入れた。そうすると怪物の足下は黒色に変色し、何本もの腕が生えて来た。その腕は怪物至る所を掴み、遂には怪物の全身を黒い腕が覆った。そして、
「ひしゃげろ…」
グシャッ!!
淳也が手を握る様にした途端、怪物は有り得ない位の小ささまで潰れた。黒色の隙間からは赤色の液体が流れている。
「あ、あんた何て悪質な魔術よ…」
有紗の顔は吐き気を我慢している様な顔だった。
「いや、そんな顔するなよ…これぐらいやらないと生きてそうだし…」
淳也は有紗の近くに寄って行った。
「というより、下級魔術と中級魔術には魔術名が無いけど、上級魔術にはあるんだ。」
「そうか、おまえまだ中級魔術までしか使えない無能だものな…」
やれやれ、と淳也が首を振っていると有紗が尋ねた。
「この魔術バカめ…ていうか景色変わってないよね…」
「そりゃ神器持ちは他にいるだろうさ…例えば、そことかなっ!!」
言いながら淳也は一つの草がたくさん生えている一カ所に火球を十個程放った。すると一人の柔和な顔立ちの女が出て来た。
「女性へのマナーがなっていませんね黒王…」
「ほざけよ、テロリスト…お前らこの貧…オホンっ!!を攫ってどうするつもりだ…」
淳也が咳払いしたのは貧乳と言う前に有紗に殺気の籠もった視線を向けられたからである。
「この空間は事象解放か…厄介な物を持っていやがる…」
「ええ、私の神器『空間創造の御霊』で創り出した空間…あなたの攻撃は何一つ私には通らないわ…あなたが神器を出さない限り…」
女の首に光っている勾玉が神器であると淳也は推測した。
「生憎俺の神器は使うと疲れるし、こないだ浩平に見せたのは、ただのサービス。」
「じゃあ、あなた…死ぬわよ…」
勾玉が黒色に光ると淳也に四方八方から槍が降り注いだ。
「無理、お前の攻撃は聞かないよ…」
そう言った直後、淳也の身体に槍が何本も突き刺さった。しかし、淳也の身体からは血が一滴も流れない。
「同調」
「それがあなたの固有魔術…二つも固有魔術を使う奴なんて聞いたことが無いわ…」
淳也はその言葉を笑いながら一蹴した。
「俺の固有魔術は一つだぜ?勘違いしてもらっちゃ困る。」
「では、あなたの固有魔術は一体何だというの?」
淳也の言葉に女は戦慄した。
これじゃあ、俺が神器二つしか持ってないとか思ってそうだな…
今までに淳也は公には神器を一つしか使った事がない。故に敵にとっては淳也が一番不気味に見えるのである。淳也は人を殺すのが余り好きではないが、それは本来力の差が大きく開いていないと不殺で敵を無力化するのは不可能なのである。
「あなたはやはり危険だわ…ここで殺しておいた方がいいのかもしれない…」
そう言って女は神器に極大の神力を注ぎ込んだ。
「あなたをこの空間から消してあげる…この空間の中なら私は神に等しい…苦しんで死になさい!!」
ところが淳也は笑ったまま自分の本来の固有魔術を発動した。
「矛盾」
その一言で世界は一変した。女が神器に神力を注いでいるのにも関わらず反応しない。
「馬鹿なっ!!こんな事が…あなたは一体何をしたんだ!!」
「本来神器は絶対に持ち主にしか使えない…しかし、」
ここは谷の底である、と言った瞬間に淳也達は谷底にいた。
「他人にしか使えないという『矛盾』を発生させた…これが俺の固有魔術だ…」
有紗は信じられない目で淳也を見ている。神器には魔術では対抗出来ないのを知ってる故の驚きだった。
「ていうか拒絶と同調で、しかも一つなんだから気付けよ…」
「ほ、本部に戻って報告せねば…」
女は逃げようとしていたが、淳也は神器を操って女の脚が地面に沈んだ。
「さぁーて、尋問タイムの時間だ。」
両手をワキワキさせながら淳也が女に近寄って行くと、後ろから有紗のラリアットが飛んできて淳也は吹き飛んでいった。
「この変態!!」
それが気を失う前に淳也が聞いた最後の言葉だった。
淳也がやっぱり一番不幸(笑)




