平和な円卓
いやー、やっと十一話です。
その日の夕暮れ時の魔術師境会円卓。
「以上がついさっき起こった出来事の顛末だが、一ついいか?」
淳也は報告が終わると、礼司に向かって言った。
「何故これほど人数が少ない。収集するから夕暮れ時にしてくれって言ったの、礼司だよな。」
「収集するとは言ったが、全員来るとは言ってない。」
そう、円卓には有紗と優樹菜と今話した二人、つまり四人しか居ないのである。
「だからって、お前以外来ないってどういう事だよ。彰広は絶対ヒマだろ。」
「彰広の奴は、『悪い白やん黒やん、今アキバで人気アイドルのCDが発売されて、並んでるから無理ぞよ。』、だそうだ。」
「………」
「あ、ちなみに彰広っていうのは黄王のことだよ、有紗ちゃん。」
淳也が出した彰広という名に、有紗が首を捻っていると、優樹菜が有紗にスリスリしながら補足した。
「あ、ありがとう。」
しかし、淳也はというと、
「あんのビリビリ野郎が、雷系統の魔術の王なんだから、雷速で円卓まで来いや。」
と憤慨していた。
「あ、あのー、私はどうすれば?」
有紗は自分にスリスリしてくる優樹菜を、引き剥がし質問した。意外にも、それに答えたのは礼司だった。
「そうだな、淳也とクラスは一緒か?」
「いえ、違います。クラスは隣ではありますが。」
「優樹菜、転校手続きを済ませて、明後日から下関高校に通え。」
「わかったけど、何で命令口調?同じ王なのに。」
礼司と優樹菜はあまり相性が、良くないようだった。主に優樹菜が嫌がっている節があるが。
「そういえば、優樹菜さんは王なんですよね。」
「『さん』なんていいよ、優樹菜で。同学年になるんだから。」
「はぁ。」
そして、有紗は淳也を見た。淳也はその視線の意味がわかったらしく、有紗の先程の質問に答えた。
「優樹菜は色王だ。こう見えてこいつ変た」
い、と言う前に優樹菜の拳が鳩尾に入り、淳也はその場で悶絶した。
「違う事を吹き込むな!!ごめんね、有紗ちゃん。」
そう言って、優樹菜は淳也を踏みながら自分の色を教えた。
「私は極王だよ。」
「極?色じゃないの?」
その疑問には、礼司が答えた。
「極とは、黒系統と白系統意外の全ての魔術が使える、という意味だ。まぁ、淳也は白系統以外全て使えるが…」
「す、すごい。私はまだ二つしか使えないのに…」
それに対して、それまで優樹菜に踏まれていた淳也が、言った。
「気にするな。魔導騎士でさえ、一つの系統しか使えないのが、ザラだからな。魔力の色はピンク色なのに火系統しか使えない、とかな。」
「で、だ。狙われるということは、必然的に今日明日はどこかに匿う必要があるが。優樹菜の家は?」
礼司が淳也の慰めの言葉をスルーして優樹菜に聞いた。
「私はいいけど、親がねぇ。」
「そうか、では淳也。」
礼司が淳也の方を向き言った。
「後は任せる。」
淳也はといえば、自分が何を言われたか理解出来ずにいた。
「はぁ?何て言った。」
「あんたが優樹菜を家で匿うのよ。」
淳也の問いに答えたのは、優樹菜だった。
「まぁ待て、落ち着け。俺の家に後藤と言う名のペチャ」
ドゴッ!!ガシッ!!
ぱい、と言う前に優樹菜の右フックが淳也の鳩尾に突き刺さり、有紗のアイアンクローが倒れる淳也の顔を掴み取った。
「女の子に対して失礼よ。」
と優樹菜が言い、
「死になさい。」
と言って有紗が淳也の顔を締め上げた。
その光景を礼司は一人腹を抱えて、大爆笑していた。
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