プロローグ
二章開幕です!!
魔術で創られた空間に、一人の少年と一人の少女がいた。
「お前に魔術を教えて一年になるが、これほど才能がないとは……」
少年、滝川淳也が呆れの混じった声で言った。それに言い返したのは、全身ボロボロの少女、後藤有紗である。
「う、うるさいわね……固有魔術が使えないだけで。あんたの方こそ、どれくらいの間で固有魔術を習得したのよ。」
「3日間で一通りの魔術は習得した。固有魔術は四日間位かな。」
「………」
有紗は呆れて何も言い返せなかった。
「ま、少なくともお前みたいに十日もかかってねぇよ(笑)」
淳也に笑いながら言われて腹が立ったのか、有紗は淳也に雷撃魔術を連発した。
しかし、
「ほいっと。」
淳也の腕の一振りで掻き消されてしまった。
「ったく、八つ当たりしてないで早く固有魔術が発現するまで、集中しろ。固有魔術と一人の王の推薦がなきゃ、魔導騎士には、なれないんだから。」
淳也が愚痴を言っていると、空間が歪み一人の金髪翠眼の少女、長谷川優樹菜が入って来た。
「よー、頑張ってる?」
淳也は優樹菜が入って来たのを見ると、消滅魔力で創られた槍を十本放った。
ドスドスドスドスドスッ…………!!
「何故いきなり!?」
優樹菜が疑問符を浮かべると、淳也は言った。
「一年前、お前に破壊された携帯の弁償がまだなんだが。」
「そんな事、気にしなくていいじゃない。」
有紗がそう言うと、
「そうよ!!いきなり消滅魔力の槍は、酷いんじゃない!?」
優樹菜も便乗して言った。
「で、固有魔術は発現した?」
淳也は話を逸らされて、ため息をつきながら言った。
「まだだ。なんでこんなに発現が遅いんだ?」
「う~ん、私の時は六日間で発現したし、何かヒントが………あっ!!」
淳也は黙考していたが、優樹菜の叫び声?により一時黙考を中止した。
「どうした?」
「うん、そういえば礼司がね、結界に関係があるんじゃないかって、言ってたのを思い出して……」
……………そうかっ!!
「おいっ、後藤!!」
「何よ……」
「頭の中に結界を壊すイメージをしてくれ!!」
わかったわよ、と有紗が言い目を閉じた瞬間、三人がいた空間がガラス細工の様に砕け散った。
「あれ?風景変わってるけど、これって……」
そこは大きな日本庭園の中だった。有紗は目を開けて首を傾げている。
「おいおい、この空間創ったの優樹菜の固有魔術だぞ……それを砕きやがった……」
「凄いじゃない!!」
優樹菜は有紗に抱きついていた。しかし、
「やっと見つけた。」
その声により緩んでいた空気が引き締まった。
「そこの木の裏にいるのはわかってる。さっさと出てこい。」
淳也が一本の木に向けて言うと、木の裏から一人の少女が出て来た。
「私は幻魔教団のエリカ・マレウスと言います。後藤有紗さん、あなたをお迎えに上がりました。」
幻魔教団か……
「後藤、知り合いか?」
淳也が有紗の方を向いて聞いた。
「そんな人知らないよ。」
有紗は困惑していた。
「幻魔教団は有紗さん、あなたのその結界破りの力が欲しいのです。」
やはり……結界破り?
「お前ら、今度は何を企んで」
「そんな事は後でいいから、あいつを捕まえよう。」
淳也の言葉を遮り、優樹菜が駆けた。しかし、
「本当は拉致するつもりでしたが、今回は引き上げます。王二人に私だけでは適いません。」
そう言うとエリカ・マレウスと名乗った少女は、雷速で逃げて行った。優樹菜はそれを追おうとしたが、淳也が止めた。
「待て、先に円卓に行き、報告するのが先だ。」
それに優樹菜は、しぶしぶといった様子で同意した。
「幻魔教団、何を企んでやがる。」
淳也の独白は近くにいる二人にさえ、聞こえなかった。
誤字や脱字があれば、教えてくれると助かります!




