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湿拳四郎 ~笑界湿度400%~  作者: 伝説の男前


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8/11

第七話 ノッペラと感情の蓋

浜辺の向こう。


何も、ない顔をした、人影が立っていた。


のっぺらぼう。


ノッペラ。


目もない。


口もない。


ただ。


つるりとした顔。


四郎


「……喋れるのか?」


ノッペラは、ゆっくりと首を振った。


ヌラリ翁


「ノッペラは、無表情芸人じゃ」


「感情を、見せん」


四郎


「ネクロと似てるな」


ヌラリ翁


「違う」


「ネクロは、言葉を失った」


「ノッペラは」


「……」


「感情そのものを、隠しとる」


その瞬間。


ノッペラの背後に、空間が歪んだ。


ドゴォォォォォォン!!


【無感情結界】


発動。


世界中で。


人々の表情が、徐々に消えていく。


『悲しくても、泣かない』


『嬉しくても、笑わない』


『辛くても、平気な顔をする』


そんな空気が、染み込んでいく。


四郎の顔からも。


表情が、消えかける。


HP


45000000



30000000


四郎


「(顔が、動かない……!)」


七海(電話越し)


「四郎、聞こえてる?」


四郎


「(声も、出にくい……)」


七海


「ヤバい雰囲気だな」


四郎は、必死に、自分の頬を触った。


ぐっと、力を込める。


感情を、絞り出そうとする。


その時。


ノッペラの内側から。


かすかな、震えが伝わってきた。


四郎は、気づいた。


無表情は。


感情がないんじゃない。


感情を、出さないように。


ずっと、我慢している。


四郎


「ノッペラ」


「……」


「お前、本当は」


「……」


「ずっと、何か感じてるんじゃないか」


ノッペラの、のっぺりとした顔が、わずかに揺れた。


四郎は、続けた。


「顔がなくても」


「……」


「揺れてるの、見えるよ」


その瞬間。


四郎の胸の七つの傷が輝く。


ドクン。


ドクン。


笑界編・第七奥義。


湿拳・素顔解放拳


効果。


『隠してきた感情を、少しずつ表に出させる』

『「平気なふり」をやめる勇気を与える』


四郎


「行くぞ!」


ノッペラは、答えない。


それでも。


四郎は、構わず叫んだ。


「顔がなくても、感じてるなら、それでいいだろぉぉぉぉ!!」


ズガァァァァァァァァァン!!


直撃。


世界が光る。


すると。


ノッペラの顔に。


ゆっくりと。


目が、浮かび上がった。


そして。


口が。


そして。


その目から。


涙が、こぼれた。


ノッペラ


「……ずっと」


初めて、声が出た。


「怖がってる顔、見せたくなかった」


「……」


「悲しんでる顔も」


「……」


「弱い、と思われたくなくて」


四郎は、頷いた。


「弱くないよ」


「……」


「感じてること自体が、強さだと思う」


ぽたり。


ぽたり。


どばぁぁぁぁぁぁ!!


湿拳洪水発生。


【ノッペラを浄化した】


経験値+400


笑石のかけら獲得


称号獲得


『素顔を見せた者』


四郎


「七体目……!」


その時。


砂浜の隅から。


小さな声が響いた。


「あの、それ、僕にも効きますか」


一つ目の、小さな小僧が。


おずおずと、前に出てきた。


一つ目小僧・ヒトメ……ではなく。


四郎


「あれ、お前さっき倒したよな」


「いえ、僕は別の一つ目です」


「兄の方です」


四郎


「兄弟だったのか!?」

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