第五十一話 サキと色気の鎧
任侠口調の、色気のある、佇まい。
サキュバス・サキ。
サキ
「あら、お兄さん」
「あたしの相手、できるかしら」
四郎
「色気で来るタイプか」
サキ
「うふふ」
「……」
「でもね」
少し、声が、揺れる。
「本当は」
「色気で、誤魔化さなきゃ」
「誰も、振り向いてくれないんじゃないかって」
「不安なのよ」
ドゴォォォォォォン!!
【表面装飾結界】
発動。
世界中で。
「見た目や演出を、頑張らないと、評価されない」という不安が、広がる。
『中身より、見た目を、気にしてしまう』
『飾らないと、相手にされない気がする』
『本当の自分じゃ、足りないんじゃないか』
四郎の心にも、その不安が、染み込む。
HP
36000000
↓
20000000
サキ
「あたしはね」
「……」
「色気で、人の心を、惹きつけてきた」
「……」
「でも」
「色気を、取り払ったら」
「あたし自身に」
「何が残るんだろうって」
「不安になることが、あるの」
四郎は、考えた。
これは。
「演出」と「本質」の、関係性についての悩みだった。
四郎
「サキ」
「……」
「色気も、お前の魅力の、一つだと思う」
サキ
「……」
「でも」
四郎
「でも」
「それだけじゃ、ないだろ」
「……」
「お前と、ちゃんと話してみたら」
「色気とは別の、優しさとか、賢さとか」
「いろいろ、見えてきた気がする」
静寂。
サキの、艶やかな表情に、わずかな、安堵が、浮かんだ。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第五十一奥義。
湿拳・中身も魅力拳
効果。
『演出への依存を、本質的な魅力への自信に変える』
『装飾を否定せず、中身にも価値があると気づかせる』
四郎
「行くぞ!」
サキ
「あたし、色気がないと、誰も見てくれないのよ!」
四郎
「色気以外も、ちゃんと魅力的だぞぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
サキの表情から、力みが、ふっと、抜ける。
サキ
「あたし……」
「……」
「ちょっと、安心したわ」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【サキを浄化した】
経験値+420
笑石のかけら獲得
称号獲得
『中身の魅力に気づいた者』
四郎
「五十一体目……!」
その時。
書生語の、古風な声が、響いた。
アークデーモン・アーク師匠
「うぬ、なかなかの拳じゃの」
「……だが、儂は、大御所であり続けることに」
「正直、限界を、感じておるのじゃ」




