第四十九話 ベリ子と毒舌の鎧
ギャル語の、勢いある声。
ベリアル・ベリ子。
ベリ子
「うちさー」
「ブラックジョーク漫才、やってんだけどさー」
四郎
「攻撃的な感じだもんな」
ベリ子
「だよねー」
「……」
「でもさー」
少し、声が、低くなる。
「正直」
「毒舌キャラ、やめたいんだよねー」
「……」
「でも」
「優しくしたら」
「『キャラ変わった』って」
「言われそうで、怖いんだよねー」
ドゴォォォォォォン!!
【キャラ固定結界】
発動。
世界中で。
「今までのキャラを、変えられない」という呪縛が、強まる。
『今さら、優しくしたら、変に思われる』
『キャラを、裏切れない』
『周りの期待するイメージに、縛られている』
四郎の心にも、その呪縛が、染み込む。
HP
35000000
↓
19000000
ベリ子
「うちさー」
「……」
「本当は」
「優しい言葉、かけたい時、あるんだよねー」
「……」
「でも」
「毒舌キャラで、定着しちゃったから」
「急に優しくすると」
「気持ち悪がられそうで」
四郎は、ベリ子の、強気な表情の奥にある、優しさを、感じ取った。
四郎
「ベリ子」
「……」
「少しずつ、変わってもいいと思う」
「……」
「いきなり、全部、優しくしなくても」
「毒舌の中に、少しだけ、優しさ、混ぜてみないか」
静寂。
ベリ子の、強気な表情が、わずかに、緩んだ。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第四十九奥義。
湿拳・少し優しい毒舌拳
効果。
『キャラへの固執を、少しずつの変化として、許可する』
『毒舌の奥にある優しさを、無理なく、滲み出させる』
四郎
「行くぞ!」
ベリ子
「うち、キャラ変えられないんだよねー!」
四郎
「少しずつ、優しさ混ぜていけばいいぞぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
ベリ子の表情に、毒舌の中にも、優しさが、滲み始める。
ベリ子
「うち……」
「……」
「ちょっとくらい、優しくても、いいかもねー」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【ベリ子を浄化した】
経験値+400
笑石のかけら獲得
称号獲得
『少しずつ優しくなった者』
四郎
「四十九体目……!」
ヌラリ翁
「お前さん、もうすぐ、五十体じゃのう」
四郎
「キリのいい数字、近づいてきた」
その時。
標準語の、ふわりとした声が、響いた。
インキュバス・インキュ
「俺は、夢オチ専門の、インキュ」
「……でも、現実から、ずっと、逃げてるだけなんじゃないかって」
「最近、思うんだ」




