第四十七話 レヴ蔵と感動の摩耗
職人らしい、無骨な、佇まい。
職人口調の、渋い声。
レヴィアタン・レヴ蔵。
レヴ蔵
「俺は」
「海ロケ専門の、レヴ蔵だ」
「……」
「世界中の、いろんな海を、見てきた」
四郎
「すごい経験豊富だな」
レヴ蔵
「……」
「ああ」
「だが」
少し、声が、曇る。
「経験を、積みすぎて」
「もう」
「新しい景色を見ても」
「感動できなくなっちまった」
ドゴォォォォォォン!!
【感動摩耗結界】
発動。
世界中で。
「経験を積みすぎて、新鮮さを失う」という摩耗感が、広がる。
『何度も経験すると、初めての感動が薄れる』
『プロになるほど、純粋な楽しさを忘れる』
『慣れが、感動を、奪っていく』
四郎の心にも、その摩耗感が、染み込む。
HP
37000000
↓
19000000
レヴ蔵
「俺は」
「……」
「最初は、海を見るたびに」
「感動してた」
「……」
「だが」
「何百回、何千回と、見てるうちに」
「『またこの景色か』って」
「思うようになっちまった」
「……」
「これじゃ、いけねぇと、分かってるんだが」
四郎は、考えた。
これは。
ベル兄の「無感動」とも、近い悩みだったが。
レヴ蔵の場合は。
「プロとしての慣れ」が、原因だった。
四郎
「レヴ蔵」
「……」
「同じ海でも」
「誰かと一緒に、初めて見るつもりで、見てみないか」
レヴ蔵
「誰かと?」
四郎
「うん」
「……」
「自分一人だと、慣れちゃうけど」
「誰かの『初めて』を、一緒に体験すると」
「もう一回、新鮮に感じられる気がする」
静寂。
レヴ蔵の、渋い表情に、わずかな、光が宿った。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第四十七奥義。
湿拳・誰かの初めて拳
効果。
『慣れによる感動の摩耗を、他者と分かち合うことで、取り戻す』
『一人の経験を、誰かと共有することの価値を示す』
四郎
「行くぞ!」
レヴ蔵
「俺、もう、感動できねぇんだ!」
四郎
「誰かと一緒に見れば、また新鮮になるぞぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
レヴ蔵の目に、久しぶりに、輝きが、宿った。
レヴ蔵
「俺……」
「……」
「今度、誰かを連れて、海、見に行ってみるか」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【レヴ蔵を浄化した】
経験値+400
笑石のかけら獲得
称号獲得
『感動を分かち合う者』
四郎
「四十七体目……!」
ヌラリ翁
「お前さん、もう、悪魔区も、半分過ぎたのう」
四郎
「あと、二十九体……」
その時。
商人らしい、抜け目ない気配が、現れた。
商人語の、計算高い声。
マモン・マモ田
「おや、お客様」
「ギャラ交渉芸人の、マモ田と申します」
「……ですが、正直、お金の話ばかりで、誰からも、心を開いてもらえないのです」




