第四十四話 ルシ郎とカリスマの孤独
優雅な、公家のような、佇まい。
公家語の、品のある声。
ルシファー・ルシ郎。
ルシ郎
「儂は」
「カリスマMC芸人と、呼ばれておる」
「……」
「常に、輝いていなければ、ならぬ」
四郎
「すごいプレッシャーだな」
ルシ郎
「うむ」
「……」
「だが」
少し、優雅さに、影が差す。
「カリスマであることに」
「正直、疲れた」
ドゴォォォォォォン!!
【カリスマ孤独結界】
発動。
世界中で。
「常に完璧で、輝いていなければならない」というプレッシャーが、強まる。
『リーダーは、弱音を吐けない』
『カリスマ性を、保ち続けなければ』
『憧れられる存在でい続けることが、しんどい』
四郎の心にも、そのプレッシャーが、のしかかる。
HP
42000000
↓
24000000
ルシ郎
「儂はな」
「……」
「みなを、導く立場じゃ」
「……」
「だが」
「導く者は」
「迷ってはならぬと」
「ずっと、思い込んでおった」
「……」
「だが」
「迷わぬ者など」
「本当に、おるのだろうか」
四郎は、考えた。
これは。
リュウノスケの「大物の重圧」とも、近い悩みだった。
だが。
ルシ郎の場合は。
「導く立場」という、より、責任の重い孤独だった。
四郎
「ルシ郎」
「……」
「迷っても、いいと思う」
「……」
「迷いながら、導く方が」
「みんな、ついていきやすいんじゃないか」
「……」
「完璧なカリスマより」
「迷いながらも、進む人の方が」
「人間らしいと思う」
静寂。
ルシ郎の、優雅な佇まいに、わずかな、人間らしさが、滲んだ。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第四十四奥義。
湿拳・迷う導き拳
効果。
『カリスマ像への縛りを、ほどく』
『迷いながら導くことの価値を示す』
四郎
「行くぞ!」
ルシ郎
「儂は、迷ってはならぬのだ!」
四郎
「迷いながらでも、導けばいいだろぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
ルシ郎の、堂々とした姿勢が、ふっと、緩む。
ルシ郎
「儂……」
「……」
「迷っても、よかったのだな」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【ルシ郎を浄化した】
経験値+460
笑石のかけら獲得
称号獲得
『迷いを認めた導き手』
四郎
「四十四体目……!」
ヌラリ翁
「お前さん、悪魔区も、順調じゃのう」
四郎
「あと、三十一体……」
その時。
武士のような気配が、近づいてきた。
武士語の、低い声。
ベルゼブブ・ベル兄
「拙者、食レポ担当でござる」
「……だが、本音を言うと、最近、何を食べても、味がせぬのだ」




