第四十三話 サタ奈と肩書きと自信の差
陰から、ぼそりと、現れる、小さな影。
陰キャ語の、控えめな声。
サタン・サタ奈。
サタ奈
「わたし」
「……」
「ラスボス芸人プロデューサーって」
「呼ばれてるんです」
「……」
「でも」
「正直」
「自分に、全然、自信がなくて」
ドゴォォォォォォン……
弱々しく、結界が、発動する。
【自信欠如結界】
発動。
世界中で。
「肩書きと、実際の自分が、釣り合っていない」という不安が、広がる。
『役職に、見合っていない気がする』
『周りの期待に、応えられていない』
『すごい立場なのに、中身が伴っていない』
四郎の心にも、その不安が、染み込む。
HP
35000000
↓
19000000
サタ奈
「みんな」
「……」
「『ラスボス』って呼んで」
「すごい人だと、思ってるんです」
「……」
「でも」
「わたし自身は」
「いつも、不安で」
「……」
「自信、持てたこと、ないんです」
四郎は、サタ奈の、小さな姿を、見つめた。
四郎
「サタ奈」
「……」
「自信がないまま」
「ここまで、頑張ってきたんだろ」
サタ奈
「……」
「はい」
四郎
「それ、すごいことだと思う」
「……」
「自信があるから、頑張れるんじゃなくて」
「不安でも、頑張れる人の方が」
「実は、強いんじゃないか」
静寂。
サタ奈の、小さな体が、わずかに、まっすぐになった。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第四十三奥義。
湿拳・不安でも進む拳
効果。
『自信のなさを、欠点ではなく、努力の証として認めさせる』
『肩書きと自分を比べることをやめさせる』
四郎
「行くぞ!」
サタ奈
「わたし、自信、持てないんです!」
四郎
「自信なくても、ちゃんと頑張ってきたぞぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
サタ奈の表情に、わずかな、自信の光が、宿る。
サタ奈
「わたし……」
「……」
「自信なくても、頑張っていい、ですよね」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【サタ奈を浄化した】
経験値+400
笑石のかけら獲得
称号獲得
『不安と共に進んだ者』
四郎
「四十三体目……!」
その時。
優雅な、公家のような気配が、近づいてきた。
公家語の、カリスマ性ある声。
ルシファー・ルシ郎
「ほう」
「儂の前まで、辿り着くとは」
「……だが、儂は、カリスマであり続けることに」
「正直、疲れておる」




