第四十二話 デモ彦と無理した明るさ
熱気を帯びた、陽気な気配。
陽キャ語の、テンション高い声。
デーモン系・デモ彦。
デモ彦
「よっしゃ!」
「お前が、噂の湿拳四郎か!」
「俺、過激ネタ担当のデモ彦!」
「テンション、マックスでいくぜ!」
四郎
「うわ、元気すぎる」
デモ彦
「だろ!?」
「……」
「俺、いつもこうなんだよ!」
「みんなを、盛り上げるのが、俺の役目!」
ドゴォォォォォォン!!
【無理テンション結界】
発動。
世界中で。
「明るくいなきゃ」という、無理な空気が、強まる。
『場を盛り上げないと』
『暗い顔を、見せちゃいけない』
『元気なキャラを、演じ続けなきゃ』
四郎の表情も、急に、引きつったような、笑顔になる。
HP
40000000
↓
22000000
デモ彦
「俺さ」
「……」
少し、テンションが、落ちる。
「正直」
「……」
「ずっと、明るくいるの」
「しんどい時、あるんだよな」
「……」
「でも」
「俺が、暗くなったら」
「場が、しらけるだろ」
「だから、無理してでも、テンション上げてる」
四郎は、デモ彦の、無理に作った笑顔を、見つめた。
四郎
「デモ彦」
「……」
「いつも、明るくなくても、いいんじゃないか」
デモ彦
「でも、それじゃ……」
四郎
「たまに、テンション、下げてもいい」
「……」
「無理してる明るさより」
「自然な明るさの方が、伝わると思う」
静寂。
デモ彦の、過剰な笑顔が、わずかに、自然になった。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第四十二奥義。
湿拳・自然体拳
効果。
『無理に作った明るさを、自然な感情に戻す』
『常に盛り上げ役でいなくても、価値があると示す』
四郎
「行くぞ!」
デモ彦
「俺、明るくないと、ダメなんだよ!」
四郎
「無理しなくても、お前らしくていいんだぞぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
デモ彦のテンションが、ゆっくりと、自然な、落ち着いたものになっていく。
デモ彦
「俺……」
「……」
「素のテンションでも、いいんだな」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【デモ彦を浄化した】
経験値+430
笑石のかけら獲得
称号獲得
『自然体を取り戻した者』
四郎
「四十二体目……!」
その時。
陰から、ぼそりと、声がした。
陰キャ語の、小さな声。
サタン・サタ奈
「……あの」
「わたし、ラスボス芸人プロデューサーって、呼ばれてるんですけど」
「……正直、自分に、自信がないんです」




