第四十話 カゲ太と裏方の恐怖
四郎自身の足元から、ぬっと、伸びる、影。
標準語の、低い声。
シャドウ・カゲ太。
カゲ太
「俺は」
「裏方ドッキリ専門だ」
「……」
「いつも、誰かの後ろで」
「仕掛けを、用意してる」
四郎
「裏方は、大事な仕事だろ」
カゲ太
「……」
「分かってる」
「……」
「でも」
「本当は」
「一度くらい、表に出てみたい」
「……」
「でも」
「考えただけで、怖くて、足がすくむ」
ドゴォォォォォォン!!
【表舞台恐怖結界】
発動。
世界中で。
「目立つことへの恐怖」が、強まる。
『前に出るのが、怖い』
『注目されると、固まってしまう』
『裏方の方が、安全な気がする』
四郎の足も、急に、重くなる。
HP
35000000
↓
18000000
カゲ太
「俺は」
「……」
「ずっと、影として、生きてきた」
「……」
「表に出たら」
「失敗したら」
「みんなに、見られてしまう」
「……」
「それが、怖い」
四郎は、考えた。
これは。
スベることへの恐怖とも、少し似ているが、より根本的な、「見られること」への恐怖だった。
四郎
「カゲ太」
「……」
「裏方のままでも、いいと思う」
「……」
「でも」
「もし、表に出たいなら」
「最初の一歩だけ、一緒に、踏み出してみないか」
静寂。
カゲ太の影が、わずかに、震えた。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第四十奥義。
湿拳・一緒に一歩拳
効果。
『表に出ることへの恐怖を、一人ではなく、誰かと一緒に踏み出すことで、和らげる』
『裏方を否定せず、選択肢としての表舞台を見せる』
四郎
「行くぞ!」
カゲ太
「俺、表に出るの、怖いんだ!」
四郎
「一緒に、一歩踏み出してみようぜぇぇぇぇぇ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
カゲ太の影が、ゆっくりと、四郎の隣に、並んだ。
カゲ太
「俺……」
「……」
「一人じゃなければ、出てみてもいいかもな」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【カゲ太を浄化した】
経験値+410
笑石のかけら獲得
称号獲得
『一歩踏み出した影』
四郎
「四十体目……!」
その時。
霧の中から、小さな、光る妖精が、現れた。
神戸弁の、可愛らしい声。
フェアリー・ティア子
「うち、ミニコント専門やねんけど」
「……小さいから、いつも、誰にも、気づいてもらえへんのよ」




