第三十六話 ホネ吉と中身のなさへの不安
カタカタと、骨の音。
鹿児島弁の、軽快な声。
スケルトン・ホネ吉。
ホネ吉
「おいどんは」
「骨だけ企画専門でごわす」
「見た目は、インパクトあるとですが」
「……」
「中身が、ないとですよ」
ドゴォォォォォォン!!
【中身不安結界】
発動。
世界中で。
「見た目や肩書きだけで、中身が伴っていない」という不安が、広がる。
『すごそうに見えるけど、実力が伴っていない気がする』
『肩書きだけが、立派で』
『中身がバレたら、ガッカリされる』
四郎の心にも、その不安が、染み込む。
HP
34000000
↓
18000000
ホネ吉
「おいどん、骨だけで、目立っとります」
「……」
「ばってん」
「肉も、内臓も、ないとですよ」
「……」
「だから」
「いつか、『中身がない』って、バレるんじゃないかと」
「怖いとです」
四郎は、ホネ吉の、骨だけの体を、見つめた。
四郎
「ホネ吉」
「……」
「骨だけでも」
「お前は、ちゃんと、立ってるじゃないか」
ホネ吉
「立っとるだけでは、ダメとですか?」
四郎
「いや」
「……」
「骨って、実は」
「体を支える、一番大事な部分だろ」
「……」
「中身がないんじゃなくて」
「お前自身が、土台なんだと思う」
静寂。
ホネ吉の、骨の音が、わずかに、柔らかくなった。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第三十六奥義。
湿拳・土台肯定拳
効果。
『「中身がない」という不安を、「自分が土台である」という自信に変える』
『見た目だけの存在ではなく、根幹を支える価値を示す』
四郎
「行くぞ!」
ホネ吉
「おいどん、骨だけで、中身がないとです!」
四郎
「骨は、土台だぞ、それで十分だぁぁぁぁぁ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
ホネ吉の骨が、誇らしげに、カタカタと、鳴り始めた。
ホネ吉
「おいどん……」
「……」
「土台として、胸を張りますたい」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【ホネ吉を浄化した】
経験値+390
笑石のかけら獲得
称号獲得
『土台としての自分を認めた者』
四郎
「三十六体目……!」
その時。
霧の奥から、毛むくじゃらの影が、唸りながら、近づいてきた。
標準語の、荒っぽい声。
ウェアウルフ・ウル輝
「俺は、満月の夜にしか、本気が出せねぇ」
「……普段の俺は、何もできない、ただの臆病者なんだ」




