第三十三話 ミノと出口の見えない迷路
牛の頭を持つ、巨大な影。
土佐弁の、低い声。
ミノタウロス・ミノ。
その周りには。
複雑に入り組んだ、迷路のような、霧の壁。
ミノ
「うちの迷路ロケ、有名なんよ」
「……」
「ばってん」
「実はうち自身も」
「この迷路から、出られんなっとるがよ」
ドゴォォォォォォン!!
【出口不明結界】
発動。
世界中で。
「努力しているのに、出口が見えない」という閉塞感が、広がる。
『頑張っているのに、先が見えない』
『何度も同じところを、ぐるぐる回っている気がする』
『出口があるのかすら、分からない』
四郎自身も、霧の迷路の中で、方向を見失う。
HP
40000000
↓
23000000
四郎
「(どっちに進めばいいんだ……)」
ミノ
「うちもな」
「……」
「ずっと、この迷路、作り続けてきた」
「……」
「複雑にすればするほど」
「すごいって、言われるき」
「……」
「でも」
「気づいたら」
「自分でも、出口、分からんなった」
四郎は、迷路の中で、立ち止まった。
そして。
ふと、気づいた。
四郎
「ミノ」
「……」
「出口、見つけようとするんじゃなくて」
「……」
「今、立ってる場所から、一歩ずつ、進んでみないか」
ミノ
「一歩ずつ?」
四郎
「うん」
「……」
「全体の地図が、見えなくても」
「目の前の一歩は、見えるだろ」
静寂。
ミノの、巨大な体が、わずかに、揺れた。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第三十三奥義。
湿拳・一歩ずつ拳
効果。
『全体が見えない不安を、目の前の一歩に集中する力に変える』
『出口が分からなくても、進み続けられることを示す』
四郎
「行くぞ!」
ミノ
「うち、出口が、分からんとよ!」
四郎
「出口分からなくても、一歩は分かるだろぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
迷路の霧が、少しずつ、晴れていく。
完全には、見えない。
それでも。
足元の、一歩分の道だけは、はっきりと、見えるようになった。
ミノ
「うち……」
「……」
「一歩ずつなら、進めそうやき」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【ミノを浄化した】
経験値+430
笑石のかけら獲得
称号獲得
『一歩ずつ進む者』
四郎
「三十三体目……!」
霧が晴れた先に。
一つ目の、巨大な影が、立っていた。
岡山弁の、ボケた声。
サイクロプス・サイ
「あんた、よう、やっとるのう」
「わしは、一点集中ボケ専門じゃ」
「……でも、最近、一点しか、見れんことに、悩んどってのう」




