第二十九話 グリと半分ずつの自分
鷲の頭。
獅子の体。
優雅な、混成の獣。
標準語の、落ち着いた声。
グリフォン・グリ。
グリ
「わたしは」
「鷲の血と、獅子の血を、両方、持っています」
「……」
「でも」
「どちらの世界にも」
「完全には、馴染めなくて」
ドゴォォォォォォン!!
【中途半端結界】
発動。
世界中で。
「どちらの世界にも、完全には属せない」という孤独感が、広がる。
『複数のルーツや背景を持つことで、どちらにも馴染めない』
『中途半端だと、言われる』
『どこに行っても、よそ者扱いされる』
四郎の心にも、その感覚が、染み込む。
HP
38000000
↓
20000000
グリ
「鷲の仲間からは」
「『獅子寄りだね』と、言われ」
「……」
「獅子の仲間からは」
「『鷲寄りだね』と、言われる」
「……」
「結局、どちらの仲間にも」
「完全には、なれません」
四郎は、グリの、混成の姿を、見つめた。
四郎
「グリ」
「……」
「どちらかに、ならなくても、いいんじゃないか」
グリ
「え?」
四郎
「鷲でもあり、獅子でもある」
「……」
「それが、お前の、新しい形なんじゃないか」
「……」
「タマモも、九つ全部が、自分だったろ」
静寂。
グリの表情に、わずかな、光が宿った。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第二十九奥義。
湿拳・両方とも拳
効果。
『「どちらか一方」に分類されない存在の価値を肯定する』
『中途半端ではなく、独自の形であることを示す』
四郎
「行くぞ!」
グリ
「わたし、どちらの世界にも、馴染めないの!」
四郎
「両方とも、お前の世界でいいだろぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
グリの体が、鷲の部分も、獅子の部分も、同時に、輝き始める。
グリ
「わたし……」
「……」
「これが、わたしの形で、よかったのね」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【グリを浄化した】
経験値+440
笑石のかけら獲得
称号獲得
『二つの世界を生きる者』
四郎
「二十九体目……!」
ヌラリ翁
「お前さん、いいペースじゃのう」
四郎
「あと、四十七体だけどな……」
その時。
霧の奥から、白く、輝く影が、すっと現れた。
標準語の、清らかな声。
ユニコーン・ユニ
「あら」
「皆さん、ずいぶん楽しそうですわね」
「……でも」
「わたくし、清純派でいることに、少し、疲れてしまって」




