第二十四話 オクヤと体当たりの限界
霧の中。
筋骨隆々の、大きな体。
標準語の、力強い声。
オーク・オクヤ。
オクヤ
「俺の芸は」
「体当たりリアクションだ」
「とにかく、全力でぶつかる」
四郎
「体力勝負タイプか」
オクヤ
「そうだ」
「……」
「だが」
少し、声が、沈む。
「最近」
「……」
「体が、ついてこない」
ドゴォォォォォォン!!
【限界結界】
発動。
世界中で。
「全力でやり続けることの限界」が、襲ってくる。
『前みたいに、頑張れない』
『気力はあるのに、体が追いつかない』
『無理が、利かなくなってきた』
四郎の体も、急に、重くなる。
HP
40000000
↓
25000000
オクヤ
「俺はずっと」
「……」
「全力でぶつかることだけが」
「自分の価値だと、思ってきた」
「……」
「でも」
「全力を出せなくなったら」
「俺には、何も残らない気がして」
四郎は、考えた。
これは。
これまでの戦いとは、少し違う種類の悩みだった。
全力を出せない自分への、恐怖。
四郎
「オクヤ」
「……」
「全力じゃなくても」
「……」
「お前のぶつかり方、ちゃんと、伝わってると思う」
オクヤ
「全力じゃなくても、か」
四郎
「うん」
「……」
「体当たりの強さは」
「力の大きさだけじゃなくて」
「……」
「向き合う気持ちの強さでも、あると思う」
静寂。
オクヤの体から、力みが、わずかに、抜けた。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第二十四奥義。
湿拳・等身大ぶつかり拳
効果。
『全力主義からの解放』
『今できる力で、ぶつかることの価値を示す』
四郎
「行くぞ!」
オクヤ
「俺、全力出せないと、意味がない!」
四郎
「今の全力で、十分意味あるぞぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
オクヤの体から、無理な力みが、消えていく。
オクヤ
「俺……」
「……」
「今のペースで、いいんだな」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【オクヤを浄化した】
経験値+410
笑石のかけら獲得
称号獲得
『等身大でぶつかる者』
四郎
「二十四体目……!」
霧の奥から。
標準語の、苛立った声が、聞こえてきた。
トロール・トロ吉
「おい、見たぞ」
「お前のやり方」
「……」
「正直、ダサくね?」
四郎
「いきなり喧嘩腰!?」




