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湿拳四郎 ~笑界湿度400%~  作者: 伝説の男前


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第二十一話 レイコと過去への執着

古い、映写機の音。


ジジジ……


砂浜に、ぼんやりと、映像が浮かぶ。


亡霊クリエイター・レイコ。


標準語。


どこか、ノスタルジックな声。


レイコ


「見て」


「……」


「これ、わたしの全盛期」


映像には。


若く、輝いていた頃の、レイコが映っていた。


舞台の上で、満場の拍手を浴びている。


レイコ


「あの頃、わたし」


「……」


「本当に、輝いてた」


「……」


「今は」


「もう、あんな風には、輝けない」


ドゴォォォォォォン!!


【過去美化結界】


発動。


世界中で。


「あの頃は良かった」という思いが、強まる。


『昔の方が、楽しかった』


『今の自分は、あの頃に劣っている』


『過去の栄光に、戻りたい』


四郎の中にも、昔の、思い出が、急に、強く蘇る。


HP


40000000



20000000


レイコ


「わたし、ずっと」


「……」


「あの頃の映像を、再生し続けてる」


「……」


「今の自分を、見たくないから」


四郎は、その映像を、じっと見つめた。


確かに。


若い頃のレイコは、輝いていた。


だが。


四郎


「レイコ」


「……」


「今のお前は、見てないのか?」


レイコ


「……」


「今の自分なんて」


「見る価値、ない」


四郎


「そんなことないと思う」


「……」


「過去は、大事な思い出だけど」


「……」


「今のお前にも、ちゃんと、価値があると思う」


静寂。


レイコの映像が、わずかに、揺らいだ。


四郎の胸の七つの傷が、輝く。


ドクン。


ドクン。


笑界編・第二十一奥義。


湿拳・今を撮る拳


効果。


『過去への執着を、今を生きる力に変える』

『「あの頃」だけでなく「今」にも価値があると気づかせる』


四郎


「行くぞ!」


レイコ


「過去の方が、輝いてたのよ!」


四郎


「今を、撮ってみろぉぉぉぉぉ!!」


ズガァァァァァァァァァン!!


直撃。


世界が光る。


映写機が、ゆっくりと、今の映像を、映し始める。


そこに映っていたのは。


四郎と、ヌラリ翁と、浄化されたモンスターたちの、賑やかな様子だった。


レイコ


「これも……」


「……」


「悪くないかも」


ぽたり。


ぽたり。


どばぁぁぁぁぁぁ!!


湿拳洪水発生。


【レイコを浄化した】


経験値+420


笑石のかけら獲得


称号獲得


『今を生きる者』


四郎


「二十一体目……!」


ヌラリ翁


「これで」


「日本妖怪区、全員じゃな」


四郎


「えっ、二十二体じゃなかったか?」


ヌラリ翁


「うむ、座敷童子のザシ子は」


「戦わんから、勘定に入らんでええ」


四郎


「ああ、そうか」


ヌラリ翁は、満足そうに、頷いた。


ヌラリ翁


「お前さん、見事じゃ」


「これで、第一の区を、突破したことになる」


四郎


「第一の区?」


ヌラリ翁


「この島には」


「七つの区がある」


「日本妖怪区」


「西洋モンスター区」


「悪魔区」


「怪獣区」


「……」


「そして、あと三つ」


四郎


「まだ五つもあるのか……」


その時。


海の向こうから。


霧が、立ち込めてきた。


四郎


「なんか、雰囲気変わった?」


ヌラリ翁


「ここからは」


「西洋モンスター区じゃ」


「お前さんの故郷の、洋風の妖怪たちが、待っとる」


霧の中から。


低い、唸るような声が、響いてきた。


南部弁の。


吸血鬼。


ヴァンパイア・ヴァン伯爵


「……ほう」


「東洋の戦士が、来たか」


「儂の相手、できるかの」

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