第十話 カラカサと縁の下の虚しさ
讃岐弁の傘。
くるくると、回りながら。
軽やかに、舞っている。
カラカサ
「うち、大道具の転換、得意なんよ」
「舞台裏で、さっと支える係なんよ」
四郎
「裏方なんだ」
カラカサ
「そうなんよ」
「……」
「ばってん」
「裏方って」
「誰も、覚えとらんのよ」
ドゴォォォォォォン!!
【見えない存在結界】
発動。
世界中で。
頑張っている人の存在が、急に、見えなくなる。
『誰も自分の頑張りに気づかない』
『縁の下の力持ちは、報われない』
『目立つ人ばかりが、評価される』
そんな虚しさが、広がっていく。
四郎の中にも。
その虚しさが、染み込んでくる。
HP
38000000
↓
22000000
四郎
「これ、結構、リアルにキツい……」
カラカサ
「うちはな」
「……」
「誰かが、舞台で輝くために」
「……」
「裏で、必死に支えてきたんよ」
「……」
「でも」
「誰も、うちの名前、覚えとらんとよ」
四郎は、考えた。
これは。
簡単には。
否定できない悩みだった。
実際に。
裏方は。
目立たない。
それでも。
四郎
「カラカサ」
「……」
「お前がいなかったら」
「……」
「舞台って、成立しないんだろ」
カラカサ
「……まあ、そうやけど」
四郎
「だったら、それでいいじゃん」
「……」
「目立たなくても、必要とされてることに、変わりはない」
カラカサの、回転が、わずかに緩んだ。
四郎の胸の七つの傷が、輝く。
ドクン。
ドクン。
笑界編・第十奥義。
湿拳・縁の下肯定拳
効果。
『目立たない頑張りに、価値があることを思い出させる』
『見えなくても、確かに支えていることを示す』
四郎
「行くぞ!」
カラカサ
「うち、誰にも見えとらんのよ!」
四郎
「オレには見えてるぞぉぉぉぉぉ!!」
ズガァァァァァァァァァン!!
直撃。
世界が光る。
カラカサの動きが、ふわりと、軽やかになる。
カラカサ
「うち……」
「……」
「見てもらえるの、久しぶりやわ」
ぽたり。
ぽたり。
どばぁぁぁぁぁぁ!!
湿拳洪水発生。
【カラカサを浄化した】
経験値+370
笑石のかけら獲得
称号獲得
『見えない努力を肯定する者』
四郎
「十体目……!」
その時。
地面の影から。
すうっと。
長い首が、伸びてきた。
北九州弁の。
ろくろ首。
ロクロナ
「あんた、なかなか面白かばい」
「次は、うちが相手したろ」




