小話.煌
最近、とある夢を繰り返し見ている。
夢を見始めて、思い出す――あぁ、また同じ夢だと……。
“キーン……コーン……カーン……コーン”
と鐘が鳴り響き、俺は見知らぬ場所で目を開ける。
夢の中では毎回、一つの部屋にたくさんの机と椅子がある場所から始まり、そこに居る人物達は、男女に分かれて同じ服装をしていた。
俺も例外ではなく、白いワイシャツに黒いズボンを履いている。
……何故かネクタイは着けてないが。
「おい、ーー! また寝てたのか? 今日は転校生が来るってさ!」
左に座っている人物が俺に話しかけているようだが、顔は霞んで表情が分からないうえ、名前にノイズがかかり、実際には俺に話しかけているか判断しづらい……たぶん、俺だろう。
だが、この事はあまり心配していない。
何故なら、夢の中では全て強制進行。
俺の言葉も、行動も、自由にはならなかったからだ。
「席につけ~! 転校生を紹介する」
「……」
部屋に入ってきた人物は二人。
俺は後に入って来たやつをじっと見ると、首を傾げる。
「髪なげー……女?」
何故かその人物だけ、モザイクがかかったように完全に容姿が分からなかったが、自分の口が勝手に動いて言葉を発した為、女みたいな髪が長い人物だという事が分かる。
***
景色が変わり、今度は建物の外にある広い場所に立っていた。
俺と転校生が並んで何かの合図を待っている。
回りからは俺を応援する男達の声と、転校生を応援する女達の声が入り交じっていた。
「ーー! 負けんじゃねーぞ!」
「やっちまえー!」
「きゃーっ! ーー君頑張ってー!」
「ーー君、ステキーー!」
……どうやら転校生は男で、かなり容姿が良いらしい。
夢の中だってのに、無性にイライラする。
「ちやほやされて良かったな」
「……嬉しい訳ないよね。凄く、うるさい――――」
声の感じからして、本気でウザったく思っているらしい。
何故かその言葉に呆気に取られ、こんな奴もいるんだなと考えていると、合図役が前に出る。
勝負が始まる予感に前を向き、“スタート!”のかけ声で同時に走り出した。
マジかよ……と心の中で呟く。
脚には自信があったが、こいつは同じくらい速い。
こんなに楽しい勝負は初めてだった――――……。
***
また場所が変わり、先程いた場所からさらに外側に立っていた。
……覚えている。
毎回ここからバラバラな映像になる。
“俺と転校生は、何度も勝負したのち、親友になる”
“その親友が、一人の人物に興味を持っており、協力すると約束して……”
それから……それから……?
……。
…………。
………………。
「やめろぉぉぉぉっ――――――!! 連れて行くなぁぁぁぁぁっ!」
突然ブツンと映像が消えると、辺りが暗闇に包まれ、激しいノイズの中に誰かの叫びが聞こえる。
そのあまりに悲痛な響きに、俺は勢いよく飛び上がって目覚めた。
「……」
「……」
「……何か、夢見てたっけ? ……ま、いっか…………」
――――俺は目覚めで全てを忘れ、また夢を見て思い出す。
何度も……何度も――――――――




