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黄昏の箱庭  作者: 天音凛
第三章・煌~対なる扉、想いの狭間で君を待つ~
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小話.煌

 最近、とある夢を繰り返し見ている。

 夢を見始めて、思い出す――あぁ、また同じ夢だと……。


 “キーン……コーン……カーン……コーン”

 と鐘が鳴り響き、俺は見知らぬ場所で目を開ける。

 夢の中では毎回、一つの部屋にたくさんの机と椅子がある場所から始まり、そこに居る人物達は、男女に分かれて同じ服装をしていた。

 俺も例外ではなく、白いワイシャツに黒いズボンを履いている。

 ……何故かネクタイは着けてないが。


「おい、ーー! また寝てたのか? 今日は転校生が来るってさ!」


 左に座っている人物が俺に話しかけているようだが、顔は霞んで表情が分からないうえ、名前にノイズがかかり、実際には俺に話しかけているか判断しづらい……たぶん、俺だろう。

 だが、この事はあまり心配していない。

 何故なら、夢の中では全て強制進行。

 俺の言葉も、行動も、自由にはならなかったからだ。


「席につけ~! 転校生を紹介する」

「……」


 部屋に入ってきた人物は二人。

 俺は後に入って来たやつをじっと見ると、首を傾げる。


「髪なげー……女?」


 何故かその人物だけ、モザイクがかかったように完全に容姿が分からなかったが、自分の口が勝手に動いて言葉を発した為、女みたいな髪が長い人物だという事が分かる。


 ***


 景色が変わり、今度は建物の外にある広い場所に立っていた。

 俺と転校生が並んで何かの合図を待っている。

 回りからは俺を応援する男達の声と、転校生を応援する女達の声が入り交じっていた。


「ーー! 負けんじゃねーぞ!」

「やっちまえー!」

「きゃーっ! ーー君頑張ってー!」

「ーー君、ステキーー!」


 ……どうやら転校生は男で、かなり容姿が良いらしい。

 夢の中だってのに、無性にイライラする。


「ちやほやされて良かったな」

「……嬉しい訳ないよね。凄く、うるさい――――」


 声の感じからして、本気でウザったく思っているらしい。

 何故かその言葉に呆気に取られ、こんな奴もいるんだなと考えていると、合図役が前に出る。

 勝負が始まる予感に前を向き、“スタート!”のかけ声で同時に走り出した。

 マジかよ……と心の中で呟く。

 脚には自信があったが、こいつは同じくらい速い。

 こんなに楽しい勝負は初めてだった――――……。


 ***


 また場所が変わり、先程いた場所からさらに外側に立っていた。

 ……覚えている。

 毎回ここからバラバラな映像になる。


 “俺と転校生は、何度も勝負したのち、親友になる”

 “その親友が、一人の人物に興味を持っており、協力すると約束して……”


 それから……それから……?

 ……。

 …………。

 ………………。


「やめろぉぉぉぉっ――――――!! 連れて行くなぁぁぁぁぁっ!」


 突然ブツンと映像が消えると、辺りが暗闇に包まれ、激しいノイズの中に誰かの叫びが聞こえる。

 そのあまりに悲痛な響きに、俺は勢いよく飛び上がって目覚めた。 


「……」

「……」

「……何か、夢見てたっけ? ……ま、いっか…………」


 ――――俺は目覚めで全てを忘れ、また夢を見て思い出す。

 何度も……何度も――――――――


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