小話.???
静まり返る廊下に一筋の光が差し込む。
引き寄せられるように、僅かに空いた扉から中の様子を見てしまった。
ヒナタの手を優しく包み、微笑む朔。
何故だろうか……二人だけの空間はとても暖かく、そして眩しく映った。
これ以上は見てはいけない……――無意識で手に力が込もって、爪が手のひらに食い込んだ痛さで気付く。
――――自分は今なんて顔をしているんだろうか。
簡単に想像がつく……何て醜いんだ。
悔しさか悲しさか分からない感情で、頭がおかしくなりそうだ!
今すぐに中に入って――――……。
……どうするというのだろう?
自分が自分じゃないみたいだ。
何故か今の二人を見ているとイライラが止まらない。
波立つ感情のまま二人を見ていると、肩を叩かれる。
「何してるの?」
「……蛍」
ニコニコといつも通りの表情で後ろに立っていた蛍は、俺の状況と部屋の様子を見比べまた微笑む。
「うん、朔は大丈夫だね。さ、部屋に戻ろう!」
「……」
「覗きは駄目だよ~、ほら早く早く!」
中々動かない俺の背を、蛍がぐいぐい押して部屋から遠ざける。
蛍の鼻歌を聞きながらそのまま歩いていると、突然フッと胸の苦しみが消えたのが分かった。
「?」
「ん? どうかした?」
「……」
胸の辺りを撫でてみる……何ともない。
横で首を傾げる蛍の顔をみながら考えても答えはでず、俺は騒ぎだした蛍を置いて部屋に歩きだした。
一体何だったのだろうか?
もう見えない朔の部屋の方に振り向いたが、すぐに考えるのをやめる。
――――何故かその答えは出してはいけない気がした。




