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黄昏の箱庭  作者: 天音凛
第一章・蛍~忘れること無かれ、君との思ひ出~
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結‐3.お部屋交渉

せいやぁ!(とりあえず、投稿!)←オイッ

 慌てて準備をして、5人で屋敷から外に出ると、睡蓮が見送りにきた。


「また、来るがよい」


 ニコニコと笑いながら手を振る睡蓮さんに、私も手を大きく振り返して歩き出した。


「ヒナタ」


 一番後ろで並んで歩いていた蛍が、手を口元に当てて、小声でヒナタを呼ぶ。


「ちょっと落ち着いたらまた花畑に行こう」

「良いけど、あの場所は秘密だよね? 3人に見付からずに抜けられるかな……」


 不安げなヒナタに蛍は楽しそうな表情になる。


「何とかする。ううん、してみせる。だから、行こう」

「もう、蛍ってば悪い顔になってるよ? ……分かった、行こう」


 イタズラを思いついたような不敵な笑みを浮かべる蛍に、ヒナタは苦笑いしながら誘いを了承したのであった。



 ***



 屋敷に着くと、蛍はさっそく昴に部屋の交換を頼んでいた。


 可愛らしく小首を傾げて、上目遣いで昴さんを見てる――蛍、それは逆効果なんじゃないかな?

 昴さんが無表情だから!

 むしろ、鎌を背中からチラつかせて何してるのかな!?


「ね、いいでしょ? 僕の部屋の隣なら、一番昴の部屋から遠いよね?」

「……」

「昴は今まで通り、ヒナタに関わらなくていいし、何かあったら僕が傍に居るから! ね? お願い」


 “キュルン”と効果音が聞こえた気がした。

 しかし、昴の冷たい瞳に変化は無い。


「さすが昴様……揺るぎ無しですね。素晴らしい!」

「どうでもいいんだけど」


 ちょっとずれてる朔と、暇そうにあくびをしている煌を横目に、昴は右の眉をピクリとつり上げる。


「朔」


 昴が蛍に背を向け朔を呼びつけると、その声に素早く反応し、朔がキリリと執事モードになった。


「はい、昴様」

「……あの部屋に移動させろ」


 昴はチラリとヒナタを見ると、一瞬苦悩の表情をしながらも朔に指示を出す。

 その言葉に朔は目を見開いて、驚きの表情を浮かべた。


「まさか、あの部屋でございますか?」

「あぁ」

「はい、承知いたしました……」


 朔の言葉を聞くと、用は終わったと言わんばかりに、昴はさっさと屋敷の中に入ってしまった。

 そんな昴の背中を、蛍は不思議そうな表情で見送る。


「朔、あの部屋って……“あの?”」

「そのようです…………“昴様の隣”です」


 えぇっ!? 嫌がってたのに何で……隣!?


 ヒナタが一人パニックになっていると、朔が不服そうにじっとりとした瞳でヒナタを見る。


「あの部屋は特別なんです。それを貴女に貸すなんて……。」

「えっと、や、やっぱり今の部屋で――――」

「ダメだよ」


 蛍がヒナタの肩に手を置き、輝かしい笑顔で顔を覗き込む。


「昴の隣は納得いかないけど、なるべく近くにいてほしいよ」

「うっ……」


 蛍の懇願にヒナタの意志が折れたのは言うまでもない。


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