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転生したら、魔王と呼ばれた私が、ただ花を咲かせていた話 第四部  作者: マスター


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第八十三話「第五部、開幕。帰ってきたら、ルナが変わっていた」

八十三話目です。第五部、開幕です。


ゴルのところから帰ってきました。でも、帰ってきたら、何かが変わっていました。


変わったのは、集落ではなく、ルナでした。


では、どうぞ。

シロが、帰り道も速かった。


ルナが待っているから、という速さだった。


集落の手前で、シロが止まった。


いつもと違う止まり方だった。


「どうしましたか」


シロが、耳を立てた。


前方を向いた。


それから、首を傾けた。


「不思議な感じですか」


シロが、また首を傾けた。


「何がいますか」


シロが尻尾を振った。


危険ではない、という振り方だった。


「ルナですか」


シロが、また首を傾けた。


ルナだが、少し違う、という感じだった。


「行きましょう」



集落に入った。


ルナが、広場にいた。


でも、いつもと違った。


目を閉じて、立っていた。


両手を、少し広げていた。


「ルナ」と声をかけた。


ルナが、目を開けた。


「あ、帰ってきた」


「何をしていましたか」


「感じていました」


「何をですか」


「集落の状態を」


「目を閉じて、感じていたんですか」


「そうです。手を広げると、少し分かりやすい気がします」


「いつから、そういうことをしていますか」


「カナさんが行ってから、一週間くらいです」


「カナさんが帰った後から、ですか」


「そうです。カナさんが感じ取っているのを、ずっと見ていました。どうやっているのか、真似してみました」


「感じ取れましたか」


「少し、分かります」とルナは言った。「全部は分からないですが、今日は昨日より土が柔らかい、とか、あの木は元気、とか」


「それは、大きな変化ですね」


「そうですか」


「そうです。感じ取れることが増えると、変化に早く気づけます」


「そうですね。今日、一つ気になることを感じました」


「なんですか」


「北側の、端の木が、少し水が足りていない感じがします」


「そうですか。確認してみましょう」


北側の端の木に行った。


手を当てた。


「そうですね。少し乾いています。昨日の雨が、届いていないようです」


「合っていましたか」


「合っていましたよ」


ルナが、少し誇らしそうな顔をした。


「合いましたね」


「合いましたね」


「毎日やっていたら、少し分かるようになりました」


「そうですね。毎日続けることで、感じ取る目が育ちます。ルナが一番よく分かっているはずですね、その経験が」


「精霊で学びました」とルナは言った。「毎日来ていたら、精霊が何を感じているか、少し分かるようになりました。それと同じでした」


「精霊から、集落の感じ方を学んだんですね」


「そうです。全部つながっていますね」


「そうですね」



ガルが来た。


「お帰りなさい、凪様」


「ただいまです。ルナが、感じ取っていましたね」


「そうです。カナ様が帰られた後から、始めました。最初は、何も分からない、と言っていましたが、一週間で少し変わってきました」


「ガルさんは、見ていたんですか」


「見ていました。毎朝、同じ場所で、目を閉じて立っています。最初は、数分で諦めていました。今は、三十分ほどやっています」


「三十分も、やっているんですか」


「そうです。好きなことは、続けられます」


「そうですね」


「凪様、集落の状態が、また変わりました」


「どのくらいですか」


「ルナが感じ取り始めてから、集落の状態が良くなっています。感じ取れると、問題に早く気づいて、早く対処できます」


「そうですね」


「数字でいえば、二十八になっていると思います」


「ガルさんが感じましたか」


「感じました。凪様が確認してください」


地面に手を当てた。


感じた。


「二十八、ありますね。二十七よりも、余裕があります」


「そうですね」


「ルナが感じ取り始めたことで、変わりましたね」


「そうだと思います」



夕食の後、ルナに石を渡した。


「ゴルの山から持ってきました」


ルナが、受け取った。


「重い」


「ゴルの集落の岩から来た石です」


「硬い」


「そうですね」


「ゴルらしい石ですね」


「ゴルらしいです」


ルナが、石を持った。


「これが、次の往復の石ですね」


「そうです。次に行くとき、また渡してください」


「分かりました」


ルナが、石を置いて、レナの石と並べた。


「レナさんの石と、ゴルの石が、並んでいます」


「そうですね」


「レナさんの石は、川に磨かれた石です。ゴルの石は、岩から来た石です。形が違います」


「そうですね」


「でも、どちらも、大事な石です」


「大事な石ですね」


「ナギが返してきた石と、ナギが持ち帰った石。どちらも、つながりの証拠です」


「そうですね」


ルナが、二つの石を並べたまま、私を見た。


「ゴルのところで、何がありましたか」


「石を返しました。レナさんに」


「喜んでくれましたか」


「喜んでくれました。旅した石は、色々なものが染み込んでいると言ってくれました」


「旅した石、いい言葉ですね」


「いい言葉ですね」


「記録帳に書きます」とルナは言った。


「書いてください」


「それと、東側の斜面に木の芽が出たのも、見ましたか」


「見ました。小さな芽が、岩の隙間に出ていました」


「ゴルは、喜んでいましたか」


「嬉しかった、と言っていました。短く、でも確かに言っていました」


「ゴルらしいですね」


「そうですね」


「手紙、届いていましたか」


「届いていました。ラグル族が先に走ってくれたので、私より先に届いていました」


「それは、計算通りです」とルナは言った。得意そうに言った。


「計算していたんですか」


「そうです。凪より先に届けたかったから、早めに送りました」


「そうでしたか」


「ゴルが読んでいてくれれば、凪が来たとき、話が早いかと思いました」


「計算できるようになりましたね」


「カナさんの影響です」


「カナさんが計算しながら動くのを、見ていたんですね」


「見ていました。計算することが、大事だと分かりました」


「そうですね」



その夜、池に行った。


ルナと一緒に行った。


アオが出てきた。


ルミが出てきた。


水面から、顔が出た。


「ルミ、元気そうですね」


「元気です。私が感じ取り始めてから、ルミの動きが変わりました」


「どう変わりましたか」


「前より、積極的になった気がします。私が感じ取ろうとしているから、ルミも積極的に出てくるようになった気がします」


「精霊が、感じ取られることで、活発になる」


「そう思います。感じ取る人がいると、精霊も動きやすくなるのかもしれないです」


「面白い考え方ですね」


「記録で確かめてみます」


「どうやって確かめますか」


「感じ取る日と、感じ取らない日を作ってみます。また実験です」


「また実験をするんですね」


「気になることは、確かめます」とルナは言った。「凪みたいに」


「そうですね」


ルミが、水面をくるくると泳いだ。


嬉しそうな動きだった。


「ルミが喜んでいますね」


「帰ってきたから、ですかね」


「そうかもしれないですね」


ルナが、水に指を入れた。


ルミが、触れた。


「くすぐったいですか」


「くすぐったいです。でも、今日は少し違います」


「どう違いますか」


「なんか、強いです。触れてくる力が」


「強くなりましたね、ルミが」


「そうです。前は、もっと弱かったです」


「成長していますね」


「成長しています。毎日会っているのに、毎日少し違います」


「変わり続けているんですね」


「そうです。変わり続けているから、毎日来たいです」


「止まらないですね、ルナも」


「止まらないです」とルナは言った。「気になることがあるから、止まれないです」


「気になることに向かっていますね」


「うつりました、ナギから」


池の水面が、夜の光を受けて揺れていた。


アオが光って、ルミが光って、二つの光が水面で揺れていた。


「きれいですね」


「うん」とルナは言った。「毎日来ているのに、毎回きれいです」


「変わり続けているから、毎回きれいですね」


「そうです。前に言ったことを、ナギも覚えていますね」


「覚えています」


「記録しなくても、覚えていることがあります」


「そうですね。大事なことは、覚えています」


「ルナが言ったことが、大事なことですか」


「大事なことです」


ルナが、また池を見た。


「第五部は、どこに行くんですか」


「まだ分からないですが、気になることが出てくると思います」


「どこから出てきますか」


「色々なところから来ます。今まで、ゴルから来たり、ベルクから来たり、ルースから来たりしました」


「次は、どこから来ますか」


「分からないですが、出てくると思います」


「出てきたら、教えてください」


「教えます」


「私も、気になることが出てきたら、教えます」


「どんなことが気になっていますか、今」


「精霊が、どこから生まれるか、まだ気になっています」


「そうですね」


「それと、感じ取る力が、もっと育つか、気になります」


「育ちますよ」


「言い切りましたね」


「育つことは、言い切れます。続けていれば、必ず育ちます」


「じゃあ、続けます」


「続けてください」


「続けます」とルナは言った。


ルミが、また光を強くした。


「ルミも、続けてほしいと思っているかもしれないですね」


「思っていると思います。全部つながっているから」


「そうですね」


夏の夜が、続いていた。


第五部が、静かに始まっていた。

八十三話目、書きました。第五部、開幕です。


「帰ってきたら、ルナが変わっていた」という展開にしました。凪が去っている間に、ルナが自分で感じ取る練習を始めていた。カナが去ったことで、ルナが自分でやるしかなくなった。離れることが、成長を促すこともある。


「精霊から、集落の感じ方を学んだ」というルナの言葉。毎日精霊と向き合うことで育った感性が、集落の感じ取りにも応用できた。全部がつながっている、が、こういう形でも出ました。


「計算通りです」とルナが言った場面。手紙を先に送ることを、計算していた。カナの影響が、ルナの思考の仕方を変えていた。去った人の影響が、残っている。


集落が二十八になった、という数字。ルナが感じ取り始めてから変わった、というガルの観察。一人が感じ取れるようになることで、集落が変わる。これは、凪だけが感じ取ることができなくなっても、集落が続いていける状態になってきたことを示しています。


第五部では、どこから新しい気になることが来るか、まだ決まっていない。でも、来ると思います。


また明日。


原案・構想:マスター

物語構成・本文作成・文体調整:クルス(Claude)

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