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『銀河最高峰の魔法科学国家、日本の東京にゲートを開いてしまう ~専守防衛(無敵)の精神で、現代兵器もダンジョンもすべて優しく無力化いたします~』  作者: 藤台団二
第1章:ゲート開通と「お節介」なファーストコンタクト

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第8話:泥を被った硝子(ガラス)の盾

第8話をお届けします。今回は、政界大崩壊の議場に残された「一人の古参政治家」にスポットを当てた、胸が熱くなるエピソードです。

ただの悪党一掃にとどまらず、ドス黒い政界の闇の中で、泥を被りながらも日本の未来(若手議員)を守ろうとしていたおとこの生き様が、ルシードの魔道具によって白日の下に晒されます。そして、日本の真の支配者である「同盟国A国」の影が浮き彫りになる、緊迫の展開をお楽しみください。

――し~ん、と静まり返った国会本会議場。


野党、与党、そして内閣総理大臣にいたるまで、数百人もの利権政治家と売国奴たちが黄金の光の粒子となって掻き消えた、あまりにも不気味で絶対的な静寂。


議場内には、主を失った無数のマイクがただ冷たく突っ立ち、宙には彼らがパニックで撒き散らした書類の束が、雪のようにゆっくりとひらひらと舞い落ちていた。


テレビカメラの向こう側で、


そしてネットの生配信の前で、


日本中の何千万という国民が「一体何が起きたんだ……」と開いた口が塞がらなくなっている。


その静寂の中で、傍聴席の最前列から身を乗り出していた自衛隊の天野晴斗一尉は、議場に残されたわずか数人の人影を見て、我が目を疑った。


(……嘘だろ。なんで、なんであの人が残っているんだ……!?)



そこにぽつんと、しかし大樹のように深く根を張って座っていたのは、白髪の老議員だった。



鬼塚おにづか衆議院議員。


当選回数二桁を数え、マスコミからは毎日のように

「昭和の老害」

「利権塗れのタカ派」

「政界のドス黒い黒幕」として、徹底的に叩かれ、国民から最も嫌悪されていた古参の重鎮政治家である。


汚職や裏金、他国への迎合を理由に、現職の国会議員の九割九分が一瞬で強制デトックスされたというのに、なぜかその「悪名の塊」である鬼塚だけが、小鳥遊たかなしをはじめとする、本当に純粋で誠実な数人の若手議員たちに混ざり、ただ一人、静かに背筋を伸ばして泰然と座っていたのだ。


鬼塚は衣服についた書類の紙屑を軽く払うと、ゆっくりとした足取りで壇上へと歩み出た。


そして、傍聴席のルシードをまっすぐに見上げると、長年の激務でひび割れた、しゃがれた声で静かに問いかけた。


「ザーランド王国の使節殿。……ひとつ、聞かせてくれんかね。

なぜ、私を追放しなかった……?

自分で言うのも何だが、私は世間から汚職に塗れた売国奴、国を停滞させる老害だと毎日罵られ、嫌われている老いぼれだぞ。

君らの持つ、その神聖な『天秤』とやらは……実はただの不良品で、どこか壊れているんじゃないかね?」


鬼塚の言葉は、自虐でありながらも、どこか自分の運命をすべて悟りきったかのような、枯れた静けさを含んでいた。


だが、ルシードはその問いに対し、慈愛に満ちた眼差しを向けながら、静かに首を振った。


「いいえ、鬼塚さん。

我が国が誇る『真実の天秤』は、因果の物理法則そのものを数値化する魔道具です。

絶対に狂うことも、不良を起こすこともありません。

あなたの『言葉』の奥にある精神波動、魔力波形は……先ほどこの場から消え去った卑しき者たちとは、全く異なっていた。

あなたの魂は、あまりにも深く、そして……痛々しいほどの硝子の輝きを放っていました。


鬼塚さん、あなたがこれまで独りで背負い続けてきた『真実』を、ここに開示しましょう」


ルシードが、その白い手袋に包まれた指を静かに鳴らす。


その合図とともに、国会中継の画面をジャックしたままの巨大なホログラフィックスクリーンが、無人の議場へ三たび鮮明な映像を展開した。


最初に映し出されたのは、数年前の、薄暗い地下駐車場の映像だった。


鬼塚の前に立っていたのは、高級な仕立てのスーツを着ているが、その目が蛇のように冷酷に濁った、見慣れない外国人の男だった。


男は鬼塚に向けて、数枚の隠し撮り写真と、不気味な英文の書類を突きつけていた。


そこに写っていたのは、鬼塚のまだ幼い初孫と、彼の娘夫婦が楽しそうに公園で遊んでいる姿だった。


『鬼塚先生。

お孫さんは可愛い盛りですな。歩き始めたばかりだとか。


……明日の安全保障法案の採決、我が国の思い通りの文面に修正し、賛成票を投じてもらわねば……彼らの身の安全は、明日以降、一切保証できませんよ?


我が国の諜報局を怒らせたら、事故に見せかけて人間を消すなど、瞬きをするよりも容易いことだ』


男は冷酷に笑い、鬼塚の肩を叩く。


画面の中の鬼塚は、拳を爪が皮膚を突き破り、血がジワリと滲むほどに固く、固く握りしめていた。


その顔は怒りと、それ以上の絶望で激しく歪み、しかし、人質に取られた愛する家族の命を守るため――不本意に、地獄の底から這い出るような声で、コクリと頷いていたのだ。


「家族の、お孫さんの安否を人質に取られ、従わざるを得なかったのですね……」


傍聴席のミリアが、その残酷な映像に胸を締め付けられたように両手を合わせ、悲しそうに声を漏らした。


だが、真実の天秤がさらに映し出した「その後の記録」は、議場に残された若手議員たち、そしてテレビやネットの向こう側で画面を見つめていた全ての日本国民の心を、激しく、猛烈に揺さぶることとなる。


画面に映し出されたのは、鬼塚がその脅迫によって受け取らざるを得なかった、大国からの巨額の「汚れた資金」の、その後の正確な資金流動グラフだった。国税庁の監査すら潜り抜けるような複雑なルートを、魔道具の光がすべて一本の線に繋ぎ合わせていく。


その数億円、数十億円にのぼる莫大な資金は、鬼塚自身の私腹を肥やすためには、ただの1円すら使われていなかった。


すべてがダミーの財団や匿名の寄付を通じて、地元の母子家庭の支援団体や、生活困窮者のための孤児院、あるいは医療費がない貧しい人々のための奨学金へと、誰にも知られることなく秘密裏に流されていたのだ。


それどころか、支援活動の資金が少しでも足りないとなれば、鬼塚は自身の議員報酬や、先祖代々受け継いできた私財のすべてを民間に投じ、自分の口座残高をほぼゼロにしながら、ボロ家で質素な生活を送っていた。


そして何より――グラフの終着点を見た瞬間。


「これは……嘘、だろ……」


議場にぽつんと残されていた若手議員の筆頭、小鳥遊が、頭を殴られたかのような衝撃に声を詰まらせて絶句した。


画面には、鬼塚が幾重もの迂回ルートを使い、


小鳥遊たち「本当にこの国を良くしようと、利権に加担せず必死に戦っている、志の高い無所属や若手の議員」の政治活動資金を、裏から文字通り命がけで、全額支え続けていた決定的な証拠が、クッキリと記録されていたのだ。


マスコミに叩かれ、資金難でいつ潰れてもおかしくなかった小鳥遊たちの事務所が、なぜか今日まで存続できていた理由。


そのすべての「盾」となり、資金を提供していた黒幕こそが、彼らが「老害」と呼んで蔑んでいた、鬼塚その人だった。


「鬼塚先生……!


私が、私たちがこれまで理不尽な圧力に屈せず、理想を叫び続けられたのは……先生が裏でドス黒い泥を泥を全部被りながら、私たちを守り、資金を提供してくださっていたからなのですか……!?


知らなかった……! 私は、先生をただの汚い利権政治家だとばかり思い込んで、選挙のたびに批判の声を上げていた……っ!」


小鳥遊は、自身の無知と、老議員のあまりにも巨大な自己犠牲の前に、崩れ落ちるように床に膝をついた。


そして、


大粒の涙を床にボタボタと溢れさせながら、鬼塚に向けて全力で頭を下げた。


日本中のSNSは、今や驚愕と、猛烈な悔恨の涙でタイムラインが文字通りフラッシュしていた。


『おい、俺たちはなんて人間を叩いてたんだよ……』


『悪徳政治家どころか、一人で泥水を飲みながら若手を育ててた本物の漢じゃねえか』


『マスコミは鬼塚先生に今すぐ土下座して謝れ!!!』


『家族を守って、貧しい人を救って、日本の未来まで裏で支えてたのかよ……泣けてくるわ』


だが、鬼塚は小鳥遊の涙の謝罪を、シワだらけの手で優しく、しかし毅然と拒み、自嘲気味に静かに首を振った。


「……頭を上げたまえ、小鳥遊くん。


そんなものは、私の犯した罪の言い訳にはならんよ。


どんな理由があろうとも、私は国を売る手伝いをした売国奴だ。


家族を人質に取られたからと、正面からあの悪党どもに立ち向かうことができなかった、ただの卑怯者なのだからな。


私が法案を通したことで、日本が不利益を被った事実に変わりはない。


……使節殿、もう十分だ。


私の醜態を晒すのは終わりにしてくれ。


そして頼む、私を今すぐ、あの汚物どもと同じ地獄へ追放してくれ。


それだけが、私が受けるべき当然の罰だ」


鬼塚の言葉は、保身など微塵も考えていない、自らをただ厳罰に処することを望む、あまりにも痛切で、そして美しい「誠実さ」に満ちていた。


その姿を見たルシードは、胸の奥から湧き上がる激しい感動に、その身体を震わせた。


彼の碧い瞳が、老政治家への底知れない敬意と、狂おしいほどの同情で潤んでいく。


「なんという……なんという気高く、高潔な魂だ……!」


ルシードの声は、震えていた。


「自らが泥を被り、世界中から悪名を背負い、石を投げられながらも……


未来の苗木である若き志士たちを守り、傷つきやすい弱い民を、独りで支え続けていたというのですか……!

魔法の絶対防衛バリアすら持たないこれほど過酷な世界で、己の身を磨り潰して『硝子の盾』となり、不戦の理想の裏側を支えていたなんて!


鬼塚さん、


あなたこそ、この泥に塗れた地球という星に隠されていた、真の真珠だ!」


「本当に、本当にかっこいいおじいちゃんですーーっ!


私、もう涙が止まりませ~~ん!」


ミリアは再び新しいハンカチを引っ張り出し、子供のように声を上げて号泣している。


ルシードは、まっすぐに鬼塚を見つめ、議場全体に響き渡る厳かな声で告げた。


「我が国の専守防衛システムは、あなたのような真の義人を罰することは絶対にありません。


悪いのはあなたではない。


あなたの家族への深い愛と、優しさを人質に取り、この健気な日本という国を、裏から糸で操って貪り尽くしていた『本当の悪意』です」


ルシードが手の中の『真実の天秤』を天に掲げると、天秤の光は鬼塚を脅迫していた男の「背後の組織」を、ホログラムの最上部に血のような赤色で弾き出した。


そこに浮かび上がったのは、日本の同盟国であるはずの、地球最強の超大国――『A国中央諜報局(CIA)』の、冷徹な鷲の紋章だった。


「同盟国……A国……」


傍聴席の天野一尉が、血の気が完全に引いた顔で、その巨大な紋章を見つめた。


自衛隊の最高同盟国が、実は日本を侵略している元凶だったという、最悪の真実。


「彼らは、日本を裏から家畜のように操作し、利用する『ハンドラー(調教師)』と呼ばれる存在です」


ルシードの冷ややかな言葉とともに、無人の議場は、地球の国際政治という名の巨大な深淵へ向けて、静かに、しかし絶対的な牙を剥き始めようとしていた。

第8話をお読みいただき、ありがとうございました!

世間から叩かれていた古参議員・鬼塚の、泥を被ったあまりにも高潔な本性が暴かれる感動回となりました。そして、物語の矛先はついに「日本の真の支配者」である同盟国A国のエージェントへと向けられます。


次回、第9話では、鬼塚や日本を脅かしていたA国のハンドラーたちに対し、ルシードが「専守防衛の拡大もし今回の鬼塚議員の生き様や、A国の陰謀の暴露展開が熱いと感じていただけましたら、ぜひ感想の書き込みや作品への評価(ブックマーク・応援)をよろしくお願いいたします!適用」を宣言。


日本全土を巻き込む、地球規模のデトックス(ざまぁ)が幕を開けます!


もし今回の鬼塚議員の生き様や、A国の陰謀の暴露展開が熱いと感じていただけましたら、ぜひ感想の書き込みや作品への評価(ブックマーク・応援)をよろしくお願いいたします!

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異世界転移(※ゲートもの)・ 異世界 ・現代 ・ローファンタジー ・魔法科学 ・超文明・ 圧倒的格差・ 専守防衛 ・ほのぼの ・内政/交渉・ 自衛隊 ・ダンジョン ・ネット通販/グルメ・ 主人公最強(国家)・ ざまぁ(技術格差による無自覚無双)
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