第14話:大氾濫(スタンピード)発生! 東京崩壊のカウントダウン
第14話をお届けします!
ついに新宿ダンジョンが完全崩壊し、地上最悪の災害『大氾濫』が幕を開けます。
日本を見捨て、核兵器で焼き払えと叫ぶ海外の大国たちの醜悪なヘイト描写を肉厚に補強しつつ、それを「向こうから生ゴミが出てくるなんてラッキー!」と笑顔で返すルシードたちの圧倒的な格差をではでは、お楽しみください!
ルシードとミリアが新宿ダンジョンの2層目で「粗大ゴミの広域一網打尽」を行っていたまさにその頃、地上の地球社会は、有史以来最大となる絶望の渦に呑み込まれていた。
――新宿ダンジョン、魔力臨界点を突破。完全崩壊まで、あと1時間。
防衛省が発した最悪の緊急警告は、瞬時にして日本全土、そして全世界のメディアを駆け巡った。
新宿駅の周辺一帯には、不気味な空襲警報のようなサイレンが鳴り響き、地下の亀裂からは、地響きと共にどろりとした赤黒い魔素の霧が噴き出し始めている。
大気が不気味に赤く染まり、まるで東京全体が巨大な怪物の胃袋に呑み込まれていくかのような、圧倒的な終末のビジュアルがそこにはあった。
これを受け、世界各国の主要メディアは、一斉に「人類滅亡の始まり」として、異様な熱を帯びた緊急特番を組み始めた。
特に、第1章で日本国内の工作員を一掃され、先ほど2層目で最高機密のサイボーグ部隊を「ポイ捨て」された超大国A国の報道陣は、日本の危機を哀れむどころか、ここぞとばかりに邪悪な嘲笑を隠そうともしなかった。
国際ニュース番組の画面の向こうで、A国の有名な軍事専門家が、ふんぞり返りながら冷酷な笑みを浮かべて解説する。
『――ご覧ください、これが自国の同盟国を裏切り、異世界の甘言に乗った日本の末路です。
新宿の地下には、少なくとも数万、最悪で数十万の凶悪な怪獣がひしめき合っている。
彼らが地上に溢れ出せば、防衛バリアを持たない生身の日本国民は、わずか数時間で骨も残さず貪り尽くされるでしょう。
これは神が与えた罰であり、我が国の救いの手を拒んだ自業自得です。
我が国は一切、日本を助けません。
難民の受け入れも断固拒否します!』
C国や他の隣国たちも、メディアを通じて
『日本は世界のバイオハザードの源だ』
『直ちに日本全土を核兵器で消滅させ、怪物の拡散を防ぐべきだ』
と、狂ったようなヘイトを大拡散していた。
世界中が日本を見捨て、嘲笑し、あるいは恐怖のあまりに「早く日本ごと怪物どもを消し去れ」と絶叫していたのだ。
だが、そんな地球規模のドス黒い悪意と絶望を向けられている新生・日本臨時政府の地下作戦室は、奇妙なほどに、静かで落ち着いていた。
「……小鳥遊首相代行。海外のメディアは、我が国が数時間で滅亡すると大はしゃぎしているようですな」
最高顧問の鬼塚が、手にしたタブレットに映る海外のヘイトニュースを見つめながら、フッと鼻で笑った。
「ええ。ですが、彼らはまだ知らないのですよ」
小鳥遊は、かつてないほどに深く、そして穏やかな笑みを浮かべてコーヒーを口に運んだ。
「我が国の足元にあるものが、ただの『三角コーナーの生ゴミ』に過ぎないということをね」
その時、自動ドアが開き、新宿の地下から戻ってきたルシードとミリア、そしてメロン大の深紅のエネルギー結晶を大事そうに抱えた天野晴斗一尉が入室してきた。
「お待たせしました、小鳥遊さん!
地下の2層目までのお掃除をサクッと終わらせてきましたよ。
ほら、これがその時のゴミから出たリサイクル燃料です」
ルシードが爽やかに指差すと、天野一尉がガタガタと震えながら、その結晶を作戦机の上にそっと置いた。
「し、首相代行……。これ1個で、日本の全電力を50年間、完全無償で賄えるそうです……。
もう、アラブの石油も、ロシアの天然ガスも、我が国には一切必要ありません……」
「……それは素晴らしいな。ありがとう、天野一尉」
小鳥遊は驚くどころか、もはや「やっぱりね」と言わんばかりの表情で頷いた。
第1章の政界大洗濯を経て、日本政府の幹部たちは、ザーランド王国の「常識の壊れっぷり」に対する完璧な耐性を身につけていたのだ。
「ルシード殿、ミリア殿。実は、ダンジョンの最深部が限界を迎え、あと数十分で数万頭の『生ゴミ』が地上へと一斉に溢れ出してくるそうです。
海外の大国は、我が国を核で焼き払えと騒いでおりますが……」
小鳥遊がそう切り出すと、ルシードの隣にいたミリアが、大きな目をパチクリとさせて不思議そうに首を傾げた。
「え? 核兵器で焼き払う?
なんでそんな不衛生で危ないことをするんですか?
生ゴミが向こうから勝手に地上へ出てきてくれるなんて、わざわざ奥まで拾いに行く手間が省けて、最高にラッキーじゃないですか!」
ミリアの口から飛び出したのは、地球上のどんな軍事専門家も予想し得ない、狂気とも言える「お掃除ロボット」のごときド正論(ザーランド基準)だった。
「ええ、ミリアの言う通りです」
ルシードも優しく微笑み、小鳥遊たちの不安をすべて包み込むように頷いた。
「地球の皆さんは魔法科学の分別システムがありませんから、数万ものエネルギー廃棄物が一気に噴き出したら、確かに街が汚れてしまいますよね。
安心してください、同盟を結んだ我が同胞(日本)の街を、生ゴミごときに汚させはしません。……ミリア、新宿駅のすべての出口の空間座標をロック。
出力1%で『全自動エネルギークラッキングシールド』を地上に展開しなさい」
「了解しました、ルシード様!
新宿駅前、超大型全自動ゴミ箱化計画、スタートです!」
ミリアが元気いっぱいに魔導杖を掲げると、その先端から放たれた目も眩むような黄金の光の粒子が、防衛省の天井を透過し、新宿の空へと向かって一直線に駆け上がっていった。
世界中の衛星カメラが、そしてヘイト特番を組んでいた海外のテレビ局が、新宿の上空に現れた「異変」を捉えて絶叫する。
『見ろ! 新宿の上空から、黄金の光の膜が降りてくるぞ!』
『あれはなんだ!? 宇宙人の侵略兵器か!? 日本は怪物の前に、宇宙人に滅ぼされるんだ!』
だが、彼らはまだ気づいていなかった。
その黄金の膜こそが、地球のすべての軍事常識をマヌケな爆笑へと変えてしまう、銀河最高峰の「お節介の盾」であるということに。
地上最悪の大氾濫の発生まで、あと、3分。
東京が、そして世界が息を呑んで見守る中、運命のカウントダウンがゼロになろうとしていた。
第14話をお読みいただき、ありがとうございました!
世界中が絶望の特番を組んで日本を叩く中、日本政府とルシードたちが「あ、生ゴミが勝手に分別されに来てくれるんだね」と、凄まじい温度差でコーヒーを飲んでいるシーンを描かせていただきました。
海外の大国たちのヘイトが高まれば高まるほど、次の瞬間のざまぁが最高に気持ちよくなります。
次回、第15話からは、ついに地上へ数万の魔物の軍勢が噴き出します!
しかし、ミリアが設置した「出力わずか1%のゴミ箱バリア」に触れた瞬間、怪獣たちがパチン、パチンとマヌケな音を立てて自動で消滅し、ただのエネルギー結晶に変わってコンテナにコロコロと収まっていく、前代未聞の「資源回収イベント」が始まります!
もし今回の展開にスカッとした、続きが早く読みたいと感じていただけましたら、ぜひ感想の書き込みや作品への評価(ブックマーク・応援)をぜひぜひ、よろしくお願いいたします!




