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第24話 裏切られた!

 審査部の机には、書類が山のように積まれていた。


「通常、送魂、うち。

 うち。差し戻し! 差し戻し!!」


 私は今日、統括官室ではなく審査部のみんなと書類の仕分けに追われていた。


 現世で亡くなった死者へのお迎えルートの選別。


 親族等がお迎えに来る通常ルート。


 送魂部のサイコポンプが担当するルート。


 そして、そのどちらにも該当しない審査部案件。


 ただ、サイコポンプが対応できなかった案件は審査部へと戻され、うちが引き継ぐ事になる。


 その送魂部からの差し戻しがやけに多かった。


 いくつもの机を寄せた島が、審査部には七つもある。


「何で差し戻しやねん!」


 私は書類を叩きつけた。


「サイコポンプが不足してるみたいなんです」


 先輩職員が答える。


「それで、1、2回行って無理ならうちに戻って来てしまうんです」


「粘れ! 送魂のプロやろ!」


「ですよねー。こっちはタダでさえ書類に追われてるのに」


「何で差し戻しが紛れてんねん!?

 送魂部からまとめて戻ってくるんじゃないの?」


「あー、送魂部も気まずいみたいで、うちに来て、仕分け前の書類にこっそり混ぜてるみたいです」


「姑息やね!

 何で雇わないの!?

 私なんて現世から連れてこられたのに!!」


「あー……」


 みんなの歯切れが急に悪くなった。

 なぜか揃って顔を背ける。


「え? どうしたんですか?」


「いえ……」


「……みんなして、私に何か隠してます?」


「………統括官に怒られ……」


「言わない!」


「………」


「……私がこの審査部唯一の女だからですか?」


「違いますよ!」


「……じゃあ何ですか?」


「………」


 私はわざとらしく首を傾げた。


「そう言えば私、この間監察室の女性たちと話が弾んだんです。相談してみよっかなー」


「やめて下さい!!」


「俺たち全員呼ばれるじゃないですか!!」


「教えて!」


「……統括官には」


「言わないって!」


 職員たちは顔を見合わせた。

 やがて、一人が口を開いた。


「……奥山さんのようにスカウトされることは、ない訳じゃないんです」


「うん。それで?」


「ただ、流石に現世から直接ここに来られるのは稀というか……」


「え? そうなの?」


「はい……」


「え、待って。じゃあ人間はどうやってこの魂環管理局に入ってくるの?」


「基本は天国からです」


「サイコポンプが担当した人を勧誘したり、天国で求人が出されたりします。

 基本的には、閻魔の裁きを終えた人が面接を受けて採用されるんです」


「天国に求人……そんなんあるんや」


「さ、忙しいですね! 仕事、仕事!」


 明らかに話を終わらせようとする職員。


「つまり私は……?」


「生前よほど優秀だったんですね!」


「さすが奥山さん! 助かってます!」


「ありがとうございます!」


 私は冷めた目でみんなを眺めた。


「……そのお世辞を真に受けるほど、アホやないで」


「いやー、莉奈さん入って仕事が楽になったって、俺たち話してたんすよ」


「奥山さんがいるとこの審査部が明るくなりますよね!」


「ぶっちゃけ、審査部に可愛い女の子入ったって他部署では噂になってるんすよ!」


「……本当?」


「嘘なんてつかないですよ!

 上司は神格ですからね」


「………」


 思わず顔がほころんだ。


 その時、審査部のドアが開いた。


 会議を終えた真紘が戻って来たようだ。


「真紘」


 私は立ち上がり、真紘の元へ駆け寄った。


 真紘は私に視線を向けた。


「何で、私は現世からの直接採用やねん!?」


「え?」


 真紘は突然の質問に首を傾げた。


「稀なんやろ!?」


「奥山さん!?」


 審査部の職員たちが絶叫した。


「約束が違う!!」

お読みいただきありがとうございます。

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