第17話 敗将ティアンム
ア・バオア・クー会戦終結後。
極秘会議室。
ギレン・ザビ。
ドズル・ザビ。
キシリア・ザビ。
ハマーン・カーン。
エギーユ・デラーズ。
アナベル・ガトー。
未来についての話は、いったん中断されていた。
ギレン「その前に、一人呼びたい」
ドズル「誰だ?」
ギレン「ティアンムだ」
ハマーン「連邦宇宙軍のティアンム提督ですか」
ギレン「ああ」
キシリア「捕虜として収容しているわ」
ギレン「ソロモンでネオ・ジオンと直接戦った。そして昨日のア・バオア・クーでも、その戦いを見ている」
デラーズ「敵将から評価を聞く、と?」
ギレン「そうだ」
ハマーン「面白いでしょう」
ギレン「自軍の兵器を自分たちで強いと言っても意味がない。実際に戦った側に聞く」
ドズル「呼ぼう」
## ティアンム
しばらくして。
扉が開いた。
武装を解除された地球連邦軍の制服。
護衛兵二人に挟まれ、ティアンムが入室する。
ティアンム「……」
まずギレンを見る。
キシリア。
デラーズ。
ガトー。
そして。
ドズル。
ティアンムの視線が止まった。
ティアンム「……やはり生きていたか」
ドズル「見りゃ分かるだろ」
ティアンム「ソロモンでは、一時戦死したとの情報も流れた」
ドズル「危なかったのは間違いねえ」
ティアンム「ガンダムか」
ドズル「ああ」
ティアンム「……」
ドズル「だが、こいつらに助けられた」
ドズルがハマーンを見る。
ティアンムも視線を移す。
ティアンム「ネオ・ジオン」
ハマーン「そうだ」
ティアンム「ハマーン・カーン」
ハマーン「そうだ」
ティアンム「……ようやく顔を見られた」
ハマーン「私を見たかったのか」
ティアンム「私の艦隊を壊滅させた軍の指揮官だからな」
ハマーン「恨んでいるか?」
ティアンム「軍人同士の戦闘だ。恨んではいない」
ハマーン「そうか」
ティアンム「だが、聞きたいことは山ほどある」
ハマーン「こちらもだ」
## 敗軍の将
ギレン「座れ」
ティアンム「捕虜に随分と丁寧だな」
ギレン「尋問ではない」
ティアンム「では何だ」
ギレン「意見を聞きたい」
ティアンム「私の?」
ギレン「ああ」
ティアンム「敗軍の将にか」
ギレン「だからだ」
ティアンム「……」
ギレン「勝った側が自分たちを評価するより、負けた側が相手をどう見たかの方が参考になる」
ティアンム「なるほど」
ティアンムは席に着いた。
ドズル「水いるか?」
ティアンム「……もらおう」
ドズル「おい、水」
兵士「はっ!」
ティアンム「すまんな」
ドズル「もう戦闘は終わったんだ。気にすんな」
ティアンム「……噂通りだな」
ドズル「何がだ」
ティアンム「いや。悪い意味ではない」
## あの軍は強かった
ギレン「本題だ」
ティアンム「聞こう」
ギレン「ソロモンで、この軍と戦ったな」
ティアンム「……ああ」
ギレン「率直な感想を聞きたい」
ティアンム「率直に?」
ドズル「遠慮はいらん」
ティアンム「……」
ティアンムは少し考えた。
そして。
ドズルを見る。
ティアンム「あの軍は強かった」
ドズル「……」
ティアンム「いや」
ティアンムが首を振る。
ティアンム「強かった、では足りんな」
ギレン「ほう」
ティアンム「私がこれまで戦ってきた軍隊とは違った」
デラーズ「具体的には?」
ティアンム「兵器の性能差が大きすぎる」
ティアンム「そして、その性能を前提にした戦い方をしている」
ガトー「パイロットの技量ではなく?」
ティアンム「もちろん搭乗員も強い」
ティアンム「だが、それだけでは説明できん」
## ゲーマルク
ティアンム「特にゲーマルク」
ハマーン「……」
ティアンム「最初に見た時、我々は大型の高性能MSと判断した」
ガトー「違ったのですか」
ティアンム「間違いではない」
ティアンム「だが、一機として考えたことが間違いだった」
ガトー「一機ではない?」
ティアンム「攻撃方向が多すぎる」
ティアンム「正面を警戒すれば背後から撃たれる」
ティアンム「背後を見れば上から来る」
ティアンム「上を警戒すれば下から来る」
ティアンム「そして本体そのものにも、馬鹿げた数の火器がある」
デラーズ「それほどか」
ティアンム「百二十機を投入した」
ガトー「百二十」
ティアンム「百十二機撃破」
デラーズ「……」
ティアンム「残る八機は武装を捨てるか撤退した」
ガトー「ゲーマルクの損害は?」
ティアンム「ない」
ガトー「ない?」
ティアンム「被弾すら確認できなかった」
ガトー「……」
ティアンム「そこで我々は考えた」
ドズル「数が足りないと」
ティアンム「そうだ」
ドズル「それで四百二十一機」
ティアンム「今考えれば、愚かな判断だった」
## 四百二十一対一
ティアンム「四百二十一機を投入した」
デラーズ「それだけいれば、さすがに」
ティアンム「十一分四十二秒」
デラーズ「何?」
ティアンム「二百七機撃破」
ガトー「……」
ティアンム「三十一機戦闘不能」
ティアンム「四十六機損傷」
ティアンム「ほぼ無傷で残ったのは百三十七機」
ティアンム「そしてゲーマルクは」
ティアンム「無傷」
沈黙。
ガトー「一機で……」
ティアンム「一機だ」
デラーズ「なぜ二百七機で止まった」
ティアンム「私も分からなかった」
ティアンムがハマーンを見る。
ティアンム「撤退したわけではない」
ティアンム「追い払ったわけでもない」
ティアンム「弾切れにも見えなかった」
ハマーン「私が戻した」
ティアンム「やはりそうか」
ハマーン「半分でいい、と命じた」
ティアンム「……」
デラーズ「半分?」
ハマーン「四百二十一機すべてを落とす必要はない」
ハマーン「戦闘能力を半分ほど奪えば十分だと判断した」
ティアンム「つまり」
ティアンム「我々が止めたのではない」
ハマーン「そうだ」
ティアンム「あなたが止めた」
ハマーン「そうだ」
ティアンム「……恐ろしい話だ」
## 普通のMS
ドズル「でもな、ティアンム」
ティアンム「何だ」
ドズル「ゲーマルクばかり見てると、本当の怖さを見落とすぞ」
ティアンム「……その通りだ」
ドズル「だろ?」
ティアンム「ゲーマルクは分かりやすい」
ティアンム「見た瞬間に異常だと分かる」
ティアンム「本当に厄介だったのは」
ティアンム「普通に見える機体まで強かったことだ」
ドズル「そうなんだよ!」
ティアンム「ドライセン」
ドズル「おお!」
ティアンム「何だ?」
ドズル「俺、あれ好きなんだ」
ティアンム「……」
キシリア「無視して」
ティアンム「分かった」
ドズル「無視すんな!」
ティアンム「最初はリック・ドムの発展型程度だと思った」
ティアンム「だが違った」
ガトー「どの程度?」
ティアンム「ジムでは一対一にならん」
ガトー「そこまで?」
ティアンム「こちらが照準を合わせる」
ティアンム「その間に移動する」
ティアンム「撃つ」
ティアンム「避ける」
ティアンム「こちらが次の姿勢を作る前に撃ち返す」
ティアンム「こちらの動作一つに対して」
ティアンム「向こうは二つ、三つ先まで終わっている」
デラーズ「なら複数で囲めばいい」
ティアンム「囲めなかった」
デラーズ「なぜだ」
ティアンム「六機で囲んだつもりでも、敵が位置を変える」
ティアンム「六対一にならない」
ティアンム「一対一」
ティアンム「一対一」
ティアンム「一対一」
ティアンム「それを高速で繰り返される」
ティアンム「そして六機が消える」
## ガトーの疑問
ガトーは。
黙って聞いていた。
ソロモンで。
自分も多数の連邦軍機を相手に戦った。
一対多数。
その難しさは。
誰より理解している。
だからこそ。
気になった。
ガトー「ハマーン殿」
ハマーン「何だ」
ガトー「率直に聞きたい」
ハマーン「聞こう」
ガトー「私が」
ガトー「ゲーマルクと戦った場合」
ハマーン「……」
ガトー「どの程度戦える?」
ドズル「おい」
ガトー「ドズル中将」
ドズル「何だ」
ガトー「私は真面目に聞いております」
ドズル「分かった」
ガトー「ハマーン殿」
ハマーン「……」
ガトー「遠慮はいらない」
ハマーン「本当に?」
ガトー「無論」
ハマーン「では言おう」
## 二分
ハマーン「二分」
ガトー「……」
デラーズ「何?」
ハマーン「二分持てば」
ハマーン「かなり良い方だ」
完全な沈黙。
ガトー「……二分」
ハマーン「そうだ」
ガトー「私が?」
ハマーン「そうだ」
ガトー「搭乗機は?」
ハマーン「今のお前が最も使い慣れた機体で構わん」
ガトー「……」
ハマーン「ゲーマルクには勝てない」
ガトー「一度も?」
ハマーン「千回やっても」
ハマーン「一度も勝てん」
デラーズ「千回」
ドズル「……」
ティアンム「私は妥当だと思う」
ガトーがティアンムを見る。
ガトー「提督まで?」
ティアンム「私は実際に四百二十一機をぶつけた」
ティアンム「その私が言っている」
ガトー「……」
ティアンム「お前がどれほど優秀でも」
ティアンム「一機は一機だ」
## なぜ勝てない
ガトー「理由を聞きたい」
ハマーン「機体性能」
ガトー「それだけ?」
ハマーン「それだけで十分だ」
ガトー「……」
ハマーン「お前は強い」
ガトー「……」
ハマーン「この時代では間違いなく一流だ」
ハマーン「操縦技量だけなら、ゲーマルクのパイロットに対抗できる部分もあるだろう」
ガトー「ならば」
ハマーン「機体がついてこない」
ガトー「……」
ハマーン「ゲーマルクは、お前が狙ったことを察知してから避けても間に合う」
ガトー「発射後に?」
ハマーン「場合によってはな」
ガトー「……」
ハマーン「逆は違う」
ハマーン「ゲーマルクの攻撃を見てから避けようとしても」
ハマーン「お前の機体では間に合わん」
ティアンム「その感覚は分かる」
ガトー「提督」
ティアンム「我々も同じだった」
ティアンム「見えている」
ティアンム「攻撃されていることも分かる」
ティアンム「回避命令も出す」
ティアンム「パイロットも反応する」
ティアンム「だが」
ティアンム「機体が動き終わる前に当たる」
ガトー「……」
ハマーン「さらにゲーマルクにはファンネルがある」
ガトー「先ほどの多方向攻撃か」
ハマーン「そうだ」
ハマーン「本体だけを見て戦えば死ぬ」
ハマーン「ファンネルを見れば本体に撃たれる」
ハマーン「本体を警戒すれば別方向から撃たれる」
ハマーン「お前一人の認識能力では」
ハマーン「攻撃方向を処理しきれない」
ガトー「ニュータイプでなければ?」
ハマーン「なおさら厳しい」
## ドライセンなら
ガトー「では」
ガトーは。
まだ聞く。
ガトー「ゲーマルクは特殊な機体なのだろう」
ハマーン「そうだ」
ガトー「ならば」
ガトー「ドライセンなら?」
ドズル「お」
ティアンム「……」
デラーズ「量産機だったな」
ハマーン「そうだ」
ガトー「私とドライセン」
ガトー「一対一」
ガトー「どうなる?」
ハマーン「五分持たない」
ガトー「……」
ドズル「普通のやつだぞ?」
ハマーン「普通のドライセンだ」
ガトー「パイロットも」
ハマーン「ネオ・ジオンの標準的な実戦パイロットでいい」
ガトー「それでも?」
ハマーン「それでもだ」
ガトー「……」
ハマーン「ただし」
ガトー「?」
ハマーン「ゲーマルクとは違う」
ハマーン「ドライセンなら千回やれば」
ハマーン「何度かはお前が勝つ可能性がある」
ガトー「……何度か」
ハマーン「事故」
ハマーン「相手の判断ミス」
ハマーン「地形」
ハマーン「初期位置」
ハマーン「そうした条件が重なればな」
ガトー「純粋な正面戦闘なら?」
ハマーン「ほぼドライセンだ」
## 信じられない
デラーズ「待っていただきたい」
ハマーン「何だ」
デラーズ「ガトーは」
デラーズ「我が軍でも屈指のパイロットです」
ハマーン「知っている」
デラーズ「ソロモンでの戦果もご存じなのでしょう」
ハマーン「知っている」
デラーズ「それが」
デラーズ「量産機一機に」
デラーズ「五分持たない?」
ハマーン「そうだ」
デラーズ「……」
ハマーン「デラーズ」
デラーズ「はい」
ハマーン「勘違いするな」
デラーズ「何を」
ハマーン「私はガトーを低く評価しているのではない」
ガトーが顔を上げる。
ハマーン「むしろ逆だ」
ハマーン「0079年のパイロットとして」
ハマーン「相当に高く評価している」
デラーズ「ならばなぜ」
ハマーン「九年だ」
デラーズ「……」
ハマーン「九年分」
ハマーン「MSは進歩する」
ハマーン「ジェネレーター」
ハマーン「推力」
ハマーン「姿勢制御」
ハマーン「センサー」
ハマーン「照準」
ハマーン「コンピューター」
ハマーン「装甲」
ハマーン「武装」
ハマーン「コックピット」
ハマーン「全部だ」
ハマーン「ガトーの腕が九年遅れているのではない」
ハマーン「乗っている機械が九年遅れている」
## ティアンムの実感
ティアンム「それなら」
ティアンムが。
静かに言う。
ティアンム「納得できる」
ガトー「提督」
ティアンム「ソロモンで」
ティアンム「私は何度も思った」
ティアンム「なぜ」
ティアンム「こちらのパイロットは」
ティアンム「急に下手になったのかと」
ティアンム「違った」
ティアンム「こちらが下手なのではない」
ティアンム「相手の機械が」
ティアンム「こちらの常識より速かった」
ティアンム「ジムのパイロットが」
ティアンム「正しい判断をしても死ぬ」
ティアンム「正しい方向へ避けても死ぬ」
ティアンム「先に敵を見つけたつもりでも」
ティアンム「向こうはもっと前から見ている」
ティアンム「それが」
ティアンム「一番恐ろしかった」
## ガトーとドライセン
ガトー「ハマーン殿」
ハマーン「まだ聞くか」
ガトー「聞く」
ドズル「お前、負けず嫌いだな」
ガトー「当然です!」
ガトー「仮に」
ガトー「私がドライセンに乗れば?」
ハマーン「……」
ドズル「お」
デラーズ「なるほど」
ティアンム「機体を同じにするのか」
ガトー「そうだ」
ガトー「私がドライセン」
ガトー「相手もドライセン」
ハマーン「それなら」
ハマーンが。
少し笑う。
ハマーン「話は全く違う」
ガトー「!」
ハマーン「十分勝てる」
ガトー「……」
ハマーン「むしろ」
ハマーン「標準的なネオ・ジオン兵が相手なら」
ハマーン「お前の方が有利だろう」
ガトー「!」
デラーズ「そうか!」
ハマーン「だから言っただろう」
ハマーン「お前を低く評価しているのではない」
ハマーン「同じ機体なら」
ハマーン「ガトーの技量は通用する」
ハマーン「だが」
ハマーン「今のお前の機体で」
ハマーン「0088年のMSと戦えば」
ハマーン「その技量を使い切る前に」
ハマーン「機体性能の限界が来る」
ガトー「……なるほど」
## ガトーが理解する
ガトーは。
ようやく。
納得した。
自分が弱いのではない。
技量を。
発揮できる速度が違う。
見えても。
動けない。
狙えても。
撃つまでに位置を変えられる。
避けようとしても。
機体が追いつかない。
ガトー「つまり」
ガトー「私が水中で戦い」
ガトー「相手だけが空中を動いているようなものか」
ハマーン「良い例えだ」
ティアンム「まさにそんな感覚だった」
ドズル「アムロも同じだったな」
ハマーン「そうだ」
ドズル「ガンダムの坊主」
ドズル「マシュマーの攻撃は見えてた」
ハマーン「だがガンダムが追いつかなかった」
ガトー「……」
ガトー「それで」
ガトーが。
少し笑った。
ガトー「二分か」
ハマーン「二分持てば褒めてやる」
ガトー「なら」
ガトー「三分を目指しましょう」
ドズル「戦うなって!」
ティアンム「私も止めるぞ」
デラーズ「ガトー」
ガトー「閣下」
デラーズ「私も」
デラーズが。
珍しく即答する。
デラーズ「止める」
ガトー「デラーズ閣下まで!」
キシリア「四人に止められたわね」
ハマーン「命は大事にしろ」
ガトー「……承知しました」
ドズル「本当か?」
ガトー「……善処します」
ドズル「信用できねえ!」
## ティアンムの結論
ギレン「ティアンム」
ティアンム「何だ」
ギレン「最後に聞く」
ティアンム「聞こう」
ギレン「ネオ・ジオンと」
ギレン「もう一度戦えと言われたら」
ティアンム「断る」
即答だった。
ドズル「早えよ!」
ティアンム「当たり前だ!」
ティアンム「四百二十一機を」
ティアンム「もう一度ゲーマルクへ向かわせるほど」
ティアンム「私は馬鹿ではない!」
ドズル「ははははは!」
ティアンム「笑うな!」
ドズル「悪い悪い」
ティアンムは。
少しだけ笑った。
そして。
ドズルを見る。
ティアンム「だが」
ティアンム「お前は運が良かったな」
ドズル「俺?」
ティアンム「あと数秒」
ティアンム「ザクIII改が来るのが遅ければ」
ティアンム「お前は」
ティアンム「ここにはいない」
ドズル「……ああ」
ティアンム「ガンダムに負けたことを恥じる必要はない」
ドズル「慰めてんのか?」
ティアンム「違う」
ティアンム「事実を言っている」
ティアンム「そして」
ティアンムが。
ハマーンを見る。
ティアンム「助けに来た軍が」
ティアンム「あまりにも強すぎた」
ドズル「……」
ティアンム「あの軍は強かった」
ティアンム「私が知る限り」
ティアンム「比較できる軍がない」
ティアンム「ゲーマルク一機が強いのではない」
ティアンム「ドライセン一機が強いのでもない」
ティアンム「軍隊全体が」
ティアンム「我々とは違う段階にいた」
そして。
ティアンムは。
先ほどのガトーとハマーンの会話を思い返す。
ソロモンの悪夢。
アナベル・ガトー。
0079年を代表するエースの一人。
その男ですら。
ゲーマルクなら。
二分。
千回戦っても勝てない。
ドライセンですら。
五分持たない。
だが。
同じドライセンを与えれば。
ガトーの腕は通用する。
ティアンム「なるほどな」
ギレン「何がだ」
ティアンム「ようやく」
ティアンム「ソロモンで何が起きていたのか」
ティアンム「理解できた」
ギレン「説明してみろ」
ティアンム「我々は」
ティアンム「弱かったのではない」
ティアンム「古かったんだ」
部屋が。
静かになる。
ドズル「……」
デラーズ「……」
ガトー「……」
キシリア「……」
ギレン「……」
ハマーンだけが。
小さく頷いた。
ハマーン「その通りだ」
## 第17話 完




