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12/22

第12話 九年後の軍隊

宇宙世紀0079年12月31日。


ア・バオア・クー。


一年戦争最後の大規模戦闘が始まった。


ただし。


歴史とは。


すでに何もかもが違っていた。


ソーラ・レイは発射されていない。


レビルは生きている。


デギンも生きている。


ドズルも生きている。


アムロ・レイはソロモンの営倉。


RX-78-2ガンダムは鹵獲済み。


そして。


ジオングは格納庫から出なかった。




## 開戦


連邦軍の砲撃が始まる。


無数の光。


ア・バオア・クー周辺の宇宙が、一瞬にして戦場へ変わった。


連邦軍はソロモンで大損害を受けている。


それでも。


物量ではジオンを上回っていた。


マゼラン級。


サラミス級。


ジム。


ボール。


残存艦隊が。


一斉に前進する。


レビル「全艦、予定通り進め」


参謀「はっ!」


レビル「ソロモンの敵とは戦い方が違う」


参謀「はい」


レビル「ここにいるのは、我々が知っているジオン軍だ」




その判断は。


正しかった。


この時点では。




## ゲルググ


ジオン軍。


ゲルググ隊が迎撃する。


ジム隊と激突。


ビーム・ライフル。


ビーム・スプレーガン。


一機。


また一機。


双方のMSが爆発する。


ゲルググの性能は高い。


しかし。


パイロットの質が追いつかない。


熟練兵の多くは。


すでに失われていた。


少年兵。


学徒兵。


経験不足のパイロット。


高性能なゲルググを。


十分に使いこなせない。


ドズル「右翼が薄いぞ!」


士官「増援を送っています!」


ドズル「リック・ドム隊を回せ!」


士官「はっ!」




ドズルはビグ・ザムには乗っていなかった。


ハマーンに。


強く止められたからである。


ドズル「くそっ!」


士官「閣下?」


ドズル「ビグ・ザムなら!」


士官「ハマーン・カーン殿より、閣下を絶対に乗せるなと」


ドズル「ここは俺の要塞じゃねえ!」


士官「それでも乗せるなと!」


ドズル「何であいつの命令を聞いてんだ!」


士官「死にたくありません!」


ドズル「俺よりハマーンが怖いのか!」


士官「はい!」


ドズル「即答するな!」




## 一時間


戦闘開始から一時間。


戦線は維持されていた。


しかし。


少しずつ。


連邦軍が押している。


レビル「焦るな」


参謀「はい」


レビル「敵は強い」


レビル「だがソロモンで遭遇した敵ではない」


参謀「現在確認されている敵MSは、ザク、リック・ドム、ゲルググが中心です」


レビル「ならば戦える」




## 二時間


ア・バオア・クー。


Nフィールド。


防衛線の一角が崩れる。


士官「第十四MS隊、壊滅!」


ギレン「予備隊を投入」


士官「予備戦力は残り三十七パーセント!」


ギレン「構わん」


士官「はっ!」


ギレンは冷静だった。


だが。


数字は。


明らかに悪化している。




別の区画。


キシリア「連邦軍の侵入は?」


士官「まだ要塞内部への大規模侵入はありません」


キシリア「時間の問題ね」


士官「……はい」


キシリア「ソロモンの部隊は?」


士官「動きなし」


キシリア「ハマーン・カーン」


キシリアは。


その名前を呟く。


キシリア「何を待っているの?」




## 三時間


連邦軍。


参謀「Nフィールド、突破可能です!」


レビル「まだだ」


参謀「しかし!」


レビル「敵の予備戦力を吐き出させろ」


参謀「はい!」


レビル「我々も余裕があるわけではない」


参謀「……」


レビル「ソロモンで失った戦力は戻ってこない」




だが。


戦局は。


確実に連邦へ傾いていた。


ジオン軍MS。


残存率。


五十八パーセント。


艦艇。


各所で損傷。


防衛砲台。


次々と沈黙。




ドズル「兄貴!」


ギレン「聞こえている」


ドズル「このままじゃまずいぞ!」


ギレン「分かっている」


ドズル「ネオ・ジオンを呼ぶ!」


ギレン「必要ない」


ドズル「馬鹿言え!」


ギレン「まだ戦える」


ドズル「戦えるのと勝てるのは違うぞ!」


ギレン「……」


ドズル「学徒兵まで出してんだ!」


ギレン「……」


ドズル「意地張ってる場合か!」


ギレン「意地ではない」


ドズル「じゃあ何だ!」


ギレン「正体不明の軍事組織に、国家の命運を委ねるわけにはいかん」


ドズル「もうソロモンで助けられてるだろ!」


ギレン「それとこれは別だ」


ドズル「面倒くせえな兄貴は!」




## 四時間


ついに。


ア・バオア・クー外周防衛線。


一部突破。


連邦軍MSが。


要塞へ接近する。


ジム。


ボール。


残存する艦艇。


士官「敵MS群、要塞表面へ接近!」


士官「第六防衛隊、応答ありません!」


士官「第十一ゲルググ隊、残存四機!」


士官「右翼砲台群、四十パーセント沈黙!」


士官「Nフィールド、防衛線維持不能!」




キシリア「……」


ギレン「……」


ドズル「……」


誰の目にも。


分かり始めていた。


ア・バオア・クーが。


落ちる。




## ソロモン


サダラーン。


オペレーター「ア・バオア・クー防衛線、崩壊開始」


ハマーン「残存率」


オペレーター「ジオン軍MS、四十二パーセント」


ハマーン「要塞への侵入は」


オペレーター「間もなく本格化すると推定」


ハマーン「そうか」


キャラ「ハマーン様」


ハマーン「何だ」


キャラ「まだ?」


ハマーン「……」


マシュマー「ハマーン様!」


ハマーン「分かっている」


ハマーンは。


立ち上がる。


ハマーン「十分だ」




オペレーター「?」


ハマーン「全艦」


艦橋が静かになる。


ハマーン「出撃」


オペレーター「全艦……ですか?」


ハマーン「そう言った」


オペレーター「戦力を分割せず?」


ハマーン「しない」


ハマーンは戦術画面を見る。


ハマーン「今回は」


ハマーン「小出しにする必要がない」




## 五十三隻


ソロモン。


巨大な艦隊が。


動き始める。


旗艦。


サダラーン。


グワンバン級大型戦艦。


三隻。


エンドラ級巡洋艦。


十八隻。


ムサカ級巡洋艦。


十二隻。


輸送艦。


九隻。


補給艦。


六隻。


整備支援艦。


四隻。


総数。


五十三隻。


その全てが。


同時に。


ア・バオア・クーへ向かう。




## 全MS部隊


ハマーン「MS部隊」


ハマーン「出撃可能機は全機発進」


オペレーター「全機!?」


ハマーン「予備を残す必要はない」


ハマーン「ドライセン隊」


ハマーン「ザクIII隊」


ハマーン「ガルスJ隊」


ハマーン「ズサ隊」


ハマーン「ガザD隊」


ハマーン「バウ隊」


ハマーン「ドーベン・ウルフ隊」


ハマーン「全機投入」


キャラ「ゲーマルクは?」


ハマーン「当然だ」


キャラ「やった!」


マシュマー「ハマーン様! 私も!」


ハマーン「ザクIII改で出ろ」


マシュマー「はっ!」


ハマーン「今回は」


ハマーンが。


全員を見る。


ハマーン「遠慮はいらん」




キャラ「ハマーン様も?」


ハマーン「出る」


キャラ「キュベレイ!」


ハマーン「そうだ」


マシュマー「ハマーン様自ら!」


ハマーン「相手は地球連邦軍主力だ」


ハマーン「ならば」


ハマーン「こちらも」


ハマーン「全力で相手をする」




## ア・バオア・クー


連邦軍。


オペレーター「後方に大規模反応!」


レビル「何?」


オペレーター「艦艇多数!」


参謀「識別!」


オペレーター「……」


オペレーターの顔色が。


変わる。


レビル「どうした」


オペレーター「ソロモンで確認された艦影と一致!」


参謀「まさか」


レビル「数は」


オペレーター「十!」


オペレーター「二十!」


オペレーター「三十!」


オペレーター「まだ増えます!」


レビル「……」


オペレーター「五十三!」




ティアンム「……来た」


レビル「ティアンム」


ティアンム「間違いありません」


ティアンムの声が。


低くなる。


ティアンム「奴らです」




## 救援


ア・バオア・クー。


ジオン側でも。


巨大な反応を捕捉する。


士官「後方から艦隊接近!」


ギレン「所属」


士官「ネオ・ジオン!」


ドズル「来た!」


キシリア「……」


士官「五十三隻!」


ドズル「全部来やがった!」




通信。


サダラーン。


ハマーンの顔が映る。


ハマーン「ギレン総帥」


ギレン「ハマーン・カーン」


ハマーン「戦況は把握しています」


ギレン「……」


ハマーン「これより」


ハマーン「ネオ・ジオン全軍」


ハマーン「ア・バオア・クー防衛戦に参加します」


ギレン「全軍?」


ハマーン「全軍です」


ドズル「兄貴!」


ギレン「……」


ドズル「ここで意地張ったら殴るぞ!」


ギレン「通信越しにどうやって殴る」


ドズル「後でだ!」


ハマーン「総帥」


ギレン「好きにしろ」


ハマーン「そうさせていただきます」




## 発進


サダラーン。


カタパルト。


ハマーン「ハマーン・カーン」


白いキュベレイ。


ハマーン「キュベレイ、出る」


発進。




別の艦。


キャラ「キャラ・スーン!」


巨大なゲーマルク。


キャラ「ゲーマルク、行くよ!」


発進。




マシュマー「マシュマー・セロ!」


ザクIII改。


マシュマー「ハマーン様のために!」


発進。




続く。


ドライセン。


ザクIII。


ガルスJ。


ズサ。


ガザD。


バウ。


ドーベン・ウルフ。


数十。


さらに。


数十。


そして。


さらに。


出てくる。




連邦軍。


オペレーター「敵MS発進!」


参謀「数は!」


オペレーター「多数!」


参謀「多数では分からん!」


オペレーター「識別が追いつきません!」


レビル「……」


ティアンム「将軍」


レビル「分かっている」


ティアンム「これは」


レビル「ああ」


レビルは。


静かに答える。


レビル「ソロモンとは違う」




ソロモンでは。


ネオ・ジオンは。


一部の戦力しか使っていなかった。


今回は。


違う。




## 第一撃


ハマーン「ズサ隊」


ハマーン「前方艦隊へミサイル斉射」


ズサ隊「了解!」


大量のミサイル。


数百。


さらに。


数百。


宇宙を埋める。


連邦軍。


オペレーター「ミサイル多数!」


参謀「迎撃!」


間に合わない。


爆発。


サラミス。


一隻。


二隻。


三隻。


撃沈ではない。


推進器。


砲塔。


MSデッキ。


戦闘能力を。


次々と奪われる。




ハマーン「ドライセン隊」


ハマーン「突入」


ドライセン隊「了解!」




ジム隊。


隊長「迎撃!」


二十四機。


ドライセン隊へ向かう。


しかし。


照準を合わせた時には。


ドライセンが。


もういない。


隊長「どこだ!」


背後。


ビーム。


一機。


撃破。


旋回。


二機目。


ビーム・トマホーク。


三機目。




ジム隊員「速すぎる!」




違う。


未来の兵士たちには。


ジムが。


遅すぎた。




## ドーベン・ウルフ


連邦軍MS。


四十六機。


一機のドーベン・ウルフへ集中。


ジム隊長「囲め!」


ドーベン・ウルフ。


停止。


ジム隊長「今だ!」


次の瞬間。


胸部。


腹部。


肩部。


各所のビーム兵器。


同時発射。


さらに。


インコム。


別方向。


さらに。


ミサイル。


ジム隊長「な――」


光。




数秒後。


十数機。


消失。




ドズル「……」


要塞から。


戦況を見ていたドズルが。


呟く。


ドズル「やっぱりひでえな」


ギレン「……」


ドズル「兄貴」


ギレン「何だ」


ドズル「俺、あれ欲しい」


ギレン「黙って見ていろ」




## ゲーマルク


キャラ「いっぱい!」


目の前。


ジム。


ボール。


合わせて百機以上。


キャラ「ハマーン様!」


ハマーン「何だ」


キャラ「全部いい?」


ハマーン「攻撃してくる敵だけだ」


キャラ「分かった!」


マザー・ファンネル。


展開。


チルド・ファンネル。


展開。


本体。


メガ粒子砲。


キャラ「行っけぇぇぇ!」




ティアンム「全軍!」


ティアンムが叫ぶ。


ティアンム「ゲーマルクから離れろ!」


しかし。


初見の部隊には。


意味が分からない。


ジム隊長「敵は一機だ!」


ティアンム「違う!」


光。


上。


下。


左。


右。


後方。


正面。


全方向。


ティアンム「そいつを一機だと思うな!」




遅かった。




## キュベレイ


一方。


ハマーンは。


静かだった。


ファンネル。


十基。


展開。


一発。


一機。


二発。


二機。


三方向。


三機。


回避。


反撃。


さらに。


一機。


無駄がない。


キャラのゲーマルクとは。


全く違う。


キャラが。


戦場を火力で塗り潰すなら。


ハマーンは。


必要な場所だけを。


切り取っていく。




連邦兵「白い奴!」


照準。


発射。


ハマーン「遅い」


キュベレイが。


射線から消える。


ファンネル。


背後。


一撃。




## 戦況反転


戦闘開始から。


四時間以上。


連邦軍が積み上げた優勢。


それが。


わずか二十分で。


消えた。




参謀「左翼後退!」


オペレーター「右翼も崩れています!」


参謀「MS部隊、損害急増!」


オペレーター「敵新型MS群、要塞防衛隊と合流!」


参謀「第三艦隊、戦列維持不能!」


オペレーター「第七MS群、通信途絶!」


レビル「……」




数字。


連邦軍残存戦力。


六十八パーセント。


六十三。


五十九。


五十四。




参謀「将軍!」


レビル「見えている」




## 三十分


五十。


四十七。


四十三。




ティアンム「早すぎる……」


レビル「ソロモンでは」


レビル「これでも一部だったということか」


ティアンム「……はい」




## 四十五分


連邦軍残存戦力。


三十七パーセント。




参謀「戦線を維持できません!」


レビル「後退線を形成しろ」


参謀「形成できません!」


レビル「何?」


参謀「敵が速すぎます!」




撤退しようとする。


その先に。


バウ。


方向を変える。


ドライセン。


別方向。


ザクIII。


上方。


ガザD。


そして。


ズサのミサイル。




連邦軍は。


包囲されているわけではない。


だが。


どちらへ動いても。


敵が先にいる。




## 一時間


残存戦力。


三十一・四パーセント。


参謀「将軍!」


レビル「……」


参謀「このままでは!」


レビル「分かっている!」




ティアンム「撤退を」


レビル「撤退路は」


参謀「確保できません!」


ティアンム「……」




レビルは。


戦術画面を見る。


四時間かけて。


ア・バオア・クーを。


陥落寸前まで追い込んだ。


それが。


一時間。


たった一時間で。


全て。


ひっくり返った。




## ジオン側


ドズル「……」


キシリア「……」


ギレン「……」


三人とも。


言葉がない。


ネオ・ジオン。


五十三隻。


未来のMS群。


それが。


一斉に投入された結果。


連邦軍主力艦隊が。


目の前で。


崩壊していく。




ドズル「兄貴」


ギレン「何だ」


ドズル「分かっただろ」


ギレン「……」


ドズル「ソロモンで俺が何を見たか」


ギレン「……ああ」


キシリア「これほどとはね」


ドズル「まだゲーマルクばっか見てるだろ」


キシリア「?」


ドズル「違うぞ」


ドズルが。


戦術画面を指す。


ドズル「全部だ」


キシリア「……」


ドズル「普通の奴まで強えんだ」




ドライセン。


ザクIII。


ガルスJ。


ズサ。


ガザD。


バウ。


どれも。


0079年なら。


高性能機。


あるいは。


理解不能な兵器。


それが。


量産され。


部隊として。


統制されて動いている。




ギレン「……なるほど」


ドズル「何がだ」


ギレン「これは」


ギレンが。


初めて。


はっきり認める。


ギレン「増援ではない」


ドズル「そうだ」


ギレン「別の時代の軍隊だ」


ドズル「!」


キシリアが。


ギレンを見る。


ギレン自身は。


まだ。


その言葉の意味を。


文字通りには理解していなかった。


ただ。


技術体系そのものが違う。


そういう意味で。


口にしただけだった。




## 瓦解


連邦軍。


残存戦力。


二十四・八パーセント。


参謀「弾薬不足!」


オペレーター「推進剤不足!」


参謀「損傷艦の収容が追いつきません!」


オペレーター「MS回収不能!」


参謀「部隊単位で指揮系統が崩壊しています!」


レビル「……」




残存戦力。


十九・七パーセント。


参謀「将軍」


レビル「……」


参謀「もう」


言葉が。


止まる。


レビル「言え」


参謀「継戦は」


参謀は。


はっきり言った。


参謀「不可能です」




レビル「……」


ティアンム「将軍」


レビル「分かっている」




その時。


全周波数。


通信。


ハマーン「地球連邦軍へ告げる」


レビルが。


顔を上げる。




ハマーン「こちらはネオ・ジオン総帥」


ハマーン「ハマーン・カーン」




戦場にいる。


全ての連邦兵へ。


その声が届く。




ハマーン「これ以上の戦闘は無意味だ」


ハマーン「貴軍に勝機はない」




ドズル「言うねえ」


ギレン「事実だ」




ハマーン「武装を解除せよ」


ハマーン「救命艇」


ハマーン「救難艦」


ハマーン「武装を放棄したMS」


ハマーン「戦闘を停止した艦艇」


ハマーン「これらへの攻撃は行わない」




レビル「……」




ハマーン「五分待つ」




通信。


終了。




参謀「将軍……」


レビル「……」


ティアンム「レビル将軍」


レビル「分かっている」




戦術画面。


味方。


ほとんど。


残っていない。


いや。


生きている者は。


まだ大勢いる。


だが。


軍隊として。


戦える者が。


残っていない。




レビル「全軍へ」


参謀「……はい」


レビル「戦闘停止命令を準備しろ」


参謀「将軍!」


レビル「これ以上戦えば」


レビルが。


静かに言う。


レビル「戦果は増えん」


レビル「死者だけが増える」




ティアンムが。


目を閉じる。




レビル「まだ送信するな」


参謀「?」


レビル「私が話す」




通信装置。


全地球連邦軍。


レビルの声。




レビル「地球連邦軍将兵諸君」


レビル「レビルである」




戦場が。


少しずつ。


静かになる。




レビル「我々は」


レビルは。


一瞬だけ。


言葉を止めた。




レビル「この戦いに敗れた」




誰も。


動かない。




レビル「これは」


レビル「諸君の責任ではない」




レビル「諸君は十分に戦った」




レビル「私は」


レビル「諸君に」


レビル「これ以上死ぬことを命令しない」




ティアンム「……」




レビル「全軍」


レビル「戦闘を停止せよ」




そして。




レビル「地球連邦宇宙軍は」


レビル「ジオン公国軍及びネオ・ジオン軍に対し」




長い。


一秒。




レビル「降伏する」




宇宙が。


静かになった。




ア・バオア・クー。


ドズル「……勝った?」


キシリア「……」


ギレン「……」


ドズル「兄貴」


ギレン「何だ」


ドズル「勝ったぞ」


ギレン「そうだな」


ドズル「本当に?」


ギレン「連邦宇宙軍は降伏した」


ドズル「……」


ドズルは。


戦術画面を見る。


一時間前まで。


ア・バオア・クーは。


落ちる寸前だった。


それが。


今。


連邦軍が。


武装解除を始めている。




ドズル「ハマーン」


通信。


ハマーン「何でしょう」


ドズル「お前ら」


ハマーン「はい」


ドズル「やりすぎだ」


ハマーン「全戦力を投入しろと言ったのは、あなたではありません」


ドズル「言ってねえよ!」


キャラ「ハマーン様!」


ハマーン「何だ」


キャラ「私、何機落としたと思う?」


ハマーン「後にしろ」


キャラ「えー!」


マシュマー「ハマーン様! 私の戦果も!」


ハマーン「お前も後だ」


ドズル「……」


ドズルが。


笑い始める。


ドズル「はは」


キシリア「何がおかしいの?」


ドズル「いや」


ドズル「俺たち」


ドズル「四時間も必死に戦ってたんだぞ」


キシリア「……」


ドズル「こいつら来て」


ドズル「一時間だ」


ギレン「……」


ドズル「九年って」


ドズルは。


言いかける。


止まった。


ギレン「……」


キシリア「……」


ドズル「……」


ギレン「今」


ドズル「何も言ってねえ!」


キシリア「九年、と聞こえたけれど?」


ドズル「気のせいだ!」


ギレン「ドズル」


ドズル「気のせいだ!」




通信画面。


ハマーンが。


額に手を当てていた。


ハマーン「……」


キャラ「ハマーン様?」


ハマーン「何でもない」




こうして。


本来なら。


ジオン公国が滅亡するはずだった。


ア・バオア・クー会戦。


その結果は。


完全に。


逆転した。


ソーラ・レイは撃たれず。


デギンは生き。


ギレンは生き。


キシリアも生き。


ドズルも生き。


アムロは捕虜。


ガンダムは鹵獲。


ジオングは未出撃。


そして。


地球連邦宇宙軍。


降伏。


だが。


戦争は。


まだ。


終わっていなかった。


地球には。


ジャブローがある。


地球連邦政府がある。


そして。


ギレンとキシリアは。


まだ知らない。


目の前にいるハマーン・カーンが。


**九年後から来た人間であることを。**


## 第12話 完

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