↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
11/22

第11話 決戦前夜

宇宙世紀0079年12月。


ソロモン攻略戦。


地球連邦軍は敗北した。


ティアンム艦隊は甚大な損害を受け、ソロモン戦域から撤退。


ドズル・ザビは生存。


ビグ・ザムも健在。


RX-78-2ガンダムは鹵獲。


そのパイロット、アムロ・レイも捕虜となった。


そして。


突如として現れた正体不明のジオン系艦隊。


彼らは自らを――


**ネオ・ジオン**


と名乗った。




## サイド3


ジオン公国軍最高司令部。


ソロモン防衛成功の報告によって、司令部には楽観的な空気が生まれ始めていた。


士官「ティアンム艦隊は戦力の再編を開始していますが、短期間での再攻撃は不可能と思われます」


別の士官「連邦軍MSの損害は極めて大きく、ソロモン方面からの攻勢は事実上頓挫したものと」


ギレン「……」


士官「総帥?」


ギレン「続けろ」


士官「はっ。現在、ソロモン守備隊の再編も進んでおります」


別の士官「ビグ・ザムも健在です」


士官「さらに例のネオ・ジオン艦隊がソロモンに留まっています」


別の士官「現時点では我が軍に協力的です」


士官「したがって――」


少しだけ。


声が明るくなる。


士官「戦局は大きく我が方へ傾いたと判断してよろしいかと」


ギレン「そうか?」


士官「……総帥?」


ギレン「連邦軍の総兵力を忘れたか」


士官「いえ」


ギレン「ティアンム艦隊は敗れた」


ギレン「だが」


ギレン「地球連邦軍が敗れたわけではない」


誰も答えない。


ギレン「敵はまだ来る」




## ソーラ・レイ


別室。


巨大な投影図。


コロニーを改造した巨大兵器。


ソーラ・レイ。


技術士官「システム自体は最終段階に入っております」


ギレン「……」


技術士官「予定通りであれば、決戦時の使用も可能です」


ギレン「必要ない」


技術士官「……は?」


ギレン「使用しない」


技術士官「しかし総帥」


ギレン「ソロモンで状況が変わった」


技術士官「連邦軍主力艦隊に対して使用すれば――」


ギレン「必要ないと言った」


技術士官「……はっ」


ギレン「施設そのものは維持しろ」


技術士官「はい」


ギレン「だが発射準備には入るな」


技術士官「了解しました」


ギレンはソーラ・レイの投影図を見る。


理由は。


まだ誰にも説明しなかった。


ただ。


ソロモンに現れた五十三隻。


そして。


わずかな損害で連邦軍を敗走させた未知のMS群。


あれが存在する以上。


切り札を急いで使う必要はない。


ギレン「まずは見る」


技術士官「?」


ギレン「連邦が次に何をするかをな」




## 連邦軍


その連邦軍も。


混乱していた。


レビル「ティアンム」


通信画面。


ティアンム「申し訳ありません」


レビル「謝罪を求めているのではない」


ティアンム「……」


レビル「撤退判断は正しい」


ティアンム「しかし」


レビル「四百二十一機を投入して、一機を撃破することすらできなかったのだろう」


ティアンム「はい」


レビル「ならば続けても結果は変わらん」


ティアンム「……」


レビル「むしろ、よく撤退を決断した」


ティアンム「ありがとうございます」


レビル「例の大型MS」


ティアンム「ゲーマルクと呼ばれていました」


レビル「本当に一機か」


ティアンム「間違いありません」


レビル「三百十九機」


ティアンム「はい」


レビル「……」


ティアンム「将軍」


レビル「何だ」


ティアンム「もし再び遭遇した場合」


ティアンムは一瞬だけ迷った。


ティアンム「通常のMS部隊で交戦すべきではありません」


レビル「四百機でも?」


ティアンム「はい」


レビル「千機なら?」


ティアンム「分かりません」


レビル「……」


ティアンム「それが最も恐ろしいのです」




## それでも戦争は続く


参謀「レビル将軍」


レビル「何だ」


参謀「今後の作戦ですが」


レビル「……」


参謀「ソロモンを再攻撃しますか?」


レビル「いや」


参謀「では」


レビル「目標を変更する」


戦略図。


ジオン本国。


そして。


その防衛拠点。


ア・バオア・クー。


レビル「ソロモンを避ける」


参謀「!」


レビル「正体不明艦隊は現在ソロモンにいる」


参謀「はい」


レビル「ならば」


レビルが指す。


レビル「こちらを叩く」


参謀「ア・バオア・クー……」


レビル「そうだ」




参謀「しかしガンダムを失っています」


レビル「分かっている」


参謀「アムロ・レイも消息不明」


レビル「捕虜になった可能性が高い」


参謀「ホワイトベース隊も大きく戦力を低下させています」


レビル「それでも」


レビルは戦略図を見る。


レビル「戦争は一機のMSで行うものではない」




## ソロモン


その頃。


ドズルはネオ・ジオンの艦隊を眺めていた。


ドズル「ハマーン」


ハマーン「はい」


ドズル「連邦はもう一度来ると思うか?」


ハマーン「来ます」


即答だった。


ドズル「やっぱりか」


ハマーン「ソロモンへ来るとは限りませんが」


ドズル「……」


ハマーン「むしろ」


ドズル「何だ」


ハマーン「ソロモンを避けるでしょう」


ドズル「じゃあ」


ハマーン「ア・バオア・クー」


ドズル「……」


ハマーン「そこが次の戦場です」




ドズル「未来でもそうだったのか?」


ハマーン「……」


ドズル「言えない?」


ハマーン「まだ」


ドズル「ギレンには?」


ハマーン「まだ話すべきではありません」


ドズル「俺には結構話したぞ」


ハマーン「あなたには理由があります」


ドズル「ミネバか」


ハマーン「はい」


ドズル「キシリアには?」


ハマーン「……」


ドズル「何だ?」


ハマーン「いずれ話します」


ドズル「兄貴より先に?」


ハマーン「その可能性はあります」


ドズル「妹は疑り深いぞ」


ハマーン「知っています」


ドズル「知ってるのか」


ハマーン「……」


ドズル「未来で会ったことあるのか?」


ハマーン「その話も後で」


ドズル「秘密多すぎだろ!」




## アムロ


ソロモン。


営倉。


アムロは一人。


ベッドに座っていた。


武器はない。


パイロットスーツも回収されている。


普通の捕虜。


ただの少年。


だが。


頭の中では。


何度も。


あの戦闘が繰り返されていた。


マシュマーのザクIII改。


見えていた。


次にどこへ来るか。


分かっていた。


攻撃の瞬間も。


感じていた。


それなのに。


避けられなかった。


アムロ「……違う」


自分が遅かったのではない。


ガンダムが。


遅かった。


アムロ「何なんだ……あのザク……」


答えは出ない。


当然だった。


九年後の機体だなどと。


想像できるはずがない。




## ホワイトベース


一方。


ホワイトベース。


ブライト「アムロは?」


ミライ「まだ確認できません」


ブライト「ガンダムも?」


ミライ「反応なし」


ブライト「……」


セイラ「捕虜になった可能性は?」


ブライト「ある」


セイラ「生きているなら」


ブライト「今はそう願うしかない」


セイラ「……」


ブライト「だが命令が来た」


ミライ「次の作戦?」


ブライト「ああ」


ブライトは。


表示された座標を見る。


ブライト「ア・バオア・クーだ」




## ハマーンの判断


サダラーン。


ネオ・ジオン艦隊作戦会議。


ハマーン「我々はソロモンに残る」


マシュマー「ア・バオア・クーへ向かわないのですか?」


ハマーン「今はな」


キャラ「戦わないの?」


ハマーン「戦わないとは言っていない」


キャラ「?」


ハマーン「連邦軍がア・バオア・クーへ向かった場合」


マシュマー「救援に?」


ハマーン「状況を見る」


マシュマー「しかしハマーン様!」


ハマーン「マシュマー」


マシュマー「はっ!」


ハマーン「最初から我々が前面に出れば」


ハマーン「この時代のジオン軍が、どの程度戦えるのか分からない」


マシュマー「……」


ハマーン「それに」


ハマーンは戦略図を見る。


ハマーン「歴史を変えた以上」


ハマーン「何が起こるか」


ハマーン「私にも完全には分からん」




キャラ「じゃあ見てるの?」


ハマーン「最初は」


キャラ「負けそうになったら?」


ハマーン「行く」


キャラ「分かった!」


マシュマー「さすがハマーン様!」


ハマーン「それと」


マシュマー「はい!」


ハマーン「ソーラ・レイの発射兆候を監視しろ」


マシュマー「ソーラ・レイ……」


ハマーン「本来なら」


ハマーンが言葉を止める。


キャラ「?」


ハマーン「いや」


ハマーンは首を振る。


ハマーン「今回は撃たせない」




## ドズル


ドズル「俺は行くぞ」


ハマーン「どこへです?」


ドズル「ア・バオア・クーだ」


ハマーン「ソロモンは?」


ドズル「守備隊は残す」


ハマーン「……」


ドズル「兄貴がいる」


ハマーン「そうですね」


ドズル「キシリアもいる」


ハマーン「はい」


ドズル「俺だけ安全なソロモンにいるわけにはいかねえ」


ハマーン「ビグ・ザムで?」


ドズル「もちろんだ!」


ハマーン「やめてください」


ドズル「何でだ!」


ハマーン「また死にたいのですか?」


ドズル「今度はガンダムいねえぞ!」


ハマーン「そういう問題ではありません」


ドズル「ビグ・ザムは強い!」


ハマーン「知っています」


ドズル「じゃあ!」


ハマーン「あなたは突っ込みすぎる」


ドズル「……」


ハマーン「自覚は?」


ドズル「ない!」


ハマーン「でしょうね」




## 出撃準備


数日後。


連邦軍。


艦艇。


MS。


補給艦。


各部隊が集結する。


ジム。


ボール。


サラミス。


マゼラン。


戦力は。


ソロモン攻略前より減っている。


それでも。


巨大だった。


目標。


ア・バオア・クー。




同時に。


ジオン側も防衛戦力を集める。


ザクII。


リック・ドム。


ゲルググ。


ジオング。


艦艇。


砲台。


要塞防衛隊。


そして。


ドズルも。


ア・バオア・クーへ移動する。


ただし。


ネオ・ジオン艦隊は。


まだ。


ソロモンにいた。




## 決戦前夜


ア・バオア・クー。


ギレン「連邦軍の進路は」


士官「こちらへ向かっています」


ギレン「予想通りだ」


士官「ソロモンのネオ・ジオン艦隊に動きはありません」


ギレン「そうか」


士官「援軍を要請しますか?」


ギレン「不要だ」


士官「しかし」


ギレン「我々の要塞だ」


ギレン「我々の軍で守る」




ソロモン。


サダラーン。


オペレーター「連邦軍主力、ア・バオア・クー戦域へ接近」


ハマーン「確認した」


オペレーター「ネオ・ジオン艦隊、出撃しますか?」


ハマーン「まだだ」


オペレーター「了解」


ハマーンは。


戦術モニターを見る。


歴史では。


ここで。


ソーラ・レイが撃たれる。


デギンが死ぬ。


レビルが死ぬ。


ギレンが死ぬ。


キシリアが死ぬ。


ジオンが敗れる。


だが。


今回は。


ソーラ・レイは撃たれない。


レビルは生きている。


ドズルも生きている。


アムロはソロモンの営倉。


ガンダムは鹵獲済み。


そして。


ネオ・ジオンがいる。


ハマーン「さて」


歴史には存在しなかった。


ア・バオア・クー会戦が。


始まろうとしていた。


ハマーン「どうなるか」


## 第11話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。