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第10話 総帥への報告

サイド3。


ズム・シティ。


ジオン公国軍最高司令部。


ソロモン方面から届いた第一報は、司令部を混乱させていた。


**地球連邦軍ソロモン攻略艦隊、後退。**


それだけなら朗報だった。


問題は、その理由である。




## 緊急通信


士官「総帥。ソロモンよりドズル中将から最優先通信です」


ギレン「繋げ」


巨大スクリーンにドズルが映る。


ギレン「ドズル」


ドズル「兄貴」


ギレン「まず確認する。ソロモンは」


ドズル「健在だ」


ギレン「陥落していない?」


ドズル「ああ」


ギレン「連邦軍は」


ドズル「逃げた」


ギレン「……」


ドズル「ティアンム艦隊はソロモン攻略を中止。現在、戦域から離脱中だ」


ギレン「ビグ・ザムは」


ドズル「無事だ」


ギレン「お前は」


ドズル「見りゃ分かるだろ」


ギレン「確認だ」


ドズル「俺も無事だ」


ギレン「そうか」


ギレンは表情をほとんど変えなかった。


だが、わずかに椅子へ深く座り直す。


本来ならば。


ソロモンから届くはずだったのは、もっと悪い報告だった。




## ガンダム


ギレン「連邦の新型は」


ドズル「ガンダムか?」


ギレン「そうだ」


ドズル「鹵獲した」


ギレン「……何?」


ドズル「ガンダムはこっちにある」


ギレン「撃破ではなく?」


ドズル「鹵獲だ」


ギレン「パイロットは」


ドズル「生きてる」


ギレン「捕虜か」


ドズル「ああ。営倉に入れてある」


ギレン「ガンダムの損傷状況は」


ドズル「左腕、右腕、右脚、頭部、武装その他。かなりやられてるが、機体そのものは残ってる」


ギレン「誰が鹵獲した」


ドズル「マシュマー・セロ」


ギレン「聞かない名だな」


ドズル「そうだろうな」


ギレン「所属は」


ドズル「ネオ・ジオン」


ギレン「……ネオ・ジオン?」


ドズル「ああ」




## 未知の艦隊


ギレン「報告にあった正体不明艦隊か」


ドズル「そうだ」


ギレン「詳細を」


ドズル「艦艇五十三隻」


ギレン「五十三」


ドズル「旗艦サダラーン一隻。グワンバン級大型戦艦三隻。エンドラ級巡洋艦十八隻。ムサカ級巡洋艦十二隻」


ギレン「待て」


ドズル「何だ」


ギレン「いずれも聞いたことがない」


ドズル「だろうな」


ギレン「造船計画にも存在しない」


ドズル「そうだろうな」


ギレン「残りは」


ドズル「輸送艦九、補給艦六、整備支援艦四」


ギレン「合計五十三」


ドズル「そうだ」


ギレン「それだけの艦隊が、どこに隠されていた」


ドズル「秘密だ」


ギレン「ドズル」


ドズル「何だ」


ギレン「私に対してか?」


ドズル「そうだ」


ギレン「……」


ドズル「今はな」




## 損害


ギレン「では戦果を報告しろ」


ドズル「ここからが面白いぞ」


ギレン「聞こう」


ドズル「確認できている連邦軍MSの撃破及び戦闘不能」


ギレン「何機だ」


ドズル「八百六十四機以上」


ギレン「……」


司令部の士官たちがざわめく。


ギレン「八百六十四」


ドズル「最低でもな」


ギレン「こちらのMS損失は」


ドズル「三機」


静かになった。


ギレン「もう一度言え」


ドズル「三機」


ギレン「三十ではなく?」


ドズル「三だ」


ギレン「三百ではなく?」


ドズル「三だって言ってるだろ!」


ギレン「……」


ドズル「単純に割れば二百八十八対一だ」


ギレン「計算はできる」


ドズル「なら聞き返すな!」




ギレン「ネオ・ジオンとやらの戦果か」


ドズル「ほぼな」


ギレン「我がソロモン守備隊の戦果を除いた数字を出せ」


ドズル「集計中だ」


ギレン「必要だ」


ドズル「分かってる」


ギレン「敵の質は」


ドズル「普通のジムだ」


ギレン「ならば何か特殊な戦術を?」


ドズル「特殊なのは戦術より機体だ」


ギレン「説明しろ」


ドズル「例えば一機」


ギレン「一機?」


ドズル「ゲーマルク」


ギレン「それが機体名か」


ドズル「ああ」


ギレン「戦果は」


ドズル「三百十九機」


ギレン「……一機で?」


ドズル「一機で」




## 421対1


ギレン「詳細」


ドズル「最初にジム百二十機と交戦」


ギレン「結果は」


ドズル「百十二機撃破。残り八機が武装放棄して離脱」


ギレン「ゲーマルクの損傷は」


ドズル「なし」


ギレン「続けろ」


ドズル「その後、ジム四百二十一機と交戦」


ギレン「一機で?」


ドズル「一機で」


ギレン「結果」


ドズル「十一分四十二秒で二百七機撃破」


ギレン「……」


ドズル「さらに三十一機が中破して戦闘不能」


ギレン「ゲーマルクは」


ドズル「無傷」


ギレン「なぜ二百七機で攻撃を停止した」


ドズル「ハマーンが半分でいいって言ったからだ」


ギレン「……」


ギレンが初めて。


明確に眉を動かした。


ギレン「待て」


ドズル「何だ」


ギレン「四百二十一機の敵を前にして」


ドズル「ああ」


ギレン「指揮官が一機に対し」


ドズル「ああ」


ギレン「半分撃破して帰れ、と命令した?」


ドズル「そうだ」


ギレン「そして実行した」


ドズル「そうだ」


ギレン「……」


ドズル「俺も最初は頭がおかしいと思った」


ギレン「今は?」


ドズル「機体を見た」


ギレン「それで?」


ドズル「やっぱり頭がおかしい兵器だった」




## ドライセン


ギレン「他の機体は」


ドズル「ドライセン」


ギレン「性能は」


ドズル「全高二十二メートル級。ジェネレーター出力二千三百キロワット級。総推力十万キログラム級」


ギレン「二千三百……」


ドズル「量産機だ」


ギレン「量産機?」


ドズル「ああ」


ギレン「ザクIIの二倍以上のジェネレーター出力を持つ機体を量産している?」


ドズル「推力なんか比べるのも嫌になるぞ」


ギレン「武装は」


ドズル「ビーム・トマホーク、ビーム・ランサー、腕部ビーム兵器、トライ・ブレード」


ギレン「ビーム兵器が標準か」


ドズル「ほぼな」


ギレン「装甲」


ドズル「ガンダリウム系合金」


ギレン「……何だ、それは」


ドズル「ガンダムのルナ・チタニウム系技術の発展型らしい」


ギレン「連邦系技術?」


ドズル「ああ」


ギレン「なぜジオン系の部隊が使っている」


ドズル「さあな」


ギレン「ドズル」


ドズル「知らねえものは知らねえ!」




## ザクIII


ドズル「あと兄貴」


ギレン「何だ」


ドズル「ザクIIIがある」


ギレン「……」


ドズル「反応薄いな」


ギレン「III?」


ドズル「そうだ」


ギレン「ザクIIの後継機か」


ドズル「思想的にはな」


ギレン「性能」


ドズル「ジェネレーター約二千百キロワット級。総推力十万キログラム級」


ギレン「武装」


ドズル「ビーム・ライフル、ビーム・サーベル、口吻部ビーム砲、腰部ビーム砲その他」


ギレン「それも量産機?」


ドズル「ああ」


ギレン「ガンダムを鹵獲したのは」


ドズル「ザクIII改」


ギレン「ザクIIIの改良型」


ドズル「そうだ」


ギレン「ガンダムとの戦闘結果を詳細に」


ドズル「ほぼ一方的だ」


ギレン「アムロ・レイの技量が低かった?」


ドズル「逆らしい」


ギレン「何?」


ドズル「ハマーンによれば、パイロットはザクIII改の動きをかなり読めていた」


ギレン「それでなぜ負ける」


ドズル「ガンダムが動けねえ」


ギレン「……」


ドズル「見えてる。分かってる。避けようとしてる」


ドズル「でも機体が間に合わねえ」


ギレン「機体性能差だけでそこまで」


ドズル「そういうことだ」




## ドーベン・ウルフ


ドズル「もっと酷いのもいるぞ」


ギレン「言え」


ドズル「ドーベン・ウルフ」


ギレン「性能」


ドズル「ジェネレーター約五千二百キロワット級」


ギレン「……」


ドズル「兄貴?」


ギレン「聞いている」


ドズル「武装は胸部、腹部、肩部その他にビーム兵器。ビーム・ライフル、サーベル、ミサイル、グレネード、有線式兵器、インコム」


ギレン「一機に?」


ドズル「一機に」


ギレン「量産機?」


ドズル「そうだ」


ギレン「……」


今度は。


ギレンが黙った。


ドズル「どうした」


ギレン「計算している」


ドズル「何を」


ギレン「その機体が百機あった場合の戦力を」


ドズル「俺も欲しい」




## ゲーマルク


ギレン「ゲーマルクの出力は」


ドズル「聞きたいか?」


ギレン「言え」


ドズル「約八千三百キロワット級」


司令部が。


再びざわめく。


ギレン「八千三百」


ドズル「ああ」


ギレン「MS一機に?」


ドズル「俺も聞き返した」


ギレン「武装」


ドズル「全身ビーム兵器だらけだ」


ギレン「具体的に」


ドズル「大型メガ粒子砲。各部メガ粒子砲。それからマザー・ファンネル二基」


ギレン「ファンネル?」


ドズル「遠隔操作するビーム兵器だ」


ギレン「サイコミュか」


ドズル「知ってるのか」


ギレン「概念はな」


ドズル「そのマザー・ファンネルからさらに小型のチルド・ファンネルが出る」


ギレン「……」


ドズル「だから一機なのに、何十方向から同時に撃ってくる」


ギレン「なるほど」


ドズル「驚かねえのか」


ギレン「驚いている」


ドズル「そう見えねえ」


ギレン「驚いたところで性能は変わらん」


ドズル「兄貴らしいな」




## キュベレイ


ギレン「ハマーン・カーンの機体は」


ドズル「キュベレイ」


ギレン「性能」


ドズル「ジェネレーター出力は約千八百キロワット級」


ギレン「ゲーマルクより遥かに低い」


ドズル「でも強いらしい」


ギレン「なぜ」


ドズル「ハマーンが乗るからだ」


ギレン「それは性能説明ではない」


ドズル「俺もそう言った」


ギレン「武装」


ドズル「ビーム・ガン兼ビーム・サーベル。それとファンネル十基」


ギレン「ニュータイプ専用機か」


ドズル「そういうことだ」


ギレン「ハマーン・カーンはニュータイプ?」


ドズル「かなり強力な、な」


ギレン「……」




## ハマーン・カーン


ギレン「では聞こう」


ドズル「何だ」


ギレン「ハマーン・カーンとは何者だ」


ドズル「……」


ギレン「カーン」


ドズル「……」


ギレン「マハラジャ・カーンとの関係は」


ドズル「娘だ」


ギレン「……」


ギレンの目が細くなる。


ギレン「マハラジャの娘?」


ドズル「ああ」


ギレン「年齢が合わん」


ドズル「だろうな」


ギレン「現在のハマーン・カーンはまだ子供のはずだ」


ドズル「そうだ」


ギレン「では、あの女は誰だ」


ドズル「ハマーン・カーンだ」


ギレン「説明になっていない」


ドズル「今はそれで我慢しろ」


ギレン「ドズル」


ドズル「何だ」


ギレン「お前は何か知っている」


ドズル「知ってる」


ギレン「私には話せない?」


ドズル「今はな」




## 指揮権


ギレン「では、その艦隊の指揮権を私に移せ」


ドズル「断る」


即答だった。


ギレン「……」


ドズル「駄目だ」


ギレン「理由は」


ドズル「俺の軍じゃねえ」


ギレン「ジオンを名乗っている」


ドズル「ネオ・ジオンだ」


ギレン「ジオンであることに変わりはない」


ドズル「でも俺の軍じゃねえし、兄貴の軍でもねえ」


ギレン「国家には指揮系統が必要だ」


ドズル「分かってる」


ギレン「ならば」


ドズル「ハマーンの軍だ」


ギレン「個人の私兵だと言うのか?」


ドズル「少なくとも今は、そう考えた方がいい」


ギレン「五十三隻の艦隊と、それほどのMSを一人の女が掌握している?」


ドズル「ああ」


ギレン「そして、お前はそれを認める?」


ドズル「認める」


ギレン「なぜだ」


ドズル「……」


ギレン「ドズル」


ドズル「軍事機密だ」


ギレン「……」


ドズルが。


少し笑う。


ドズル「一度言ってみたかった」


ギレン「ふざけているのか?」


ドズル「ふざけてねえ。隠してるだけだ」


ギレン「同じことではない」


ドズル「違う!」




## ギレンの要求


ギレン「では最低限の要求を伝える」


ドズル「言ってみろ」


ギレン「サダラーン」


ドズル「駄目」


ギレン「まだ何も言っていない」


ドズル「どうせ調べさせろだろ」


ギレン「そうだ」


ドズル「ハマーンに聞け」


ギレン「ザクIII」


ドズル「ハマーンに聞け」


ギレン「ドライセン」


ドズル「ハマーンに聞け」


ギレン「ドーベン・ウルフ」


ドズル「ハマーンに聞け」


ギレン「ゲーマルク」


ドズル「絶対ハマーンに聞け」


ギレン「設計図」


ドズル「ハマーンに聞け」


ギレン「製造設備」


ドズル「ない」


ギレン「何?」


ドズル「正確には、今のジオンの工場じゃ作れねえ」


ギレン「設計図があっても?」


ドズル「無理だ」


ギレン「理由」


ドズル「工作機械、材料、電子部品、制御装置、ジェネレーター、推進器、精密加工、品質管理。全部足りねえ」


ギレン「……」


ドズル「俺も同じこと聞いた」




## ギレンが食いついたもの


ギレン「待て」


ドズル「何だ」


ギレン「今、何と言った」


ドズル「今の工場じゃ作れねえ」


ギレン「そこではない」


ドズル「?」


ギレン「設計図が存在する?」


ドズル「……」


ギレン「完成品が存在する」


ドズル「……」


ギレン「整備要員もいる」


ドズル「……」


ギレン「製造技術を理解している人間もいる可能性が高い」


ドズル「まあな」


ギレン「つまり」


ギレンの表情が。


変わった。


ドズルは気づく。


これは。


ギレンが本気で何かを考え始めた時の顔だった。


ギレン「MSをコピーする必要はない」


ドズル「何?」


ギレン「先に工業基盤をコピーすればいい」


ドズル「……!」


ギレン「ザクIIIを作れないなら」


ギレン「ザクIIIを作れる工作機械を作る」


ギレン「その工作機械を作れないなら」


ギレン「工作機械を製造する設備から作る」


ドズル「……」


ギレン「材料がないなら精製技術を得る」


ギレン「電子部品が作れないなら製造設備を作る」


ギレン「完成品だけを見るから無理なのだ」


ドズル「兄貴」


ギレン「必要なのは兵器ではない」


ドズル「……」


ギレン「産業体系だ」


ドズルが。


ニヤリと笑う。


ドズル「そこはハマーンと同じこと言ってるぞ」


ギレン「そうか」


ドズル「ああ」


ギレン「ならば話は早い」




## 九年という数字


ギレン「ドズル」


ドズル「何だ」


ギレン「一つだけ答えろ」


ドズル「内容による」


ギレン「この技術」


ドズル「……」


ギレン「我々より何年先だ」


沈黙。


ドズルの顔から。


笑いが消えた。


ギレン「十年か」


ドズル「……」


ギレン「二十年?」


ドズル「……」


ギレン「それ以上か?」


ドズル「兄貴」


ギレン「何だ」


ドズル「今は聞くな」


ギレン「その答えで十分だ」


ドズル「何?」


ギレン「お前が即答できる」


ドズル「……」


ギレン「つまり、お前は答えを知っている」


ドズル「…………」


ギレン「そして」


ギレンはモニター越しに。


弟を見る。


ギレン「その数字そのものに意味がある」


ドズル「兄貴」


ギレン「今日はここまでにしておこう」


ドズル「……珍しいな」


ギレン「何がだ」


ドズル「もっと問い詰めるかと思った」


ギレン「問い詰めて答えるお前ではないだろう」


ドズル「まあな」


ギレン「だが」


ドズル「?」


ギレン「ハマーン・カーン本人とは話す」


ドズル「それは止めねえよ」


ギレン「近いうちに」


ドズル「ハマーンが了承すればな」


ギレン「……」


ドズル「兄貴」


ギレン「何だ」


ドズル「今までみたいに命令すりゃ何でも動くと思うなよ」


ギレン「忠告か?」


ドズル「そうだ」


ドズルは真顔になる。


ドズル「あいつは五十三隻と、八百六十四機を三機の損失で叩き潰す軍隊を握ってる」


ドズル「しかも」


ドズル「俺たちが知らないことを山ほど知ってる」


ギレン「……」


ドズル「敵にするな」


ギレン「私が?」


ドズル「兄貴だけじゃねえ」


ドズル「俺も」


ドズル「キシリアも」


ドズル「ジオンそのものもだ」


ギレン「……」


ドズル「今の俺たちじゃ」


ドズルははっきり言った。


ドズル「勝てねえぞ」




通信終了。


司令室。


誰も口を開かなかった。


ギレンは。


しばらく消えた画面を見ている。


士官「総帥……」


ギレン「情報局へ命令」


士官「はっ!」


ギレン「ハマーン・カーン」


ギレン「マハラジャ・カーン」


ギレン「ネオ・ジオン」


ギレン「サダラーン」


ギレン「グワンバン」


ギレン「エンドラ」


ギレン「ムサカ」


ギレン「ザクIII」


ギレン「ドライセン」


ギレン「ドーベン・ウルフ」


ギレン「ゲーマルク」


ギレン「キュベレイ」


士官「すべて調査します」


ギレン「違う」


士官「?」


ギレン「兵器だけではない」


ギレン「使用されている合金」


ギレン「ジェネレーター」


ギレン「推進器」


ギレン「電子機器」


ギレン「センサー」


ギレン「火器管制」


ギレン「サイコミュ」


ギレン「工作機械」


ギレン「整備機材」


ギレン「補給規格」


ギレン「艦艇の構造」


ギレン「そして」


士官「……」


ギレン「人間を調べろ」


士官「人間?」


ギレン「誰が設計した」


ギレン「誰が製造した」


ギレン「誰が整備している」


ギレン「誰が指揮している」


ギレン「どこで教育された」


ギレン「どこから来た」


士官「はっ!」


ギレン「兵器は突然生まれない」


ギレン「五十三隻の艦隊も突然生まれない」


ギレン「八千キロワットを超えるMSも突然生まれない」


ギレンは。


静かに言った。


ギレン「必ず背景がある」




そして。


最後に。


ギレン「アクシズへ照会」


士官「アクシズへ?」


ギレン「マハラジャ・カーンに確認しろ」


士官「何をでしょう」


ギレン「娘についてだ」


士官「ハマーン・カーン?」


ギレン「そうだ」


ギレンの目が。


細くなる。


ギレン「ソロモンにいる成人したハマーン・カーン」


ギレン「そして」


ギレン「現在アクシズにいるはずの、まだ幼いハマーン・カーン」


士官「……!」


ギレン「同じ人間が」


ギレンは呟く。


ギレン「なぜ二人いる」


## 第10話 完

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