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蘇我の姫  作者: たま


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禍福

仏師(仏像を作る人)の前で裸となり、仏師は色んな方向からその姿を紙に書き写した。

「また彫刻する時にもモデルをお願いできると助かります。」と言い仏師は帰っていった。

簡単な服を着てもらいお茶を出す。

サーラは別人と分かっても長い時を経て瞼の奥にしか存在しなかった有間皇子ソックリの青年を見れて、生きてて良かったと幸福を感じる。

中臣鎌足は死ぬまでこの秘密を天智天皇に知られず終われてホッとしたろう。亡くなると共に中臣家は藤原家と名乗る事になった。

藤原不比等は、昼間がまだ明るく慣れないのか少し眩しそうだ。

「サーラ様のお墨付きを頂けたので、もう人目を恐れて隠れて暮らさなくて良くなりました。

まあ、生前の有間皇子を知る者もほとんどいないのですが…」藤原家では亡くなったと言えども鎌足の言葉は絶対だ。不比等は不自由な生活を余儀なくされていたのだろう。

皇后であるサーラがその戒めを解いたようだ。


『こんな近くで私に話しかける有間皇子とか…もう夢の中のよう…』すっかり乙女に戻ったサーラが話す不比等をただ見つめている。

「これでもすでに結婚してるのですよ。そんなに見つめられると恥ずかしいです。」と不比等は月夜の夜見た邪悪な顔がウソだったように爽やかに照れる。

「まあ、うらやましい。どなたなの?」サーラはあまり深く考えずに聞く。

「天武天皇様に実家に返された五百重娘(いおえのいらつめ)です。皇子はアナタが引き取ってしまったので妹は泣き暮らしておりました。」不比等がニヤッとする。

「アッ…新田部皇子の…」サーラの目が泳ぐ。

壬申の乱前は、危ないので親子で実家に帰らせたが乱後は、実家で養育されると天皇の子なので新しい謀反の可能性を生むのだ。なのでサーラが全て回収したのだ。

「それは悪かったわ。でも、兄のアナタのお嫁さんになれたのだから良かったと思うわ。お子さんはまだなの?」と笑ってごまかす。

異母妹とは、この時代普通に結婚出来るのだ。

「はい、今懐妊しております。でも…何だか足りないのです…」不比等が物足りなそうな顔をする。

「私には昔好きだった姫がいるのです。宮廷に一度だけマントを着込んで使用人に紛れて参内した事があります。」と楽しそうに不比等が話す。

きっと良い思い出なのだろう。ニコニコと穏やかな微笑みで話す。

「今の私の様にほとんど裸で宝石を衣装の様に体に纏った小さな姫に会ったのですよ。ビックリしました。ほとんど裸で大きなヒゲの男性の股間に顔を埋めてて…皆が顔をひそめてました。」と本当に面白そうに笑う。

「???!!!!」サーラは過去の悪行をここで晒されることに。

「あーーーーッ、有間皇子を失ってほとんど自暴自棄な時代もあったのよ〜とにかく奥さんが何十人も居る人だったから。

とにかく私の屋敷に通って貰わないとね!天武天皇に!」バレて見られていたのでは仕方がない!

開き直ることにした。

「いえ、すごく羨ましかったです、天武天皇が。

ほぼ、あれで私の性癖は形成されました。」とスゴい色っぽい熱っぽい目でサーラを見てくる。

ずっとこの頃寂しかったサーラの身体が一気に湧き上がるような気配がする。

薬師寺に仏像があるので何度も参拝しましたが…とにかく生々しい!

生きた美しい青年の気配がスゴくします!

アレを記憶だけで作成したとは思えない。

有間皇子のお母様の血筋を辿ると妹か姪っ子が中臣鎌足に嫁いでいるのです。

そして不比等を生んでいる…

大海人王子は身体が丈夫だったので古代人としては長生きでしたが、壬申の乱の頃は50代。

若いアラサーコンビの持統天皇と高市皇子らに支えられ吉野入りし、最後の気力で熊野古道から鈴鹿へ抜けて琵琶湖の上に現れた。

古代人としては脅威の気力です。

天智天皇が40代で亡くなったのが普通の時代でしたからね〜めちゃくちゃ無理したと思う、大海人王子は。

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