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蘇我の姫  作者: たま


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額田王

皇族の歌人だが、大変頭の良い女だとサーラは昔から思っていた。その時その時の権力者にすり寄り生きる女だ。

サーラがただ1人吉野に隠居する大海人王子に付いていくのを笑っていた。自分も大海人王子の妃なのに。

きっとバカな女だと思っているのだろう。

サーラは上手に生きたいと思った事は無い。

夢見て生きていたかっただけだ。

なのに、その夢の白馬の王子は父親に無残に殺された。

額田王など有間皇子の聡明さやその歌のセンスを褒めそやしていたのに、謀反の罪を着せられたらダンマリを決め込んだ。

今はそんな人物が居たことすら一言も口にしない。

暇があればサーヤが世話する子供達に話しかけ、「パパと天智のおじさんとどっちが好き?」とか聞いている。

本当に恐ろしい女である。

男達は、才女で品も良く慎みも嗜みもある彼女を褒めそやす。

反対に女の武器と金の力で大海人王子を独占するサーラを陰で淫売(いんばい)と噂してるのを知ってる。

「どいつも本当に権力に買われた犬どもだよ。

お前らの生き方こそ淫売だろ?」とサーラは心の中で思っている。

「弱ってる時こそ力を貸すべき時だろ?それが叶えば、有間皇子はあんな目にあわずに…」とすでに何十年も経ったがまだ悔し涙が出る。

「私が、貴方の名前を普通に呼べて、後世にその姿も心も生き様も伝えるから!待ってて!」サーラは天に祈る。

「やっとアナタを独占できて私は幸せよ。」とすっかり年を取った大海人王子の手を取り吉野の山奥へ崖を登っていく。

父が老いたように大海人王子もかなり年を取った。

そろそろ仕上げの時だ。20年も耐えて待ったが…

中臣鎌足も亡くなり、家族でヒドい殺し合いを強要されたらしい。中臣鎌足らしい相続争いだ。

ただ1人生き残った男が居るようだが、用心深いようで公式の席に全く姿を現さない。

ヒドい疱瘡(ほうそう)があるとか…噂だが。兄弟はそれをうつされたとか?疫病を恐れて天智天皇も距離を置いてるようだ。

大友皇子のサポートをさせたいが、まだ姿を現さないとか。今こそチャンスだ。本当に信頼する数人だけで政治をしてきた天智天皇は病気がちで弱っている。

結束を促す為にも、大海人王子が謀反を起こす気だと噂を広げたいのだ!

その為にワザと病床に呼び、天皇を譲りたいと泣き言を言ってみたそうだ。大海人王子が、引っ掛からないで自分は吉野に隠居するから息子に頼んでくれと断ってきてくれて助かった。病床なのでサーラは一緒に入れなかったのだ。

あの父、天智天皇の事だ。部屋の外には大海人王子を取り押さえる護衛を配置していたのだろう。

そして役人や豪族を大友皇子の元へ結束させたいのだ!

だからこそ、追いにくい吉野の山奥へ隠居すると決めたのだ。父が死ぬのを吉野の山奥で待つのだ。

中臣鎌足と天智天皇!この2人がこの世から消えるのを待つのだ!

高市皇子は近江京で普通に政務を執り行ってる。

成人した皇子は、皆近江京で働かせている。サーラの父が死んだ時、その時が合図なのだ。

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