ライバル
「なんで印も来てないアンタが独占してるのよ!
お子を作るのが私達のお仕事なのよ。譲りなさい!」いつもは優しい姉の大田皇女に叱られた。
他の姉妹もそうだそうだ!と長女に便乗する。
4姉妹で父から大海人王子へと嫁いだのだ。
父にはなぜか息子がなかなか出来なかった。娘ばかりなのだ。
だから、父の天智天皇としても自分に何かあった時に弟に頑張って貰わないといけない。なので后に自分の娘を大量に送り込んだのだ。4姉妹で夫を共有しなくてはいけない。
他にも藤原鎌足の娘や有間皇子を謀反の罪に陥れた蘇我赤兄の娘、歌人として有名な額田王やライバルだらけなのだ。
大海人王子は身体も大きくて武人としても有名だったので腺病質な天智天皇より皆の期待が大きかったのだ。
その上、来る者拒まない…性格だった。
人の思惑にちょっと疎い人柄だったのだ。
「ごめんな〜皆の顔を立てないとな。」と言いながら気の良い大海人王子は姉の元へ行ってしまった。
「フ〜ッ、前途多難だわ〜
何かチャンスがないと。他の姫が迷うような状態の時に出し抜かないと!
そして、父に藤原鎌足が居るように私にもフィクサーが要るわ!探さないと!」すでに大海人王子には皇子がいる。
ただ母親の地位が低いので、皇子でも天皇を目指すには、後ろ盾がいるのだ。
「高市皇子は顔もいいし頭も良いから人気あるんだよね〜
お姉ちゃんや妹達に気付かれないように高市皇子を取り込めると私の足元が固まるな…」ひさびさ大海人王子が居ない夜だ。
サーラは高市皇子に使いを出す。
翌日には返事が来た。夫の長男でありながら、母方が弱いため生活の便宜も困っていると。
父がまだ年端もいかないサーラをそばに置いてるのは高市皇子の耳にも入っていたのだろう。
皆、深窓のお嬢様なので上品で控えめなのだ。
サーラみたいにギラギラしてないのだ。
昔のサーラなら、お姫様だしレールの上を牛車で引かれるように生きていたかもしれない。
しかし、有間皇子が死んでしまった世界でサーラのおとぎ話は終わってしまった。
ステキな皇子様は迎えには来てくれないのだ。
この毛むくじゃらの大男を自分の手中におさめる。そして、日本を我が手に掴む!
どれだけの血を流しても…
だって、もうサーラのおとぎ話はこの世で叶わないのだから。好かれる努力なんてバカバカしい。
慎ましい身分の高い女を大量に送り込まれてる大海人王子には、サーラが娼家から雇った女に部下と実演してもらって得たテクニックで何度も昇天してもらう。
「文では額田王に叶うものはいないが、伽でサーラに叶う者はいない。」と言いながらスタミナの塊のような皇子は、まだまだ夜が明けるまで挑む気だ。
「では、高市皇子様に車と侍従を差し上げても良い?」とサーラが聞く。
「なんだ?やはり若い男の方が良いのか?」 なぜか嫉妬してくる。
「違うよ。叔父さんが姉の部屋へ渡った夜に寂しくて散歩してたら、高市皇子様が市井(いちい:町中の庶民)に身なりやお付きの者の身なりを笑われてたの。皇子に無礼を働く者を私の侍従に懲らしめさせたよ。
高市皇子様には、車も侍従もいらっしゃらなくて!
皇子らしい体裁を整えたいの!
私がご支援しても良い?」とワザと手を引く。
「そうかあ〜私が居なくて寂しくて街に出たのだな?
そこで高市皇子の窮状を見たのか…すまない。
この頃、嫁が一気に増えてなあ〜高市皇子の母まで手が回らず、そう1年以上通ってないのだよ。すまん。」大海人王子はこういう所が扱いやすい男なのだ。
「叔父ちゃんの第1皇子だよ!恥じをかかせれば、叔父ちゃんが恥かくよ?
私がサポートするね!」 と告げる。
早く果てたい巨漢の男は、分かった分かったとうなづく。
クレオパトラも大挙するローマを絨毯に隠れてカエサルに謁見して全権を手に入れたしね〜
アレキサンドリア都市再興の援助をカエサルから取り付けたら、まず娼館と酒場と図書館を整備したと伝えられてるし。
兵力で戦えない相手とは、女の武器で。




