黒馬の王子
サーラは有間皇子が白馬にまたがり皇后として迎えに来る夢を見て少女時代を過ごしたが、無残に死によって夢破れ…そこから27年!自力で皇后になった。
はずだが、今になって同じ顔で、でも禍々しい気配の男がサーラを溺愛する。
黒馬の王子がやってきた。
ずっと夜の暗闇の中だけで生きてきた男は、サーラを見つめて生きてきていた。どう集めたのかも分からない細かい情報が彼の口から囁かれる。中臣家には情報集める特殊な部隊があるらしく、宮廷の全ての情報が集まっていたらしい。
特に大海人王子の動静は中臣家の最重要項目だったと。それも最も警戒されていたのが、サーラだったらしい。
品行不良で裸で宮廷を歩き回り大海人王子から片時も離れない小さな凶暴な姫が。
「父が何度も言ってました。初めて天智天皇に会った頃を思い出す姫だと。」何を考えてるか分からない食えない男だった鎌足が、まさか自分をそんな目で見てたとは!驚きである。
「蘇我の聖徳太子様にも似てると言ってました。
本当に優秀な方だったのだが奇行癖があったそうです。男だけの飲みの席で急に裸になってキスしてきたり…どこか妖艶で男も女も魅了する方だったと。」どうも聖徳太子の血も引き天智天皇にも似たサーラは、中臣家に大変注目されてたようだ。
「実は父は大海人王子にサーラ様を嫁がせる事を反対したそうです。あの二人を組ませてはいけないと。
行動力のある大海人王子と聖徳太子の血を引く女を絡ませてはいけないと。
年と共に鎌足の忠告を聞かなくなった天智様は無視したそうです。生きて聖徳太子に会った事あるのは父だけだったので。サーラ様が聖徳太子に似てる事を
天智様は知らなかったのです。」聞けば聞くほど驚きの連続だ。
サーラの破天荒は父譲りだと思ってたが…まさか聖徳太子もそんな型破りタイプだったとは…
「確かに親戚だとは聞いていたけど…聖徳太子は馬子の甥っ子である以上に蘇我の血が濃い人だと祖父は言ってたけど良く分からないのよ。」人払いした閨の中で熱烈に告白される。
「ご存じかと思いますが、我が家は太子様が信仰の対象なのです。父はあの方を目指して大化の改新を起こしたのです。」と言いながら何度も抱きしめられる。
「貴女の活躍を見ながら、父の予言は本当だと思いました。太子様はサーラ様の曾祖父の血を両親から受けておられます。父方も母方も蘇我稲目なのです。」中臣家の太子様教は何だかスゴいようだ。
祖父が言いたかった話が、今やっと分かった。
「憧れながら恐れてもいました。なのでお母様を天智天皇の妃に貰うとすぐにお祖父様も殺しました。赤兄は…あなたが壬申の乱後に始末しましたよね?」「……」サーラは沈黙する。
有間皇子の最後の言葉『我は知らぬ。天と赤兄のみ知る。』この言葉をサーラは心に刻んでいつか復讐を遂げると身も心も捧げて皇后の道を歩んだのだ。
蘇我赤兄はサーラの叔父だが、有間皇子を陥いれ殺した張本人だ。申し訳ないが従姉妹達も身分剥奪し子供達も皇族の身分を剥奪した。
必ず有間皇子に成りかわり殺すと決めていた。が、親族なので流罪でとどめたのだ。
中臣家がどれだけ蘇我氏マニアだったか、怖くなってくる。
「神武天皇と同じルートを使うとか、本当に父が聖徳太子に憧れた理由が私にも分かりました。」またギュウと抱きしめてくる。
「いや、正しくはもっと伊勢寄りに大きく回ったのよ。
ただ相手の背後を突くと言う事しか似てないし。
私はそれより後世でもっと大回りして近畿に敵が攻めてくると思ってるの。
だから、その前に後世の軍が近畿攻めに使えないように熊野伊勢封じておくつもりよ。」サーラの話に不比等がうなづく。
「やはり、アナタの血が欲しい。お姉様のお子様を…」と言った瞬間に不比等が激痛にあえぐ。
「天武の血が入った子を藤原家に嫁がせる訳がないでしょ!妹さんが子を取り上げられて泣いたのに!
無神経なのよ!男は!」と布団の中で締め上げた。
「仕方がない…赤兄から聞いた妹に娘が居ると聞いてます。そちらの娘を探しましょう。フウ死ぬかと思いましたよ。」不比等が起き上がり変な汗を拭いている。
「大海人王子は、これを何度もされても耐えてたわ。
子供も出来たし。大丈夫よ、きっと。」とサーラは涼しげに答える。
不比等はサーラの又従姉妹をゲットします。蘇我馬子の曾祖孫サーラと同じ娼子ですね。
サーラと同じ蘇我の姫から藤原道長も五摂家も生まれます。
徳川も豊臣も織田信長の姪っ子を嫁にしたのと同じですね〜




