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井伊は我が物顔で俺の隣の椅子に座った。
「続けて、どうぞ」
「・・・誰なの?」
「ゼミ一緒でしょ。寂しいなぁ」
「・・・」
アメスピをこれみよがしにジッポーで火をつけた。
「ん」
「さんきゅ」
差し出された火に顔を近づけ、ハイライトに火をつける。
「なに、新しい彼女ができたから用済みってわけ?」
「あはは、この期に及んで他責なんだね」
俺に向かって煙を吐きかける。うぜぇ。手で軽く払う。
「来た道戻れば草木が嗤い、下向けば籠り歌にならない」
柔らかい声で口遊んだ。随分いい声だな。
「無駄に高いプライドで咳払い」
ニヤニヤと笑っている。夢希は持っていた火のついたキャスターを投げ捨て、掴み掛った。
「お前!」
「図星?てか、あなた19でしょ。煙草吸っちゃだめよ」
「うるさい」
振りかぶった拳を俺が掴む。
「っ、なっ、こんなやつの味方するの?」
俺は軽く押し、突き飛ばした。
「・・・私、ひとりぼっちなんだね」
「あはははははっ、面白いこと言うね!八代君がいるじゃあないか!」
「っ、ちが、お前に何がわかる!」
「知らないし興味無いし関係ない。ちょっと前から横山のこと気になってたんだよね。んで、別れ話だからちょうどいいし、貰ってくよ」
俺は物かよ。
「んじゃ、砂でも噛み締めてな、元カノさん」
唇を合わせられた。煙草の味だった。




