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満喫から出る。梅雨明け特有の重たく気持ちの悪い空気にげんなりする。なんなら雨降りそう。
「どっちの車で行くんだ?俺?」
「え、歩いてこうと思ってたけど」
「近いのか?」
「んー、歩いて5分かな」
それくらいなら歩くか。俺は鍵をポケットに入れた。
「さ、行こう」
俺もポケットに手を入れ追随する。追随ってこういうときに使っていい言葉だっけ。追従の方がいいのだろうか。まぁいいや。
「彼女さんとの馴れ初め教えてよ」
「・・・そんな絵になる出来事じゃあないさ。部活の後輩で、気が付いたら仲良くなっててデートに誘われて、観覧車の中で告白された」
「ひゅー熱いねぇ」
「まぁ、浮気されてんだけどな」
「それで、どんな感じだったの?」
「付き合ってからは、随分ぐいぐい来たなぁ。毎昼休みに弁当持って俺の教室に来たり、土日の部活終わりはいっつもご飯に誘われてた」
「ラブラブじゃんか」
「俺が高3で受験で今通ってる橋口大学に落ちて、滑り止めで受かってた八橋大学に行こうとしたら、橋口に行きたかったその後輩が一緒に1年浪人して一緒に入ろうって言ってきたんだ」
「んで、浪人したんだ」
「ああ。親に迷惑かけないように塾には通わず、ずっと勉強して2人とも入学したんだ」
「んで、2年経って浮気されたと」
「や、浮気自体は1回されたことある」
「え?」
「新歓で飲まされてお持ち帰りにされた」
「・・・」
「羽目外してただけだろうし、許したよ」
「ハメられたのに?」
「うまいこと言わんでええ」
「ふぅーん。んで、なんで浮気されたの?」
「さぁ。最近サークルで忙しかったからかも」
「なんのサークル?」
「普通のテニスサークル」
「彼女さんは?入ってなかったの?」
「一緒に入ってたけど、女子の方が多いから空気が嫌いって言ってて中々顔を出さなかったな」
「なんで忙しかったの?大会が近いとか?」
「俺らはお遊びでやってるだけだから大会とかは出ないよ」
「じゃあなんで忙しいのさ」
「普通にみんなで麻雀してた。部室で」
「はははっ」
「んでラケットの代わりに点棒握りしめて、サーブの代わりに牌をを打ってたわけだ」
「んで、彼女に構ってやらなかったの?」
「ああ。ぶっちゃけ、付き合ってるだけでそんなに好きじゃあないし別れ時探してたんかもな」
「でも同棲してるんじゃあないの?」
「・・・同棲してるって言ったか?」
「や、鍵も車も持ってるって言ってたから同棲してんのかなーって思っただけだよ」
「まぁ、同棲はしてる」
コンビニに着いた。店内には客は1人しかいない。俺は適当にカップラーメンを1つ手に取り、レジに並ぶ。
「あ、218番を2箱と袋もお願いします」
「218番ですねー」
「あ、111番も2箱お願いしまーす。あとこれも」
井伊がさらっとライターと煙草押し付けてきやがった。払ってやるよ。クソ。
「あ、これだけ袋別にしてほしいでーす」
・・・コンドームだった。
「・・・」
「・・・ねぇ、溺れてみない?」
赤い舌を伸ばした姿は、妖艶で、鳥肌が立った。




