29
車で大学まで送ってもらい、教室に入る。不安なのはよく分かったけど、信号待ちの度にキスを要求するのはちょっとね。まぁいいや。教室の適当な席に腰掛ける。
「やっほー」
武内だ。隣には知らない女の子もいる。
「よぉ」
「ボッチ?」
「ほっとけ」
「じゃ、一緒に受けよー。どーせグループワークあるし」
「はいはい」
隣の椅子に置いていた荷物を退かす。
「今日行くの?」
「ああ」
「え、マジ?」
「ああ」
「久しぶりだねぇ。横山盛り上げんの上手いから」
「おだてても奢らんぞ」
「そんなんじゃないよー」
「んで、隣の子は?」
「あ、ごめんごめん最近サークル入った子」
「えっと、矢田って言います。矢田ライムです」
「漢字はどうやって書くんだ?来る夢とか?」
「あ、いや、ハーフです」
「へぇ」
「なんか去年いたサークルが潰れちゃってこっちに来たいらしい」
「へー」
「無関心だなぁ」
「まぁ、来る者拒まずだからな」
「入っていいんですか?」
「俺に言われても。菅原に聞きなよ。アイツが部長だし」
「最近来てないじゃん。就職中らしいし」
「俺だったら入れない理由ないぞ」
「じゃあ。よろしくお願いします」
「はいはい」
俺はリュックから教科書を取り出す。
「矢田さんは煙草吸う?」
「iQOSなら」
「んなもん捨てろ」
「え」
「あはは、横山iQOS嫌いなんだよね」
「俺の近くでiQOS吸ってたら機嫌悪くなるから気をつけて」
「えぇ」
「あ、あと麻雀打てる?」
「や、わかんないです」
「多分、このサークル向いてないよ。実態は煙草吸いながら麻雀してるだけだから」
「じゃ、じゃあ覚えます」
「ははっ、お好きにどうぞ」
講師がやってきた。今日の授業は時効とかだ。
適当にノートを取り、授業を終えた。今日は2限だけだ。部室行こう。
「あれ?コレで終わりなの?」
「俺はな。部室行ってくる」
「えー、ご飯は?」
「知らん。部室で食うか?」
「そうしょっと。ライムは?」
「行きます!授業終わりなんで」
部室にぞろぞろと移動する。部室棟があるのは別の校舎だからついでにコンビニでお菓子とジュースと弁当を買う。
「1本寄越せよ」
「うわぁ、強盗だ!」
喚く武内を無視してラキストに火をつける。
「なんでこの銘柄なんだ?」
「んー、口に合うからかな」
「矢田さんは?」
「iQOSです」
「吸うな。買ってこい。ほら1000円」
「えぇ」
「んな事言うならハイライトあげなよ」
「けっ」
部室棟に着いた。ドアの前から既に煙草臭さが漂ってる。相変わらず終わってんな。




