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しばらくのドライブの後、夢希の実家に着いた。
「降りんな」
「ええー」
「お願いだから降りないでくれ。これ以上の死体蹴りは駄目」
「まぁ、従うよ」
俺はトランクを開ける。
「部屋まで運ぼうか?」
「・・・いい」
「じゃあ、玄関までは持ってってやる」
夢希は力なく座席から立ち上がり、車から降りた。
ダンボールやリュックを玄関前に並べる。ここまで夢希が壊されるなら、別れ話したくなかったな。
「ねぇ、希善」
「?」
「・・・もし、浮気してなかったらさ、結婚してた?」
「・・・多分な」
俺はそのまま振り返らず、車に戻った。
「おかえり」
「ああ」
ハンドブレーキを戻す。
「井伊」
「なに?」
「お前、俺のこと好きなの?」
「・・・」
井伊は窓を開け、煙を外に吐き出した。
「勿論」
こちらを向かずにそう言った。
「そうか」
「君は?」
俺はアメスピに火をつける。メンソールの熱くて冷たい煙が肺に入り、咳き込む。
「さぁな」
「・・・君は人気者だよ」
「はっ」
井伊は吸殻を灰皿に捨てた。灰皿はもうぱんぱんだ。そろそろ捨てないと。
「なに吸ってるのよ」
「いいだろ」
「おいしい?」
「不味い」
「そう」
井伊は俺の咥えてる煙草を奪い、フィルターを赤い舌で舐めまわした。ドン引きだよ。
「はい」
「なにがはいだよ。要らん」
「あはは、元カレは大喜びしたのに」
「・・・いい趣味だな」
井伊はそのままアメスピを吸い出した。ついでに俺のハイライトを咥え、火をつけた。
「口開けて」
咥えさせられた。唾液で少し湿っててやな気分になった。
「美味しい?」
「美味いな」
「ふふっ、そう」




