第095話 スカート、短そー
「わかりました。それでは明日の早いうちに出発し、高知に向かいましょう。おそらく、2、3時間で着きます。可能であれば、午後に出て、明日の内には岡山に戻りたいと思います」
四国はなるべく早く出た方が良い。
「ええ。それでお願い。リンダさんはずっと運転だから負担をかけてしまうけど」
「構いませんよ。私は車も男性も乗るのが得意なんです」
ふざけないと死んじゃう病。
「…………そう。悪いわね」
「……ひひっ、意味が微妙にわかってませんよ?」
無視、無視。
「アヤカ、高宮さん達からの連絡は?」
「ないわね。そっちは?」
「こっちもない。風呂に入ったら連絡してみるか」
「そうね。じゃあ、行きましょうか」
俺達は浴衣を持つと、すでに着替えているリンダ姉さんと部屋を出る。
そして、エレベーターで1階まで降り、別館の大浴場に向かった。
「1階が男湯か」
2階が女湯だ。
「じゃあ、私達は2階ね。ユウ君、また後で」
「ああ」
2人が階段を上がっていったので中に入る。
そして、服を脱ぎ、大浴場に入ると、身体を洗い、湯船に入った。
「ふう……」
良い湯だ。
温かいし、実に心地良い。
考えてみれば異世界にも風呂はあったが、足を伸ばせるほどの広さの風呂はなかった。
俺達はこの旅で温泉ばかり行ってしまうのはそのせいかもしれない。
じっくりと温泉を堪能すると、大浴場から出て、浴衣を着る。
そして、部屋に戻ると、2人がまだ戻っていなかったので席につき、コーラを飲んだ。
しばらく待っていると、ノックの音が聞こえたので立ち上がり、扉を開ける。
すると、湯上りエロ美人のリンダ姉さんがいたのだが、アヤカはいなかった。
「あれ? アヤカは?」
「まだ入っています。ちょっと考えてるみたいですね。一人にした方が良いと判断しました」
「そうか……」
リンダ姉さんと共に部屋に入ると、座椅子に腰かけた。
「ユウさん、この旅はどうですか?」
リンダ姉さんが缶ビールを取り出し、プルタブを開けると、聞いてくる。
「どうとは?」
「何でもいいですよ。感想です」
リンダ姉さんがぐいーっとビールを飲んだ。
「楽しいっていうのが一番に来る。もちろん、東京に行く目的や仲間との合流、さらにはこんな終末世界になったことやクラスメイトのこともあるが、それでも最初に来るのはその感情だ」
異世界での旅とはまた違った楽しみがある。
もちろん、新たなる仲間であるエルヴィスやリンダ姉さんがいることもだ。
「ふふふ、あなた達は新婚旅行みたいなものですからね」
「全然、違うな」
「そうですね。違いますね。でも、そうすれば良いじゃないですか」
「デリケートなの」
そういう状況じゃない。
「男女間はそんな繊細なことじゃないんですけどね。あなたは男女の友情が成立しないと思っているタイプですか?」
「いや、するだろ。実際、高宮さんと北浦さんはそうだ」
高高同盟だぞ。
「その通りです。友情は成立します。というのも友情にも色んな形があるからです。たとえば、セックスフレンドです」
これ、真面目に聞く話かな?
「何が言いたいの?」
「恐れないことです。人は何かが変わるのを恐れます。ですが、終わってみればたいしたことなかったっていうのが大半ですよ。おそらく、あなたとアヤカさんが結婚してもそこに恋愛や家族といった愛情が加わりますが、これまでの友情は消えません。そして、フラれても同じであり、何も変わりませんよ。あなた方はそれだけのものを積み上げたのです」
うーん……
「そう思う?」
「ええ。あの吉井という男との戦闘を見て、そう思いました。皆さん、それぞれが自分の役割を全うしていました。これは相手を信頼し、相手が確実に仕事をするという確証があるからです。あなた達は仲間が裏切ることを想定していません。これは本当にすばらしいことですよ」
そうかねー?
それだけ聞くと、それこそ勇者みたいだ。
「そう言われると悪い気はしないな」
ちょっと恥ずかしいけど。
「だからこそ、あなたが動いても何も変わりません。成功しても失敗してもね。何を恐れるんですか? 恋愛の恐ろしいところはそうやってグズグズして、相手を誰かに奪われることです」
まあ……
「レステの町でアヤカに粉をかける男がいたな。あれはちょっと焦った」
「アヤカさんは可愛いですもんね。雰囲気も柔らかく、スタイルも良いです。あなたのような男性が好きそうですよ」
実際にそうだから何とも言えんな。
「自分でもスタイルは自信があるって言ってたな」
もうちょっと身長が欲しいとは言ってたけど。
「でしょう? 実際に見ましたけど、聞きます?」
ニヤニヤするな。
「いい」
「そうですか。あなたも大概、真面目ですね。素直に膝枕して欲しいって言えばいいのに」
そういうのを言うなっての。
「知らない、知らない」
人の心を読むんじゃない。
「くすくす。ユウさん、ちょっと聞きたいんですけど、アヤカさんって真面目ですよね?」
「まあ、ふざけることはほぼないな」
あんたと違って。
「少し気になることというか、違和感があるんですけど、あの人、敬語が使えない人ですか?」
あー、それか。
これまでずっとだもんな。
「異世界で敬語を使っている奴はほとんどいないんだ。さすがに王侯貴族相手には使うと思うが、依頼主相手でもタメ口なんだよ。敬語を使うと舐められるみたいな風潮まである。特に女性はそんな感じだ。マジで下に見られる。俺やリクはそれでもどうしても出てしまうが、ミナトはずっとタメ口だったな。あ、高宮さんと北浦さんはあんな感じだから変わってないと思う」
これも俺達が10年で変わったことの一つだろうな。
「なるほど……いや、別にいいんですけど、ちょっと気になったもので」
「そんなに気になるか?」
「あなた方が東京に着いたら起業するとか言っていたのでね。秘書の私は気になります」
あ、リンダ姉さんも入るんだ……
しかも、エロ秘書なんだ……
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