第085話 焼き鳥、美味しい
俺達は部屋で話をしながら待機する。
そして、1時間くらいが経つと、エルヴィスとリンダ姉さんが戻ってきた。
「お待たせしました。話をしたいですが、先に夕食にしましょうか。昼を食べていませんのでお腹がペコペコです」
俺達もお菓子しか食べていない。
「どっかに行くのか?」
「ええ。良い感じの焼き鳥屋さんがありましたのでそちらに行きましょう」
「へー……焼き鳥かー」
異世界でも鶏肉料理はあったし、美味かったのは覚えているが、ちょっと気になる。
「服はどうする?」
アヤカが聞いてくる。
俺達は部屋着なのだ。
「すぐ近くですよ。悪魔しかいませんし、心高校生なんだからいいでしょ」
俺は構わないが、心高校生は関係あるのかね?
「まあ、いいか。じゃあ、行きましょう」
俺達はそのまま部屋を出ると、エレベーターで1階に下りる。
そして、ホテルを出ると、リンダ姉さんの案内でホテルの横にある通路を進み、焼き鳥屋に入った。
店はカウンターとボックス席のある小さな店であり、何故か、鶏の顔をした悪魔がカウンターの奥にいた。
「らっしゃい。あ、さっきのサキュバスか」
「大将、どうもー。言ってた通り、7人で来ましたよ」
「まいど。ボックス席を使ってくれ」
大将に勧められたのでボックス席につく。
アヤカ、俺、リク、エルヴィスの並びで対面に北浦さん、高宮さん、リンダ姉さんだ。
「何飲みますー? 私はビールですかねー?」
「俺っちも」
悪魔2人が飲むのはわかっていた。
「どうするんだ? 本当に飲むか?」
皆を見る。
「うーん……せっかくだし、僕も一杯くらいなら飲もうかな」
「さすがはリク。わかってるね。マユミとアヤカも飲むでしょ?」
「もち」
「一杯だけね」
アヤカも飲むようだ。
「大将ー、ビールを2つとこの子達の飲みやすい酎ハイなんかをあげてください。あ、人間でも飲めるアルコールの低いやつです」
「あーん? そいつら、人間か? 珍しいな、おい」
というか、いるんですかね?
「人間っぽい悪魔です」
「何だ、それ? まあ、マナさえ払ってくれればどっちでもいいけどよ。焼き鳥はどうするんだ?」
「色んなのをじゃんじゃん焼いてください。私達、お昼を食べてないんで」
「了解。ちょっと待ってろ」
大将はすぐに酒を用意して持ってくると、焼き鳥を焼きだした。
すぐに炭の良い香りがし、食欲が湧いてくる。
「大将、これ、何の酎ハイ?」
「桃だ。知らねーけど、岡山は桃なんだろ。おかわりを頼んだらマスカットにしてやる」
ミーハーな岡山悪魔だな。
「まあいいか。乾杯」
「「「かんぱーい」」」
俺達はグラスを合わせると、桃の酎ハイを飲む。
桃の甘みを感じる飲みやすい感じだ。
「美味いな」
「うん。飲みやすいわね」
今回は悪魔の酒じゃないから安心して飲めるな。
「大将、おかわり」
「あ、私も」
すげー。
エルヴィスとリンダ姉さん、一気しやがった。
「焼いてんだよ。冷蔵庫に瓶があるから勝手に持っていけ」
すごい店だな。
まあ、悪魔はこんな感じなんだろうな。
エルヴィスとリンダ姉さんは本当にカウンターの中に入っていき、冷蔵庫から瓶ビールを取った。
そして、戻ってくると、グラスに注いで飲みだす。
「エルヴィス、リンダ姉さん、飲むのは良いけど、四国と兵庫の情報は?」
「あー、それな。受付のゴブリンに聞いたぜ。まずは四国だ。人間が徳島を奪還したらしいが、県境に悪魔が集まっているらしい。攻める気だな」
マジか。
「ウチからも援軍が行ってるぞー」
大将が教えてくれる。
「そうそう。それでな、そのことを人間側も察知しているようで自衛隊も県境に集まっているらしい。それは高知からも援軍が行っているらしい。だから高知に行くには香川に入ったら、西に行って、愛媛経由で入る必要がある」
ぐるっと回るわけね。
まあ、安全第一だし、それは仕方がないだろう。
「戦争は激化しそうか?」
「微妙だ。悪魔側も救世主を恐れている。下手には動けないだろう」
救世主か……
「そいつは?」
「依然、姿が消えている。大将、知ってるかー?」
「知らん。もう四国にはいないんじゃないか? ほら、第一陣が焼けたぞ。取りに来い。2本ずつだからな」
大将がカウンターに何皿かの焼き鳥を置いたのでエルヴィスとリンダ姉さんが取り、テーブルに並べた。
タレがいい感じに光っており、美味しそうだ。
「ユウ君、私達は1本ずつで分けよ?」
アヤカが笑顔で肩をポンポンと叩いてきた。
「そうするか」
2本ずつだし、ちょうどいい。
「……アヤカ、もう酔ってるよ」
「……半分も飲んでないのにね。スイッチ入るのが早い」
高宮さんと北浦さんがこそこそと話す。
「エルヴィス、四国の方はわかったけど、兵庫の方は?」
リクがエルヴィスに聞く。
「兵庫はやはり神戸の方が歓楽街に変わっているそうだ。こっちからも結構な悪魔が行ってるらしいぜ。大将、行ったことがあるか?」
「ねーな。俺は店があるんだよ。ただ、知り合いに何人か神戸に行ったやつがいるぜ。半分くらいは帰ってないがな」
え……
「鶏のおっちゃん、何かあったの?」
北浦さんが聞く。
「単純にギャンブルに負けたんだろ。あそこは勝てばマナを得られるが、負けたら労働力を支払うんだ」
労働力?
「あれ? 悪魔ってマナが絶対なんじゃなかったの?」
「それはそうなんだが、あそこのボスは蠅の王ベルゼブブだ。とにかく、町を大きくしたいらしくて、そういう風にしているらしい。マナじゃ建物は建たないからな」
ベルゼブブ……それ、魔王とかそういうヤバいやつじゃない?
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